マンCのFWドクが4アシストの偉業！　ベルカンプやケインのプレミア記録に並ぶ

　マンチェスター・シティのFWジェレミー・ドク（21歳）が、デニス・ベルカンプやハリー・ケインといった偉大な名選手たちと肩を並べた。

　ベルギー代表の若きウィンガーは、11月4日に行われたプレミアリーグ第11節のボーンマス戦で偉業を成し遂げた。前半30分にMFロドリとのワンツーで中央を切り裂いて先制ゴールを奪ったドクは、そこからアシストを量産。巧みな切り返しからMFベルナルド・シルヴァのゴールをお膳立てすると、その4分後にはボックスの外から左足のミドルシュートを決めたが、これがDFマヌエル・アカンジに当たっていたためゴールではなく2アシスト目。



　後半に入ると、64分にドリブルで仕掛けてからMFフィル・フォーデンの得点を生み出し、83分には自陣深くからロングスルーパスで再びMFベルナルド・シルヴァのゴールをアシストした。その後もチームはDFネイサン・アケがネットを揺らして6−1の快勝。珍しくFWアーリング・ハーランドは不発に終わったが、その代わりにドクが「1ゴール・4アシスト」と大いに躍動した。

「グレートな選手さ」と試合後の会見でジョゼップ・グアルディオラ監督もドクを絶賛。「彼は初出場のフルアム戦ではシャイだったが、次のウェストハム戦から素晴らしかった。彼は単に一対一や一対二の局面を打開するだけではない。ちゃんと何をすべきか流れを読む。ボックス付近では、いつも『仕掛けろ』と伝えているんだ。狭い局面で彼ほどの能力を持った選手はあまりいないからね。5メートルなら彼は最速選手の一人だと思う。5メートルの間にリズムを変えられるのが凄いね。もちろん、ドリブルが無理だと思えば、正しい判断をする。私はそこに感心させられているのさ」

　さらに守備面の貢献にも触れた。「守備時には、相手に簡単に抜かせない。これでまだ21歳だからね。チキ（フットボールダイレクターのチキ・ベギリスタイン）が素晴らしい買い物をしてくれた。ドクには、今後何年もここで活躍して貰いたい。彼がボールを持つと、観客もそうだし、私もワクワクするからね。何かやってくれそうなんだ」

　監督が語った通り、今季フランスのレンヌから加入したドクは、まだ21歳の若手プレーヤーなのだ。そして「21歳161日」での出場となったボーンマス戦で、プレミアの「1試合5点に関与」と「1試合4アシスト」の最年少記録を樹立したのだ！

　この「4アシスト」というのはプレミアリーグの1試合での最多記録であり、過去に7名の選手が達成しているので紹介しよう。こちらが、1試合4アシストを達成した偉大な選手たちだ。

[写真]＝Getty Images

■デニス・ベルカンプ



　1992年に発足したプレミアリーグにおいて、初めて1試合4アシストを達成したのはオランダの英雄、デニス・ベルカンプだ。圧倒的な発想力と柔らかいボールタッチでアーセナルの攻撃をけん引したベルカンプは、1999年2月のレスター戦で4つのアシストを記録して5−0の勝利に貢献した。DFラインの裏に柔らかいパスを送って快速アタッカーのFWニコラ・アネルカの2ゴールをお膳立て。結局、アネルカはこの試合でアーセナルでの初のハットトリックを達成するのだった。

Where does Dennis Bergkamp rank among @Arsenal's best ever players? 😍 pic.twitter.com/1NJL8TgS2L— Premier League (@premierleague) June 20, 2023

■ホセ・アントニオ・レジェス



　ベルカンプの4アシストから7年後、再びハイバリー（アーセナルの旧本拠地）で偉大な記録が誕生する。2006年1月14日、ミドルズブラをホームに迎えたアーセナルは開始20分にエースのFWティエリ・アンリが先制ゴールを決めると攻撃力が大爆発。その後、元スペイン代表のレジャスがアンリの2点目と3点目をお膳立てするなど4アシストを達成し、7−0でミドルズブラを粉砕した。アーセナルにとってプレミアでの最大の勝利である。

