ゲレンデこと「Gクラス」は電動化しても魅力的? メルセデス「EQG」で考える

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2023年10月31日 12:01  マイナビニュース

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「ゲレンデ」の愛称でおなじみの「Gクラス」は日本でも本当によく見かけるメルセデス・ベンツの人気者だ。できれば、今のままのGクラスを今後も売り続けてほしいという声は多いと思われるが、避けられないのが電動化の波。Gクラスは電動化するとどうなるのか、コンセプトカーの「EQG」から探ってみた。


○コンセプトEQGってどんなクルマ?



メルセデス・ベンツが「ジャパンモビリティショー2023」の目玉として展示したのが、「Gクラス」の電気自動車(EV)バージョンである「コンセプトEQG」だ。フロントグリルがブルーに光る“電気のGクラス”は、どんな仕上がりなのか。


メルセデス・ベンツ日本の上野金太郎社長によると、今回の展示車両は2024年の市販化を予定しているそうだが、正式な車名が決定していないため「コンセプトEQG」と呼んでいるそうだ。電動化してもGクラスの人気はキープできるのか。走りはどんな風に変わるのか。メルセデス・ベンツのドイツ本社から来日したGクラス担当プロダクトマネージャーのトニ・メンテル氏に聞いた。



「メルセデスのGクラスは、オフロードに特化したSUVとして、1979年に軍用車から派生して誕生しました。44年の歴史を重ねた今は、高級オフロード車の世界的アイコンへと進化しています。世代を経るごとに最新のオフロード技術を取り入れる一方で、誰もがわかるGクラスらしいエクステリアデザインをキープし続けたことが成功の秘訣だったのだと思います。また、40年以上が経過しても累計生産台数が50万台であることについては、Gクラスが大量生産モデルではなく、自社の高級車戦略に合致したブランドのアンバサダー的車種になっている証拠です」


コンセプトEQGは黒/銀のツートーンカラーが印象的。フロントは中央に大きなスリーポインテッドスターが鎮座するイルミネーショングリルと丸いLEDヘッドライト、さらにその上部に取り付けられた突起状のウインカーセクションによって、誰が見てもGクラスであることがわかる顔になっている。


サイドは、従来は黒い樹脂だったモール部分が光るイルミネーションタイプになり、空気抵抗が少なそうな巨大なディッシュホイールとともに電動化をアピール。リアの横開きテールゲートには、丸いスペアタイヤカバーに変わって角が取れた四角い形状の収納ボックスを装着していた。

走行面ではオフロード走行の限界能力が高まるそうだ。4つのタイヤそれぞれにモーターを搭載し、トルク配分を各タイヤで調整することにより、従来の機械式デフロックよりもオフロードの走破性が向上するという。

○新スキル「Gターン」をアンロック! どんな技術?



今までのGクラスではできなかったという最大の特徴は、タイヤの回転方向を互い違いにすることで、その場でクルリと回転して向きを変える「Gターン」という技術を習得していること。例えば、狭いオフロードを進んでいて突然行き止まりになっても、その場で簡単に向きを変えてUターンすることができるのだ。出力の数値については明らかにされていないが、「たった1輪の出力だけでも大きなGクラスを動かせるほどの強力なパワーが備わっている」とメンテル氏は話していた。



搭載するバッテリーパックはメルセデス・ベンツグループによる内製だ。Gクラスの特徴的なラダーフレームに合わせて設計している。ハウジングはオフロード走行に伴うねじりや荷重にも耐える構造を採用。凹凸の岩場を走行する際にフロア下をぶつけても壊れない強度や、床上まで水中に没するような時でも完全に耐えることができる防水性能が備わっているという。


ちなみに、気になったので「Gターンはアスファルトの上でも可能?」と少し意地悪な質問をぶつけてみると、「グッドクエスチョン!」とメンテル氏。「技術的には可能ですが、街中の公道上などでは危険なのでやらないでくださいね」と釘を刺された。



電動化してもGクラスの人気は不動なのか。この点については「Gクラスはスポーツ選手や映画スターなど、VIPに人気のモデルです。電動化しても伝統的なエクステリアは継承しますし、特に日本ではメルセデス・ベンツ日本のスタッフがさまざまなアイデアを出して、これまでもたくさんのGクラスを販売してくれているので、まったく心配していません」とのことだった。



都内では豪快な低音を響かせて走る大排気量のAMG仕様をよく見かけることがあるのだが、これからは音のないGクラスがステータスとなっていくのかもしれない。


原アキラ はらあきら 1983年、某通信社写真部に入社。カメラマン、デスクを経験後、デジタル部門で自動車を担当。週1本、年間50本の試乗記を約5年間執筆。現在フリーで各メディアに記事を発表中。試乗会、発表会に関わらず、自ら写真を撮影することを信条とする。 この著者の記事一覧はこちら(原アキラ)

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