【新築 or 中古】今買うなら、本当に得なのはどっち? - 価格比較を交えて徹底解説!

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2023年11月08日 09:01  マイナビニュース

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新築か中古か?・・初めてのマンション購入であれば永遠のテーマとなるこの質問。真新しい状態の部屋を自分のものとして手に入れて住み始めることができる「新築」。豊富な選択肢から実際の物件・室内空間を見て選ぶことができる「中古」。それぞれにメリットがありますし、一概に「こちらが絶対ベスト!」ともいえないところがあります。



そこで今回は、今の住宅事情に合わせて両者のメリットを比較し、どちらが「得なのか」という軸で考えてみたいと思います。


■新築より中古が絶対安い、とは言えない?



一般的に、中古マンションと比較して新築マンションの方が物件価格は高額になる、と思っていらっしゃる方が大半でしょう。しかし実際には、そう一概には言えません。



マンションの価格は諸条件の掛け算で総合的に決定されるもの。例えば、下記のような要素です。



<価格を左右する要素>

・エリア

・駅徒歩分数

・築年数

・広さ

・設備仕様

・物件の所在階



中でも、エリアや駅徒歩分数などの立地条件は、マンションにおいて物件価格を大きく左右します。住宅選びは立地条件が8割を占めると言っても過言ではありません。すでにブランド立地として確立されており、高いニーズを誇るエリアのマンションであれば、当然高額になります。人気学区内のマンションも高値がつきやすくなります。



また、近年のまちづくりの多くは駅を中心とした再開発によって進められるため、生活利便施設が充実している駅周辺に近ければ近いほど、暮らしやすさが向上するような計画となっています。そのため、駅近であることはエリア内で大きなアドバンテージになり、物件価格の維持に大きく寄与します。

■「新築より中古の方が高い」は起こるのか? 比較検証してみた



このように諸条件が絡み合うことによって物件価格は決定するため、一見同じような条件を備えた物件であっても、中古マンションの方が新築マンションよりも価格が高くなる、ということは大いにありえるのです。いくつか実際のケースを見てみましょう。

ケース1: 石神井公園エリア



まず1ケース目は、西武池袋線「石神井公園」駅徒歩7分の立地に2024年3月完成予定の「ジオ石神井公園」で見てみます。阪急阪神不動産による総戸数68戸の中規模新築マンションです。同じエリアの中古マンションと比較してみましょう。専有面積や階数などまったく同条件はなく売り出し価格での単純比較はできないため、平米単価(1平米あたりの価格)で比較しています。


こうして平米単価で比較してみると、中古マンションAは築年数が20年を超えているにも関わらず、新築マンションと同価格帯あるいは10〜20万円ほど高いことがわかります。徒歩分数が1分、商業施設近接という圧倒的な駅近利便性を誇る点が、その価格を保持させている一番の要因でしょう。また、駅徒歩2分に位置する築15年の中古マンションBも、新築マンションと変わらない価格帯を維持しています。

ケース2: 赤羽エリア



別のケースを見てみましょう。こちらは目下駅前再開発計画が進むJR京浜東北線「赤羽」駅が最寄りの新築マンション「シティテラス赤羽 THE EAST / THE WEST」です。住友不動産による大規模マンションで、全438戸・敷地面積10,000平米を超えるスケール感です。

こちらも近場のマンションで比較してみると・・ここでは平米単価で見て新築の方が価格が高い傾向が見られますが、間取りによっては中古マンションの方が逆転しているケースもあることがわかります。築11年の中古マンションAは、駅徒歩分数は6分と大きく変わらず、築11年と年数も10年を超えていますが、「シティテラス赤羽 THE EAST / THE WEST」の67平米の間取りよりも、平米単価で上回っています。駅徒歩2分と最も駅近物件である中古マンションBは、築24年でありながら差額3万円 / 平米ほどと、追従しています。


赤羽エリアは、赤羽駅の東西でそれぞれ開発予定があり、こちらの新築マンションがある東側は「赤羽1丁目市街地再開発事業」として第1地区・第2地区・第3地区の3エリアに分かれた再開発が進行中。また、駅周辺は飲食店街や商店街で賑わっており、それを抜けると噴水などが整備された公園や住宅街となる街の構成なので、繁華街を避けて静かな立地を求めるファミリーなどにとっては最寄り駅までの徒歩分数が少しでも短いことが必ずしも絶対にはならないでしょう。いずれにしても再開発により赤羽エリア全体で居住性が高まることは間違いないので、今後も人気が維持あるいは上昇することが期待できるエリアです。

ケース3: 氷川台エリア



「立地条件が一番」ではありますが、「駅近が絶対」とはならないケースを、もう一つあげましょう。住所でいうと練馬区羽沢に2024年4月完成予定の新築マンション「クレヴィア氷川台」です。最寄りとなる東京メトロ有楽町線「氷川台」駅までは徒歩10分。このエリアに関しては、駅までの徒歩分数が短いことが絶対的な正義ではないことが、よくわかるかと思います。


