「鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎」の尺は104分59秒、時間ギリギリまで詰め込まれた監督の思い

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2023年11月19日 16:54  コミックナタリー

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映画「鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎」公開記念舞台挨拶より。左から古川登志夫、木内秀信、関俊彦、沢城みゆき、古賀豪監督。
水木しげる原作による映画「鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎」の公開記念舞台挨拶が、本日11月19日に東京・新宿バルト9で開催された。

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11月17日に封切られたばかりの「鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎」は、水木の生誕100周年記念作品。昭和30年代を舞台に、鬼太郎の誕生と、かつての目玉おやじの秘密に迫るストーリーが展開される。本日の舞台挨拶には鬼太郎の父役の関俊彦、水木役の木内秀信、鬼太郎役の沢城みゆき、ある謎の少年役の古川登志夫、古賀豪監督が登壇した。古賀監督は「制作発表から2年以上、大変お待たせいたしました。つい先週まで作ってまして、出来立てほやほやです」と挨拶する。

最初に脚本を読んだときの感想を聞かれ、関は「『ゲゲゲの鬼太郎』という作品でこんなに重いテーマを扱っちゃっていいんですか?と。人間の愚かさや醜さが真正面から描かれていて、読みながら胸が痛みました。しかし、そんな人間の愚かさに立ち向かえる勇気をくれる作品でもあります」と回答。木内は「1ページ1ページゆっくりめくりながら謎が解けていくのが、いちファンとして楽しかったです」と述べる。沢城は「台本を読み終わってすぐ、ねこ娘役の庄司宇芽香ちゃんに『もう霊毛ちゃんちゃんこ、おいそれと投げれないよ!』と連絡しました。先祖の霊毛で編まれていることは皆さんもご存知だと思うんですが、もっと大切に扱わなければいけないということが映画を観ていただくとわかると思います。しばらくはリモコン下駄と髪の毛針で戦わせていただこうかな」と笑いを誘う。

鬼太郎の父について、関は「一見すると飄々とした、柳に風というようなイメージですが、心の中には自分よりも大事なものがあり、命に変えても守り抜くという強い信念を持っているキャラクター」と紹介。ここで沢城が「はい!」と元気よく切り出し、歴代アニメで目玉おやじを演じた田の中勇や野沢雅子のことは意識したのかと関に質問する。すると関は「いい質問!」と顔を綻ばせ、「小学校に上がる前から『ゲゲゲの鬼太郎』はずっと観ていて、田の中さんやマコ(野沢)さんの演じるキャラクターは体に染み付いていたので、そこまで意識することなく役に入っていけました」と答えた。

もう一方のメインキャラクターである水木は、血液銀行に勤めるサラリーマンで、密令を背負い、自らの出世のため作品の舞台となる哭倉村(なぐらむら)に訪れるキャラクター。木内は「昭和の初めの、高度成長期の力強い男性を演じてほしいと監督にご指示いただきまして。なるべく実写に近い形で自然にやっていただきたいとディレクションがありました」と話す。沢城は水木の話になるとテンションを上げ、「カッコいいんですよー! 木内さんが一言一言しゃべるたび、昭和にタイムスリップしたかのような感覚になりました。ぜひお楽しみに!」と力強くアピールした。

鬼太郎の父親たちを描く同作の制作意図について、古賀監督は「TVアニメ6期で水木の話が何回か出てきましたが、少し触れるだけだったので、いつかしっかり描こうと話しておりました。鬼太郎が誕生する以前というのは、水木先生がお描きになっていらっしゃらない部分。我々が作っていいのかという思いもあり、水木先生の著作物から、先生が生きてきた昭和の時代のことをすごく勉強しました。水木先生がもしこの令和の時代にいたならば、描きたかったのはこういうことなんじゃないかなと探りながら作業させていただきました」とコメント。また「シナリオに1年ぐらいかかったかなと。最終的に100分に収めなきゃいけない中、シナリオの時点で120分ありまして。それをコンテ切りながら削っていくのは苦しい作業でした。できることなら全部詰め込みたいという思いがあって、どうしても収められないから、もう少し尺がほしいと言ったら『じゃあ4分。5分はダメ』と。だからこの映画は、104分59秒なんです」と明かした。

見どころを聞かれると、沢城は「手描きの戦闘シーン!」と挙げる。「描いてる人の思いが乗り移ったかのよう」と続けると、古賀監督は「うちのエースアニメーターがほぼ1人で描いてるんです。実際に本人たちでアクションをして、動画を撮って、それをもとに描いてる。表情まで作って動いてました」と裏話を披露する。関は「印象深かったのが、背景の美しさ。水木が哭倉村を訪ねて行ったとき、目の前に山や湖などの田園風景が広がっていて。この昭和の美しい自然を、皆さんにも堪能していただきたい。物語は後半で禍々しい展開になっていくので、そこでマイナスイオンを取り入れて、きついシーンに備えていただければ」と冗談混じりにアドバイスする。

最後に関は「妖怪や人間に限らず、動物や植物、小さな虫に至るまで、命というものを持つすべてのものに対して伝えたい愛が描かれている作品です」と映画を紹介。木内は「『ゲゲゲの鬼太郎』の物語、鬼太郎というキャラクターを通じて、水木しげる先生が世に放ったメッセージがここにも力強く生き続けているなというのを強く感じました」と述べる。古賀監督は「観終わった後、誰かとすごく語り合いたくなるような作品です。ミステリーの核心以外はネタバレしてもらってもいいかなと思いますので、ぜひ皆様で感想を広めていただけたら」と呼びかけた。

■ 映画「鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎」
公開中

□ スタッフ
原作:水木しげる
監督:古賀豪
脚本:吉野弘幸
キャラクターデザイン:谷田部透湖
美術監督:市岡茉衣
色彩設計:横山さよ子
撮影監督:石山智之
製作担当:澤守洸、堀越圭文
制作:東映アニメーション
配給:東映

□ キャスト
関俊彦、木内秀信、種崎敦美、小林由美子、白鳥哲、飛田展男、中井和哉、沢海陽子、山路和弘、皆口裕子、釘宮理恵、石田彰、古川登志夫、沢城みゆき、庄司宇芽香、松風雅也、野沢雅子

※記事初出時、キャラクター名の表記に誤りがありました。お詫びして訂正いたします。

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