J1昇格の残り1枠を勝ち取るのは? 東京V、清水、山形、千葉4チームの強みとカギになる選手

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2023年11月24日 07:01  webスポルティーバ

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J1昇格の残り1枠を懸けて4チームが争う、J1昇格プレーオフが行なわれる。東京ヴェルディ、清水エスパルス、モンテディオ山形、ジェフユナイテッド千葉のどこが勝ち上がるのか。各チームの特徴とカギになる選手を探った。

【東京Vの強みは強固な守備力】

 今季のJ2はFC町田ゼルビアが2節を残して優勝を決めた一方で、自動昇格の残り1枠とJ1昇格プレーオフ出場権は最終節まで持つれる大混戦。

 最終的にジュビロ磐田が2位で自動昇格を決め、プレーオフの4枠に名を連ねたのは、東京ヴェルディ(3位)、清水エスパルス(4位)、モンテディオ山形(5位)、ジェフユナイテッド千葉(6位)の4クラブとなった。

 準決勝で3位の東京Vと対戦するのは6位の千葉。前者は16年ぶり、後者は15年ぶりと、ともに久しぶりのJ1昇格を狙うオリジナル10同士のカードとなった。

 最終節まで自動昇格の可能性を残し、惜しくも3位となった東京V。今季のチームの強みはリーグ最少の31失点という強固な守備力だ。クリーンシートは優勝した町田を凌ぐ23試合と圧倒的な数字を残し、終盤10試合で6勝4分と負けなしだった。

 4−4−2を基本システムに、相手のビルドアップでは積極的なハイプレス、ミドルサードではコンパクトな陣形を崩さず、カウンタープレスの意識と強度も高い。相手に自由を与えないタイトな守備で、シーズンを通して大崩れしない安定感を示した。

 注目は7月にセレッソ大阪から期限付き移籍で獲得したMF中原輝だ。左利きのテクニシャンはサイドで縦にドリブル突破もできるし、中へ持ち運んで決定的なパスを出すこともできる。途中加入ながら5得点4アシストと中原がサイドで起点となり、多くのチャンスを創出してきた。

 そのチャンスを中央で仕留めるのがFW染野唯月。鹿島アントラーズから7月に加入し、デビューとなった第25節の町田戦でいきなり2ゴールの活躍。ボックスでの駆け引きと勝負強さを持つストライカーである。

【千葉も負けず劣らずのハイプレス】

 一方の千葉は、シーズン序盤は開幕戦こそ勝利したものの、その後は3分5敗と8試合勝ち星から遠ざかる苦しいスタートとなった。

 しかし、シーズンを折り返すあたりからチーム状態が上向き、急激に勝ち点を積み上げて8月から10月にかけて7連勝も達成。最終節を残してプレーオフ圏内を確実にしたが、V・ファーレン長崎に敗れたことで6位となった。

 千葉も4−4−2のシステムを基本にし、東京Vに負けず劣らず全体で連動したハイプレスの強度が高く、ハードワークを厭わないチームだ。この準決勝も互いにハイプレスを仕掛ける激しい試合が予想される。

 強力な守備をベースにタレント豊富な攻撃は迫力がある。ゲームメイクに長けるダブルボランチが中心となるが、両サイドハーフが幅を取り相手のライン間で巧みに起点となる。MF風間宏矢は相手にとって捕まえづらいだろう。

 左サイドのFWドゥドゥの突破力も大きな武器だ。7月の途中加入ながら7得点と決定力もあり、第39節東京V戦では圧巻の2ゴールと個の力を見せつけた。

 3位の東京Vは引き分け以上が勝ち上がりの条件。今季もっともクリーンシートの多いチームにとって優位であることは間違いない。第39節で対戦した際は(3−2で東京Vの勝利)、東京Vのハイプレスがはまり、守備で圧倒しながら16本のシュートを浴びせ、終盤の逆転劇を呼び込んだ。

