モラハラ夫と離婚が成立、実家に戻ったら「何かがおかしい」。55歳女性が直面した“次の地獄”

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2023年11月30日 22:11  All About

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夫と子どもたちにせっせと仕え、生活のためと夫のモラハラにも耐えてきたけれど、結局離婚をし実家に帰った。しかし、実家に暮らす高齢の両親の様子がどこかおかしい。実家もまた別の地獄だったのだ。
心が通い合わない夫に我慢しながら長い時間を過ごし、ようやくこどもたちを社会に送り出して自分の人生を考える。そんな女性たちが多いからこそ、熟年離婚は増えているのかもしれない。だが、離婚ができたところで、次の地獄が待っていることもある。

家族に仕えた四半世紀だった

「子どもたちを社会に送り出して、これで私の責任は果たした。気難しくて自分勝手な夫とはもう一緒にいたくない。今までは子どものために我慢してきたけど、もう自分のことを考えてもいいのではないか。そう思ったのが5年前です」

ユリさん(55歳)は、短大を出て就職した会社の先輩と25歳のときに結婚した。同期でも早めの結婚だったが、当時は「仕事もつまらなかったし、この先、ここにいてもずっと誰にでもできるアシスタント業務だけだと見えてしまった」ので、結婚という逃げ道があってよかったとホッとしたそうだ。

「すぐに娘と息子に恵まれて、専業主婦として家事育児に奮闘しました。夫からは『いいね、きみは。仕事もせずに生活できるんだから』とたびたび言われて。ただ、夫は会社人間でしたから、平日は遅いし週末も仕事やゴルフで出かけていた。

ゴルフに行くと言いながら、帰ってきてもゴルフ用具はそのままで、汗をかいた様子もなかったりするので、ゴルフじゃなくて浮気だなと思ったこともありますが、見て見ぬふりをしてきました。なにより生活のためです」

夫の浮気を理由に離婚へ

子どもたちが大きくなってからはパートで仕事をするようになった。自分のお金が少しでも入るのはうれしかったし、職場を通して社会とつながっている安心感もあった。

「娘は大学を出て就職、息子は専門学校を出てさらに留学までして帰国後、仕事を始めました。ふたりが社会に出てから、夫とのふたり暮らしが始まったんですが気詰まりで息苦しくて。ふたりなんだからと食事に手を抜くと、『きみは生活をさせてもらっている夫に、こういう食事を出すんだ』と嫌味を言われる。

子どもに手がかからなくなったのだから、もっと家の中をきれいにすることもできるよねとも言われました」

私はこんな地獄のような生活をよく耐えてきたものだと、彼女は客観的に自分を見るようになった。何度目かわからないが夫の浮気疑惑があったとき、初めて興信所を使って調べてもらった。あっけなく浮気が判明。ところが夫は「ただの浮気に大騒ぎするな」と激怒。それもすべて証拠にして離婚が成立したのが2年前だ。

思ったほど慰謝料をもらえず

ところが思ったほど慰謝料は手に入らなかった。浮気にモラハラ、理由はいくつもあるのにモラハラの証拠をほとんどとっていなかったからだ。

「夫側の弁護士にうまくはかられたような気がするんですが、結局、数百万円の財産分与だけで家を出ざるを得なくなった。それでもいいや、顔を見なくてすむだけストレスがなくなるのだからと思い、離婚して実家に戻りました」

実家には80代の両親がふたりで暮らしていた。ユリさんはたまに顔を出していたから、両親はふたりでうまくやっているのだと思っていたが、戻ってみると何かがおかしい。ふたりとも物忘れがひどく、火を使うのが怖いのかほとんど料理もしない。

「火を使いたくなかったのもあるんでしょうけど、母は料理の段取りがうまくできなくなっていた。だから惣菜を買ってきてご飯だけ炊いて食べるような生活でした。なんとかしなければと私が料理をすると、おいしいと食べてはくれました」

そのうち、父が徘徊を始め、母は父が家の中にいないことも気づかない。すぐに自治体とつながり、介護認定を受けたが施設に入れる決心はつかなかった。

「ふたりとも徘徊タイプなんですよ。これがもう大変。しょっちゅう警察のお世話になりました。しかたなく近所の人や商店街などに出向いて、両親ともに認知症気味で、徘徊するので知らせてくださいと妙なPRをして回りました(笑)」

ここにはここの地獄がある

そのうち父が出歩いたときに転んで大腿骨を骨折して入院、それを機会に施設に入ることになった。母は今も自宅にいるが、3秒前に言ったことをまた繰り返す。

「私、ついさっきも言ったじゃないと大声を出してしまうんです。すると母は怯えた目で私を見る。夫のモラハラもきつかったけど、ここにはここの地獄がある。そんな気がしています。ときどきこっちがおかしくなりそうになって……」

ケアマネに電話をかけて愚痴を言うことも増えた。ユリさん自身の心身が大事だからと、数日間、施設に預かってもらうこともあるが、母は「家に帰る」と泣くのだという。そうなるとかわいそうになってユリさんは迎えに行く。だが家に戻ると、また母の同じ発言に苦しめられる。

「どこかで覚悟を決めないといけないと思っていますが、泣く母を施設に預けられない。どこにいても楽はできないのが人生なんでしょうかねえ」

さらにユリさんは更年期症状が強くなり、心身共につらくなっていくばかりだという。「家族」は変化していくものなのだろう。夫婦であっても親子であっても、「いい関係」をずっと維持していくのはむずかしいのかもしれない。

亀山 早苗プロフィール

明治大学文学部卒業。男女の人間模様を中心に20年以上にわたって取材を重ね、女性の生き方についての問題提起を続けている。恋愛や結婚・離婚、性の問題、貧困、ひきこもりなど幅広く執筆。趣味はくまモンの追っかけ、落語、歌舞伎など古典芸能鑑賞。
(文:亀山 早苗(フリーライター))

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