ヒトを恐れない「危険なクマ」を増やす可能性も…身近なレジャーに潜む無意識のNG行為

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2023年11月29日 21:21  All About

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全国各地でクマ被害が頻発しているが、身を守るために何をすればよいのか。野生のクマに遭遇した体験談とともに、人身被害を避けるために覚えておきたいこと、また知らずにやっているかもしれないNG行為を紹介。
日本全国で熊の被害が増加している。北海道にはヒグマ、九州をのぞく本州と四国にツキノワグマの生息が確認されており(※1)、生息数調査によると北海道で1万頭、本州・四国で合わせて4万頭を超え、全国的に増加傾向にある。

2023年のクマ被害は史上最多ペース

北海道全域に生息するヒグマ(左)と、本州以南に生息するツキノワグマ(右)

全国のクマによる人的被害は一定ではなく、年度によって大きく増減する。2020年に過去最悪の158名の被害者数となっていたが、2023年はそれを超えて10月現在、史上最多となる180名もの被害者数(※2)となっている。

「熊の餌となる果実が山に少ない」不作の年には、熊は餌を求めて人里近くに活動範囲を広げてしまうのだ。

筆者は過去20年以上、山梨県を中心に関東や中部地方の山歩きをしているのだが、誰もが知る人気の登山コースにおいても「クマ出没注意!」の看板を見かけることが多くなった。

そんな筆者も、かつて出会い頭にクマと対峙してしまったことがある。それは東海自然歩道というハイキングコースのある山梨県の足和田山から、単独で降りてくる途中の出来事だった。

こんな場所で!? 野生のクマと対峙した「体験談」

登山というほどでもないハイキングコースにもクマは出没する

東海自然歩道の途中の、登山というほどでもない足和田山の見晴台から西湖へ続く道を、1人だけでやや早足で山道を下山していると、突然大型の動物が飛び出してきて、あろうことか登山道の真ん中で立ち止まった。こちらもその場で歩みをとめると、数メートル先でこちらをうかがうように顔を向けてきたのだった。

それがクマだと認識すると同時に、これまで山でクマと遭った時のために覚えていたマニュアルが頭を駆けめぐった。

とにかく目をそむけたり、急に後ろを向いて駆け出したり、大声を上げて熊を興奮させてはいけない。少しずつ後ずさりしてクマとの距離を広げながら、襲いかかってくる最悪のケースにどう反撃するかを考えつつ身構えていた。

クマとのにらみ合いは数十秒から1分近くにも感じたのだが、幸いなことにクマの方から顔をそむけ、反対側の木々の中に姿を消し、危機を逃れる事ができた。いったん頂上まで戻ると周囲にいた人に注意喚起をし、クマが消えた方向とは遠い登山道路を選んで下山した筆者は、無事にめざす湖畔にたどり着くことができたのだった。

後から冷静に考えると、そのクマは出没した登山道の道幅いっぱいほどある体長1.5メートル前後の成獣であり、その年も山に餌が少なかったのだろうか、かなり痩せていたように見えた。

数十分後に湖畔に降りると巡回中の山梨県警のパトカーがいたので、呼び止めてクマの目撃情報を報告すると、その後地域に警報が発令されたようであった。

後に、地元の猟友会が周辺の山に入ったとのニュースを聞いたが駆除されたかどうかは定かではない。一帯は観光客で賑わう観光地であり、キャンプ場も多い場所だ。自分もまさかそんな人の多いところで野生のクマと出会うとは思いもよらなかった。

山間部で「絶対にやってはいけない」こと

キャンプでクマ被害に遭わないために、食材の扱い方にも配慮したい

山歩きの趣味があったり、クマの生息域近くでキャンプや野外活動をすることが多い人が、「絶対にしてはいけない」ことがある。

(1)食べ物を捨てない
食べ物の匂いのついたゴミや残り物の投棄、屋外での食料の保管である。

ヒトのそばに行けば餌が手に入るという知識や習慣をクマに与えてしまい、ヒトを恐れない危険なクマたちを増やしてしまうからだ。

(2)クマの生息域に立ち入らない
なお、突然クマと出くわした時の対処法に必ず有効といえるものはない。クマにも個体差があり、最も確実なのはクマの生息域に立ち入らないことだ。

(3)子グマでも近寄らない
もしも山でかわいらしい子グマと遭遇しても絶対に近寄らず、即座にその場から離れなければならない。近くにはかなりの確率で親グマが存在しており、子グマを守るために人に襲いかかる可能性が高いからである。

基本的には、登山客が多い場所にはクマの方も恐れて近寄らないし、「熊鈴」も一定の効果を持っていると考えていいだろう。しかし、誰かが人を恐れないクマを作り上げてしまっている場合はこの限りではない。

またレンジャーや伐採などの山の仕事をしている人は、クマの撃退用に「熊スプレー」なるものを携帯している人もいるが、これも経験のない人が効果的な距離までクマを引きつけて鼻先を狙って正確にスプレーするのは至難の技だ。クマはその一撃で人を死に至らしめる爪と力を持っているのだから。

高尾山付近で……観光客の危険な行為

数年前に有名な登山家が奥多摩の低山でクマに襲撃され、顔の一部を失うほどの重症を負ってしまったのは衝撃的なニュースだった。

山のノウハウを熟知した登山家でもクマに襲われたら無事ではいられない。

先日、高尾山の頂上付近でこんなことがあった。野生のタヌキと遭遇した観光客が自分の弁当を与えていたのだ。その様子を見かけた筆者はすぐに注意したが、当の観光客はそれがどんなに危険なことを巻き起こすのか全く分かっていないようだった。

クマの嗅覚は数キロ先の食べ物の匂いを嗅ぎ分ける。人の減った夜間になって、クマが食べ物を求めてその場所に現れてたとしても不思議ではないのだ。

<参考>
※1:日本に生息する2種のクマ、ツキノワグマとヒグマについて(WWFジャパン)
※2:クマ類による人身被害について [速報値](環境省)

和田 隆昌プロフィール

感染症で生死をさまよった経験から「防災士」資格を取得。民間・個人における災害対策全般に詳しい。アウトドア、サバイバル術も得意。『今日から始める 生活防災』(ワニブックス)ほか著書、講演会、テレビなどマスミ出演多数。All About「防災」ガイド。
(文:和田 隆昌(災害危機管理アドバイザー))

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  • メガソーラー撤去しブナ等の森の再生。二酸化炭素吸収するし豊かな海も創る。同時にマタギ等の山人の知恵を後世に伝承する事も忘れてはいけない。
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