 しかし、一発勝負のラウンドでは時の運や大胆さが勝負を分けることは往々にしてある。

 前述したドゥドゥの2ゴールのような大胆さは、勝利が必須で割りきって戦える千葉のほうがより表現しやすいだろう。そういった意味では、今季13得点と飛躍したエースFW小森飛絢の活躍も千葉のカギを握りそうだ。

【乾貴士を中心とした攻撃が光る清水】

 準決勝のもう一つのカードは、清水(4位)対山形(5位)。清水は2位で最終節を迎えながら、水戸ホーリーホックに引き分けたことで4位に転落。自動昇格を目前で逃し、プレーオフに回ることとなった。

 開幕から5試合連続で引き分け、その後2連敗。7試合連続で勝ち星を挙げられず、ゼ・リカルド監督を解任し、秋葉忠宏をコーチから監督に昇格させた。それまでの4−4−2から4−2−3−1にシステムを変更し、MF乾貴士をトップ下に据えたことが清水の転機となった。

 第8節で東京Vに勝利すると、そこから8戦で6勝2分、第23節から9勝5分で14試合無敗を記録した。

 サイドから中央へポジションを移したことで、使われる側から周囲を使う側となった乾は、得意のドリブルやキープ力でラインを破り、周りへ時間とスペースを生み出した。またパスセンスも光り、周囲のタレントたちを躍動させた。よりゴールに近いポジションになったことで得点数も伸び、今季10得点10アシストと新境地で圧倒的な輝きを放った。

 タレント豊富な陣容のなかでもっとも危険なのは、言うまでもなくエースのFWチアゴ・サンタナで、乾との縦ラインはJ2屈指。また、15得点でチーム内得点王のカルリーニョス・ジュニオの突破力と決定力も強烈で、乾との息の合ったポジションチェンジは山形にとって捕まえづらく、非常に厄介だ。

【山形はシーズン終盤の勢いを生かせるか】

 山形は最終節でプレーオフ圏内を争うヴァンフォーレ甲府を相手に、アディショナルタイムの逆転弾による劇的勝利によって千葉、甲府をかわして5位となった。

 山形も清水同様に序盤戦で大いに苦しんだ。開幕2連勝を飾ったものの、その後に5連敗。ピーター・クラモフスキーが早々に監督解任となり、渡邉晋がコーチから監督に昇格したのは清水と同じ流れだ。渡邉監督が就任後も3連敗を喫し、クラブワーストの8連敗と不名誉な記録を作ってしまった。

 一時は21位まで順位を落とすも第16節から5連勝を達成するとじわじわと順位を上げ、ラスト5試合で今季3度目の5連勝でプレーオフ圏内を勝ち取った。浮き沈みの激しいシーズンだったことは、21勝4分17敗という戦績を見てもよく窺える。

 山形の武器はMFイサカ・ゼイン、MFチアゴ・アウベス、FW宮城天ら、両ウイングの攻撃力だ。

 13得点でチーム内得点王のチアゴ・アウベスは突破力と決定力に優れ、宮城は持ち前のテクニックによってサイドで起点になれる。右ウイングのイサカ・ゼインの大胆でスピードあるドリブルは攻撃を勢いづかせる。

 第34節のアウェーの清水戦では、チアゴ・サンタナの個の力やミスを突かれて前半で3点を奪われて敗戦している。この準決勝では清水の圧倒的な攻撃をどうしのぎ、前線のタレントにどう繋げるか。知略家・渡邉監督の采配が試される。

 自動昇格を取り逃した清水と比べ、最終節の逆転でプレーオフ圏内に滑り込んだ山形には一発勝負でメンタル的に追い風となる勢いがあり、5位からの下剋上でJ1昇格を手にする可能性は十分にある。

 6年ぶりに開催されるJ1昇格プレーオフでどんなドラマが生まれ、最後のひと枠を勝ち取るのはどのクラブなのか。

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