【漫画】男子高校生と水族館の人魚、恋に落ちたらどうなる? 微笑ましくも儚いSNS漫画が気になる

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2023年10月21日 07:01  リアルサウンド

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漫画『マドレーヌ』より

 立場や種を超えた愛情は、その間に高い障壁や深い隔たりがあるほど、純粋で美しいものに見える。10月中旬にX(旧Twitter)上で公開されたオリジナル漫画『マドレーヌ』は、絵が得意な男子高校生・奏太と、水族館で暮らす人魚・マドレーヌのピュアなラブストーリー。微笑ましいエピソードが続くが、いずれ必ず訪れる困難や種としての決定的な違い考えると、爽やかさのなかに複雑な感情も芽生える、儚い物語にも思えてくる。


(参考:漫画『マドレーヌ』を読む


 本作を手掛けているのは、保育関係の仕事に従事していた時、子どもたちや上司から「絵を描いて」とお願いされる瞬間が大好きで、気が付いたら「絵を仕事にしたい」という気持ちが大きくなり、現在は仕事の合間に漫画制作をしているという作者のコルクガシさん(@col_gashi10)。奏太同様にマドレーヌの不思議な魅力に吸い込まれそうになる本作をどのように描いているのかなど、話を聞いた。(望月悠木)


■キッカケは衝動的


――今回『マドレーヌ』を描き始めたキッカケなどはあるのですか?


コルクガシ:ふと「水族館に人魚がいたら不気味で素敵だろう」と思い、そこから「私だったらどんな人魚に会えたら嬉しいかな」と考えた時、「スケッチしやすいポージングをとってくれる人魚さんがいいな」と連想していきました。そして、「その光景を描きたい」という衝動から本作を描き始めました。


――人魚と絵を描くことが好きな男子生徒の恋物語、という流れにした背景は?


コルクガシ:幼い時から童謡が好きで、『人魚姫』もお気に入りのひとつです。「大人になった今だからこそ、今の時代だからこそ表現できる現実混じりな童謡が描けるのかな」と思ってストーリーを練っていきました。また、「素敵な恋愛映画を見た時のトキメキをマドレーヌでも表現できたら」と思ったことも大きいです。


――「人魚は恋をしなければ寿命は約10年」「片思いが続けば餓死してしまう」など、人魚の細かい設定はどのようにして決めたのですか?


コルクガシ:「恋に生きる生き物がいたっていいじゃないか」と思い、恋で寿命が左右されてしまう人魚という生態をなるべく細かく自分の中で作り上げました。マドレーヌという人魚を儚い存在にするために、ちょっと大袈裟ですが“寿命”を示すことで、「人魚にとって恋がどれだけ重要なものなのか」ということを表したかったんです。


■マドレーヌは鯖?


――登場人物はどのようにして作り上げましたか?


コルクガシ:マドレーヌなら“気は弱いけれど優しい人間”を好きになると思いました。ですので、奏太は“育ちのいい繊細な男子高校生”をイメージしました。わかりやすく言うとお坊ちゃん(笑)。


――一方、マドレーヌは?


コルクガシ:実はマドレーヌにはモデルがいます。『エンジェル、見えない恋人』というロマンス映画のヒロインです。名前も同じマドレーヌ。主人公に対するマドレーヌの純粋な恋心に惹かれたんです。ちなみに、本作のマドレーヌの鱗はサバのような青魚をイメージしています!


――鱗の話が出ました。人魚ですと『リトル・マーメイド』が有名ですが、人魚姫のアリエルは貝殻で胸を隠していました。マドレーヌは鱗を身に纏っていますね。


コルクガシ:『リトル・マーメイド』は大好きです! アリエルは人間の世界を夢見る、可愛くて無邪気な人魚のお姫様という感じで、そこが魅力的です。マドレーヌも初期デザインでは、アリエルのように水着のようなものを着用させていたのですが、あくまでも現実寄りの人魚なので、何か着用させると違和感を感じてしまいました。


――リアリティを意識した結果のデザインなのですね。


コルクガシ:はい。『マドレーヌ』内の人魚は哺乳類ではないので、鱗で覆っても問題ないと思いました。胸に膨らみがあるのは、恋をする前後の差をわかりやすくするためです。颯太と出会う前と後のマドレーヌの体型に注目してほしいのですが、出会う前は全体的に少しふっくらさせています。まだ恋を知らない時期だったので、食事をしっかり摂っていた証拠です。


■絵が上手いキャラを描くことの葛藤


――奏太と同じ美術部員で、絵の上手い沖野が登場する5話の終わりには「絵上手いキャラ描くの正直プレッシャーです」と書いていました。改めて、「絵が上手い」という設定のキャラを登場させることの苦労を教えてください。


コルクガシ:漫画を描いている最中に「自分は絵が下手くそだ!!!」と思う瞬間が多々あります……(笑)。なので、「絵がとっても上手い、上手すぎる沖野や奏太の絵を、下手くそな私が描いていいものか?」とビクビクしながら作画しました(笑)。


――それでは実際に沖野の絵を描く際にはかなり苦労したのでは?


コルクガシ:見たものを素直に紙に落とし込む奏太とは違い、沖野は自分の気持ちを全て絵で表現する子なので、「きっと大胆で鮮やかな絵を描くんじゃないか」と考えています。漫画内で載せた沖野の絵は「ひとつの房にブドウとシャインマスカットの両方が生ってる絵」です。「そういった、ちょっと変わったような絵を好むだろう」と思って描きました。


――今後もストーリーが展開していきそうですが、続きはどのように描いていく予定ですか?


コルクガシ:マドレーヌと奏太の恋模様を中心に、他キャラクターが2人とどう関わるのか、また「人魚の生態を深いところまで描けたらいいな」と思っています。


――最後にコルクガシさん自身の目標など教えてください。


コルクガシ:『マドレーヌ』以外にも描いているシリーズがあるのでそれも並行して制作したいと思っています! 読み切り漫画も、シリーズ漫画も、描きたいものがたくさん溜まっているので少しづつ消化していけた……。ジワジワと自分の中で動かしている作品もあり、描く楽しみがたくさんでワクワクしています。まずはマドレーヌと奏太をゆるりと見守ってもらえると嬉しいです。


(取材・文=望月悠木)


このニュースに関するつぶやき

  • まず水族館で暮らす人魚が居る方が気になるわ…(○´艸`)プークスクス
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