氷川台は緑地が多く、子育てファミリーに人気の街。その中でも、「クレヴィア氷川台」が建設される立地は、約26万平米・23区北部最大の運動公園でもある城北中央公園を筆頭に、4つの公園に囲まれ、石神井川沿いの緑道も通るなどとにかく緑地が多く落ち着いた住宅街。中学校も目の前であり、駅近の利便性よりも子育て環境や閑静な住環境を重視する人たちに安定した人気を誇っています。そのため、先述のような結果になるのです。



ここでの価格比較は、住戸の所在階数や方角、採光などは加味していません。そのためあくまでも一つの参考値という扱いではありますが、必ずしも「新築の方が割高、中古の方が割安」「駅近であるほど資産価値が高い」ということではなく、そのエリアを選ぶ人たちのニーズに合致した物件に高値がつくこと。そうしたニーズや街の将来予測をおさえれば、中古であっても価格が維持されることを、知っていただければと思います。

■新築か中古か? 迷った時は、自分の価値に合わせて考えよう



ここまで見てきて、かえって検討対象が広がって困ってしまった・・という方もいらっしゃるかもしれません。そこで今回は最後に、新築マンションと中古マンション、それぞれのメリットを踏まえて、考えるプロセスをお伝えしましょう。ぜひご自分の状況に合わせて、整理してみてください。



まずは、希望エリアが決まっている場合は、新築、中古にとらわれずに探してみましょう。ポータルサイト等で調べればすぐわかる通り、新築マンションは圧倒的に売り出されている件数が限られています。首都圏の新築分譲マンションの発売戸数は、減少傾向にあります。2022年は前年比12.1%減の2.9万戸(※不動産経済研究所の報道資料より)。ピークだった2000年の9.5万戸と比較して1/3以下になっているわけです。人口減少が続く今、今後住宅供給数が増加するとは考えづらく、現在新築マンション建設が盛んなエリアでない限り、希望エリアでいずれ新築が出てくることを待つのはあまり得策とは言えないでしょう。そのため「やっぱり新築が・・」という場合も、ぜひ一度中古マンションを検討してみてください。圧倒的に選択肢の幅が違うため、「思ったより綺麗だった」「実物の空間を見ることができて、安心して購入を決定できた」など、思いがけず意思決定が進むかもしれません。



また、「新築がいい」という理由が、「真新しい状態の空間で住み始めたい」ということであれば、リフォーム済みの中古物件を検討してみてもいいかもしれません。不動産会社や施工会社がリフォームまで済ませて販売しているリフォーム済み物件・リノベーション済み物件(不動産業界では、「業者物件(業物)」とも呼ばれます)であれば、新品のような状態で住み始めることができます。また、自分で一からリノベーションをするよりも割安になるケースもあったり、住宅ローン減税の控除額が上がる場合もあります。



逆に、中古マンションではすでに住んでいる住民間でコミュニティが形成されています。既存のしがらみなどがなく、人間関係も含めてまっさらな環境で生活を始めて基盤を築いていきたいのであれば、新築マンションが良いでしょう。ただし、マンションという集合住宅を購入して住むのであれば、管理組合や同じマンション内の近隣住戸の住民などコミュニティと切り離して考えることは難しいため、その点は中古でも新築でも変わりません。

■1〜2年しか住まないなら新築よりもコスパが良い中古を



さらに、1〜2年しか住まない予定であれば、新築マンションは購入後の下落幅が大きいため「資産価値」の観点で考えるとあまりコストパフォーマンスが良いとは言えません。新築マンションは購入後に住み始めた途端に「中古物件」扱いとなり、通常2割程度値段が落ちます。これは中古マンションと違って新築マンションの販売価格には、モデルルーム費用や土地の仕入れ費用、建築費用や広告費用、ディベロッパーの利益など、様々な費用が含まれているためです。そのため単純計算で考えると、フルローンで新築マンションを購入して1〜2年程度で売却した場合、値段が下がった2割分だけ借金が残されてしまう・・という理屈になります。値下がり幅を最小限にするのであれば立地最優先で、今後再開発が行われて値上がりが期待できる立地を選ぶ、というのも一案でしょう。



最後に、「賃料を払い続けているのがもったいないから購入を検討している」方の場合は、少しでも早めの意思決定が吉です。探している間にも、今の賃貸住宅での賃料は発生しています。欲しいエリアに新築・中古マンションが出てくるのを待つよりも、近しい条件を持つ別のエリアを検討するか、希望エリアの周辺や条件を緩和するなどして、購入を進める方が賢明な選択といえるでしょう。



自分の手元に残るお金が増えれば、それだけ暮らしに余裕が持てたり、キャリアや趣味に投資することも可能になります。自分にとっての最適解を冷静に見極めて、少しでも早く理想の住まいで「今より、良い暮らし」をスタートしましょう!



針山 昌幸 はりやま まさゆき 株式会社Housmart 代表取締役。相場を確認しながらかしこく中古マンションが売買できるアプリ「カウル」やメディア『マンションジャーナル』、不動産仲介会社向けの営業支援システム「プロポクラウド」など、住まい選びをより自由にすべく幅広く事業を展開。著書に『中古マンション本当にかしこい買い方・選び方』(日本実業出版社)。 この著者の記事一覧はこちら(針山 昌幸)

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