事前の知識は一切不要! 超初心者のための「新NISA」入門

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2023年11月03日 07:41  週プレNEWS

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知識ゼロから知る新NISA!


来年1月より、NISAが一新される。なんとなくトクな制度だと聞いたことがあっても、その中身は知らない人がほとんどでは? 現行のNISAの制度内容を含め、事前知識は一切不要! 5分でわかる、超初心者のための新NISA入門! *本記事の情報はすべて10月23日時点のデータです

【図表】新NISAで変わるポイント

■そもそもNISAって?

Q1:そもそも新NISAって何?

A1:NISAとは、2014年に始まった少額から投資を行なう人のための非課税制度のこと。「つみたてNISA」と「一般NISA」という、年間投資額や上限額、運用期間の異なる2種類が用意されている(これらの併用は不可)。

そして通常、株式や投資信託の利益には約20%の税金がかかるが、NISA制度を使うと得られる利益が非課税になる。そのNISAが来年1月からより使いやすく、メリットが大きい形にテコ入れされる。これが新NISAだ。

Q2:新NISAで具体的に何が変わる?

A2:大きく分けて「投資期間を無制限に延長」「投資枠を最大800万円から1800万円に大幅拡大」「投資枠の復活」の3点だ。順に説明しよう。

現状のNISAでは投資期間に最長20年の制限があったが、来年からの新NISAでは生涯続けられるようになる。これによる恩恵はQ3で改めて示す。

投資金額については、年間120万円を上限に投資信託などを購入できる「つみたて投資枠」と、年240万円・総額1200万円を上限に幅広い金融商品が購入できる「成長投資枠」が設定され、これらの併用も可能となる。

さらに「投資枠の復活」によって売買がしやすくなるのもポイント。現行のNISAでは投資できる金額の上限まで達すると、保有商品を売却してもその分の投資枠が復活することはなかった。ところが新NISAでは売却した翌年にその分の投資枠が復活するので、時流をとらえた売買ができるようになる。

Q3:仕組みはわかったけど、実際どれくらいトクできる?

A3:新NISAのインパクトを数字で見てみよう。

例えば株式に100万円を投資して、毎年2%の配当(企業が株主に分配するお金)を受け取り、さらに10年後に2倍の株価で売ったとしよう。この場合、通常であれば毎年2万円の配当に対して4063円、10年後の売却益100万円に対して20万3150円の税金がかかり、10年間でなんと24万3780円も差し引かれてしまう。だが、新NISAで運用すれば税金が引かれず、約124万円の利益をそのまま受け取ることができるのだ。

また、仮に数年かけて積み立てた900万円を年率5%で長期運用した場合、16年後には老後資金の目安とされる2000万円を突破し、売却すればなんと1100万円もの利益を税金なしで受け取ることができる。

要は新NISAとは、投資による資産形成を国民に定着させようと、国がガチでつくり上げたおトク制度なのだ。

■新NISAで何が買える、何を買う?

Q4:つみたて投資枠、成長投資枠はそれぞれ具体的にどんな金融商品を買える?

A4:つみたて投資枠では「主に株式に分散投資する低コストの投資信託(株式や債券がひとまとめにパッケージされた商品)」、成長投資枠では「お金を増やす力が大きい、さまざまな金融商品」に投資できる。

つみたて投資枠では、金融庁が厳選した長期積立投資向きの投資信託が対象となる。そのため、給料から天引きされる自動積立投資を設定しておいて、長期スパンで大きく育てる用途にうってつけだ。

一方、成長投資枠では投資信託に加えて、国内外の株式やETF(金融市場で取引できる投資信託)、REIT(投資対象に不動産が入った投資信託)も対象で、選択肢の幅が広い。

Q5:つみたて投資枠では何を買ったらいい?