　レジェスの記録も話題になったが、見出しを飾ったのはアンリだった。この試合のハットトリックで、アンリはクリフ・バスティンが保持していたアーセナルのリーグ戦における歴代最多ゴール（150点）に並んだのだ。「彼が一流の選手になることは予測していたが、こんなにゴールを決めるとは誰が想像できただろう？　私は出来なかった」と試合後にアーセン・ヴェンゲル監督もアンリの記録を称えた。

　その記録をお膳立てしたレジェスは、2019年に不慮の事故により35歳の若さで帰らぬ人となった。

🗓 #OnThisDay in 2006
🆚 Arsenal 7-0 Middlesbrough
⚽️ Henry (3), Senderos, Pires, Gilberto, Hleb

A big win in our final season at Highbury 👍 pic.twitter.com/GFAoZfGpbz— Arsenal (@Arsenal) January 14, 2019

■セスク・ファブレガス



　プレミアリーグ史上最高のゲームメイカーの一人であるセスク・ファブレガスも4アシストを達成している。2009年10月4日のブラックバーン戦でロビン・ファン・ペルシやアンドレイ・アルシャヴィンなどのゴールをお膳立てしたほか、自らもボックス外から左足のボレーシュートを決めて1ゴール・4アシストの大車輪の活躍。キャプテンとしてチームを6−2の勝利に導いた。

　ファブレガスはその後もアシストを積み重ね、ライアン・ギグスに次いでプレミア歴代2位の111アシストを記録することになる。

■エマニュエル・アデバヨール



　次も元アーセナルの選手だが、FWエマニュエル・アデバヨールが4アシストを達成したのはノースロンドンのもう1つのクラブ、トッテナムに所属しているときだった。2012年2月のニューカッスル戦でルイ・サハの2得点を生み出すなど4アシストを達成したあと、最後は自らもネットを揺らして1ゴール・4アシスト。チームの全5ゴールに絡んで5−0の勝利に貢献した。

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A five-star display against Newcastle in 2012!#THFC ⚪️ #COYS pic.twitter.com/h1cGGReAXF— Tottenham Hotspur (@SpursOfficial) August 22, 2019

■サンティ・カソルラ



「4アシスト」はアーセナルの“お家芸”のようで、スペインの両利きプレーメーカーも記録を達成している。サンティ・カソルラは、ウィガンをホームに迎えた2013年5月の試合で4アシスト。FWルーカス・ポドルスキの2得点など、アーセナルの全4ゴールをアシストして4−1の勝利に導いた。

　ちなみに、ウィガンはこの試合の3日前にFAカップ決勝でマンチェスター・シティを下して初の栄冠を手にしたが、アーセナルに敗戦を喫して降格が決定。以来、彼らはプレミアの舞台に戻ってこられていない。

■ハリー・ケイン



　世界有数の点取り屋は、優秀なパサーでもある。現在バイエルンで面白いようにゴールを量産しているイングランド代表FWハリー・ケインは、トッテナム時代の2020年9月のサウサンプトン戦でチームの全5点に絡む1ゴール・4アシストという活躍を見せた。しかし、マン・オブ・ザ・マッチに輝いて称賛を浴びたのは彼ではなかった。

　この試合の主役となったのはFWソン・フンミン。韓国代表ストライカーはケインからの4アシストを受けて4ゴール。プレミアでの自身初となるハットトリックを達成したのだ！　ちなみに、プレミアで「1試合4アシスト」をアウェイゲームで達成したのはケインしかいない。

Incredible Son Heung-min 🙌

The South Korean scored FOUR times as Spurs beat Southampton, #OnThisDay last year 🇰🇷 pic.twitter.com/gVj9QnBpoB— Premier League (@premierleague) September 20, 2021

■ポール・ポグバ



　2021年8月の開幕戦では当時マンチェスター・ユナイテッドに所属していたMFポール・ポグバが4アシストを達成した。コロナ禍を経て18カ月ぶりに満員となったオールド・トラッフォードで、ポグバは華麗なパスで仲間のゴールをお膳立て。そしてポルトガル代表MFブルーノ・フェルナンデスがプレミアでの初のハットトリックを達成し、7万人を超える大観衆を大いに盛り上げた。

𝑨𝒏 𝒂𝒓𝒕𝒊𝒔𝒕 𝒂𝒕 𝒘𝒐𝒓𝒌.

🎨 @PaulPogba#MUFC pic.twitter.com/GmeenPwexw— Manchester United (@ManUtd) August 18, 2021

（記事／Footmedia）