トヨタ「カローラレビン」が今でも人気な理由は? 初代27レビンに乗る

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2023年11月27日 11:41  マイナビニュース

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トヨタ自動車の「カローラレビン」は根強い人気を誇るクルマだ。『頭文字D』で有名な「ハチロク」(4代目モデル)は、峠へ行くと今でもよく見かける。レビンがファンを引き付ける理由を探るため、今回は「Vintage Club by KINTO」の「特選旧車レンタカー」で初代モデル(通称:27レビン)を借りて乗ってみた。


○カローラレビンに28年の歴史あり



クルマのサブスクでおなじみのKINTOは、旧車を楽しむコミュニティ「Vintage Club by KINTO」で「特選旧車レンタカー」を展開している。10車種を超える旧車が2〜3万円台から借りられるので、旧車に興味のある初心者にもオススメのサービスだ。今回はレンタカーの中でも人気の「カローラレビン」に乗ってみることにした。



カローラレビンは1972年から2000年までトヨタが製造していたクーペタイプのコンパクト乗用車。姉妹車である「スプリンタートレノ」(カローラレビンと車台を共有している)は「雷鳴」、カローラレビンは「稲妻」を意味する車名だ。どちらも走りにこだわった高性能モデルとして登場した。



上位モデルの「セリカ」と同じ排気量1,600ccのエンジンを搭載しながら、最高速度は190km/hと高い動力性能を実現していたカローラレビン。それでいて、セリカよりもわずかに安い81.3万円という値段だったこともあり大ヒットとなった(1970年発売のセリカ1600GTは87.5万円)。


歴代のカローラレビンの中でも、1983年に発売となった4代目は「ハチロク」の愛称で親しまれ、一部のファンから絶大な支持を得ている。筆者が関わっている大学自動車部でも、4代目ハチロクに憧れているという学生さんがたくさんいる。



カローラレビンはその後もモデルチェンジを繰り返し、1995年に登場した7代目が最終モデルとなった。時代の変化とともに、クーペが売れなくなった影響だろう。生産終了は2000年だった。KINTOでレンタルできるのは1974年式の初代モデル(通称:27レビン)である。


実車を見て驚いた。49年も前のクルマとは思えないほど車体がキレイだったからだ。傷やへこみが少なく、ピカピカに磨き上げられている。担当者によれば、大きな修復歴などはないらしい。



セリカと同型の1,600ccエンジンは最高出力115PS、最大トルク14.5kg・mを叩き出す。5人が乗車して、停止した状態から400mまで進むのに要する時間は16.3秒だ。当時としてはかなり高い動力性能だといえる。大径タイヤの装着を想定した大ぶりのオーバーフェンダーも迫力がある。


運転席のシートは一見すると平らに見えるが、座るとカラダをしっかりとホールドしてくれる。バケットシートとまではいえないが安定感は高い。着座位置は思った以上に低いので、前に乗った1973年式の「セリカ1600GT」(ダルマセリカ)よりも視界は若干悪くなる印象だ。


乗り込むと気分が高揚する。3連のメーターパネルを見れば否が応でもワクワクするし、シルバーに光るペダル、シンプルにまっすぐ伸びたシフトレバー、金属部がむき出しのサイドブレーキなどに触れると自然と気分が上がってくる。手や足で実際に触れるパーツには無駄な装飾がない。シンプルなパーツはまるで、走行性能の高さを実直にアピールしているかのようだ。


○加速したら本性を現したカローラレビン



個体差があるとはいえ、旧車は往々にしてクラッチペダルが重すぎたり軽すぎたりするものだが、カローラレビンの試乗した個体は硬さがほどよくて踏み込みやすかった。ブレーキもしっかり効くし、乗っていてペダル操作の不安は一切なかった。


アクセルを踏み込むと野太いエンジン音とともにパワフルに吹け上がり、「稲妻」の名にふさわしい音を奏でる。同じ型のエンジンのはずだが、車重が軽いせいかセリカ1600GTよりも力強く、俊敏に加速していく印象だ。キビキビと走り、すべてのギアポジションで太くなめらかにエンジンが回転していく。さすがは、走りにこだわって作られたカローラレビンだ。このあたりに人気の理由があるのかもしれない。



49年も前の旧車だから当たり前だが、アイドリング時の揺れは、ここ最近試乗した旧車の中でも最も大きかった。極端に言えば、体感としては10年ほど前のディーゼルの4トントラックかというくらいの振動だ。足回りの話をすれば、40km/hくらいでも道路の継ぎ目を通過した際の上下の揺れがすごい。このあたりは割り切って乗るクルマなのだろう。ただ、道路沿いの縁石などに乗り上げても突き上げが少ないのは意外だった。


車内にオイル(主にガソリンのような)の匂いが充満している点は人によっては気になるかもしれないが、こうした匂いも旧車の魅力と捉えたいところだ。

○後席の居住性は意外に良好



カローラレビンのサイズは全長3,955mm、全幅1,595mm、全高1,335mm、ホイールベース2,335mm。セリカ1600GT(全長4,165mm、全幅1,600mm、全高1,310mm、ホイールベース2,425mm)と比べると一回り小さい。現代のクルマと比較するとかなり小振りなわけだから、当然ながら後席への乗り込みは窮屈で苦労したのだが、いったん乗り込んでしまえば天井の圧迫感がなく快適だった。


「Vintage Club by KINTO」の「特選旧車レンタカー」は期間を区切って数台ずつが日本各地を巡回しているようなイメージ。カローラレビンの直近の動きとしては、2023年12月28日までトヨタモビリティ東京有明店で借りることができる。料金は8時間で3万円だ。



トヨタカローラ大分では11月から「Vintage Club by KINTO 大分キャラバン」として特選旧車レンタカーが始まっている。1982年式のトヨタ「ソアラ 2.8GT-Limited」や1999年式のトヨタ「アルテッツァRS200 Zエディション」、1975年式のトヨタ「セリカ リフトバック2000GT」など、往年の名車がそろうラインアップは超豪華だ。期間は11月1日から翌年1月31日までとなっている。



旧車のレンタルは全国的に大好評で、ホームページを確認してみると車種によっては予約で埋まっている週も少なくない。少しでも気になったらKINTO Vintage Clubをチェックしてみてほしい。


室井大和 むろいやまと 1982年栃木県生まれ。陸上自衛隊退官後に出版社の記者、編集者を務める。クルマ好きが高じて指定自動車教習所指導員として約10年間、クルマとバイクの実技指導を経験。その後、ライターとして独立。自動車メーカーのテキスト監修、バイクメーカーのSNS運用などを手掛ける。 この著者の記事一覧はこちら(室井大和)

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