A5:投資初心者で10年以上の長期投資が可能なら、「全世界株式インデックスファンド」がベストだろう。

インデックスファンドとは、特定の指数(株式市場全体の値動きを表す。日本株を代表する「日経平均」や米国株を代表する「S&P500」などが有名)に連動する投資信託のこと。全世界株式インデックスファンドであれば、超低コストで世界の数千銘柄に分散投資することができるので効率よく資産を増やせる。

投資に関心があり自分で工夫したい人は、「日本株」「米国株」「日本を除く先進国株」「新興国株」などの地域別ファンドや、運用担当者がインデックスを上回るリターンを目指す「アクティブファンド」に投資するのもアリだ。

Q6:成長投資枠では投資できる商品が多いので、何を買ったらいいか選択が難しい。

A6:基本方針はふたつ。収入を増やしたいか、値上がり益を狙いたいかだ。

前者なら株式の配当やETF、REITの分配金に着目することになる。これは不動産のオーナーになって家賃収入を得る感覚に近い。堅実な支払い実績のある銘柄に投資すればオートで日々のお小遣いを生み出してくれるので、生活費や娯楽資金の足しにかなり役立つだろう。

値上がり益を得たい場合は、投資している株式からの配当を払い出さずに再投資してくれる投資信託や、株価の上昇が狙える個別株に長期投資するのも選択肢のひとつだ。

■成長投資枠で押さえたいポイント

Q7:収入を増やしたい場合は、具体的には何を買えばいい?

A7:A6でも触れたが、高配当株、または分配金が多いREITへの投資がオススメだ。

証券会社のウェブサイトで希望する配当利回り(1株当たりの配当額を株価で割ったもの。配当のコスパがわかる指標)を設定して検索すれば、3000社を超える上場銘柄の中から高配当株だけを選び出すことができる。

とはいえ、高配当で銘柄を絞り込むことはできても、うっかり業績が悪い銘柄を選んでしまったら、配当が減ったりなくなったりすることもありえる。会社の決算などを見つつ複数の銘柄に分散投資をすることがベターだが、初心者にはハードルが高い。その場合は、名前に「高配当」と入っているETFを購入すると、低コストで数十〜100社以上の高配当銘柄に分散投資する効果を得ることができる。

Q8:値上がり益を狙いたい場合はどうする?

A8:自分で考えるのが面倒な人はインデックスファンドへの投資も手だ。実は成長投資枠を使ってつみたて投資枠と同じ商品へ投資することも可能で、配当を自動で再投資してくれるインデックスファンドはムダなく資産を増やせるので手堅い選択肢のひとつとなる。

自分で銘柄を選んで株式に投資する場合は、少なくとも10年以上の投資期間を取ること。その上で、高収益を長く続けられそうな銘柄に投資すると、将来の大きな株価上昇を期待できる。

例えば、半導体関連装置メーカーのレーザーテックに10年前に投資していれば、株価はなんと96倍に成長していた。仮に、来年早々に「未来のレーザーテック」に成長投資枠上限の240万円を投資することができれば、10年後には2億3000万円(!)になる計算だ。

とはいえ、このような高成長企業を見つけ長く保有し続けることは、投資のプロでも難しいもの。株式投資の利益を着実に得ていきたい人には、やはりインデックスファンドをオススメしたい。


Q9:新NISAの制度開始まであと2ヵ月。この間に何をすればいい?

A9:まずは証券会社に口座開設を申し込み、NISAの口座開設も忘れずに行なおう。年が明ければ自動で新NISA口座が開設される。大手ネット証券といわれるSBI証券、楽天証券、マネックス証券あたりが定石だ。

同時に、自分が新NISAを利用してどのような投資をしたいかを考え、それに合った金融商品を決めておこう。なお、新NISA内で購入できる投資信託とETFは、今後増える可能性がある。現時点で投資できる商品は、一般社団法人投資信託協会のウェブサイトにある「NISA成長投資枠の対象商品」ページの「対象商品リスト」コーナーで確認することができる。

取材・文/日野秀規 イラスト/沼田健

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