22歳「年の差婚」の生易しくはない現実。老いた夫を「おじいちゃん扱い」する世間にモヤッ

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2023年12月06日 22:11  All About

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36歳のとき、58歳の男性と結婚、あれから9年。夫はすでに67歳だ。一家でいると世間は夫を「おじいちゃん扱い」してくる。家では「年寄り扱いするな」と癇癪をおこすように。夫が高齢になったときの現実はなかなか厳しい。
近ごろ男性が年上の「年の差婚」が芸能界で話題になったが、年の差があっても女性側が主導権を握っていれば世間的な中傷は受けないようだ。ただ、25歳と45歳ならまだしも、40代と60代になると何か様子が変わってくるかもしれない。

36歳のときに58歳男性と年の差婚

36歳のとき、58歳の男性と結婚したマリさん(45歳)。

「夫とは私が30代前半のころからの知り合いです。職場は違っていたけど、社会人としての先輩で尊敬できる人でした。すでにバツイチだったんですが、あるときふたりで飲む機会があって、話題も豊富だしとても楽しかったので、次は私が誘うようになって……。

それでなんとなく付き合うようになったのが35歳のとき。私は結婚も考えていたけど、彼は『オレみたいな年寄りはやめておいたほうがいい』って。でもあのころの夫はかっこよく見えたんです。それで私が口説いたんです。一生、一緒にいたいと」

それでも彼には、そういうつもりはなかったようだ。だがその後、マリさんは妊娠した。避妊していたはずなのに、なぜか妊娠した。これは神様からの授かり物だとマリさんは確信し、さらに彼を口説いた。

「彼はもう結婚はこりごりだと言っていたんですが、子どもができたと伝えると、うーんと唸ったあと、うれしそうに笑顔を見せました。『本当に結婚でいいの?』と何度も聞かれました。

当時、彼には前妻との間に28歳の息子がいました。前妻とは連絡をとっていないけれど息子とは仲がいいと言って、私を紹介してくれた。感じのいい息子さんでしたね。前妻にもまったく恨みつらみはないと言っていたし、『もう一回、子育てかあ』とうれしそうに言ってくれたんです」

その後、無事に娘が生まれ、夫は「この子が20歳になるまで頑張るよ」と仕事はもちろん、食べ物にも気をつけ、筋トレもするようになった。

「あんな格好させちゃダメよ」と母からの指摘

「私自身、夫のことが好きだったし、子どもの世話に忙しくて気にもとめていなかったのですが、夫は身の回りにあまりかまわない人なんです。古ぼけたジャージで近所をうろうろしちゃう。

私の母が来たとき、『ただでさえ年上なんだから、あんな恰好させてちゃダメよ』と言われて、高価ではなくてもこぎれいなシャツと綿パンなどを着てもらうようにしました」

それでも夫が子どもの保育園に行ったとき、「おじいちゃんと一緒でよかったね」と言われたとひどく傷ついていた。子どもが少し大きくなって、一家で何度か近所のファミレスを訪れるようになった。その後、マリさんが娘とふたりでそのファミレスに行ったとき、「おじいちゃんによろしくね」と言われて、マリさん自身、困惑したという。

「年をとっているだけでそういう言われ方をしてしまうのは、とても失礼ですよね」

ただ、世間はそう見ているのかとも実感した。

67歳、夫の背中が丸くなってきた……

現在、夫は67歳になった。60歳でいったん退職し、その後、嘱託として前職場で仕事を続けてきたが、それも65歳で退職し、今は飲食店で清掃などのアルバイトをしている。2度目の退職以降、やはり夫には「老い」の影が見えるとマリさんは言う。つい先日、夫が歩いている姿を少し遠目に見かけたとき、背中が丸くなっていると実感したのだ。

「考えてみたら、私は夫の40代をまったく知らない。つい先日、学生時代の友人たちと会ったんですが、みんな40代、まだまだ血気盛んというか元気です。夫にこのエネルギーはもうないなあと思ったら、なんとなく寂しくなっちゃって……。一生懸命、働いている夫には感謝してるけど、このごろ何をするにもゆっくりだし」

近所に住む知人は、70歳になったがはつらつとしている。そういう人と夫を比べても意味がないとわかっていながら、最近、マリさんは夫と同世代の男性を見ると、足元はしっかりしているか、背中は丸くなっていないかチェックしてしまうのだという。

年齢を意識して「年寄り扱い」を嫌う夫

「夫自身、自分の老いを実感しているんだと思います。以前は穏やかだったのに、最近、ときどきかんしゃくを起こすんですよ。別に認知症になっているわけでもない。ただ年を取ったら忘れっぽくなるのはしかたがないでしょ。

以前だったら、『お父さん、また忘れた』と言うと『そうだそうだ』と笑っていたのに、最近は『忘れてない! 年寄り扱いするな』って。なるべく、年齢のことは言わないようにしていますが、それは逆に言えば、夫が年齢を意識しているからなんですよね」

年のことは言わないよう意識しているが、意識すればするほど心の中では気になっていく。9歳になった娘のことは今も溺愛しているが、娘は陰で「おとうさん、口が臭いんだよ」と言っている。歯科医のチェックを受けるよう勧めているが、夫は虫歯はないと頑固に拒んでいる。

「おおらかだった夫が怒りっぽくなった。年とると性格も変わる人がいると聞きますが、夫がそうなのかもしれません。認知症の前兆かなと思うこともあるけど、なかなか言えませんしね、そういうことは」

結婚を「失敗だったとは思わないけど」

もっと寄り添って歩いてきた年月が長ければ、そういうこともさらりと言えるのかもしれないが、結婚して10年も経っていないせいか、マリさんには遠慮がある。

「結婚を失敗だったとは思ってないけど、これでよかったのかな、このままでいいのかなとは思うことがありますね」

今さら別れるわけにもいかないけどと、彼女は複雑な表情で考え込んでいた。

亀山 早苗プロフィール

明治大学文学部卒業。男女の人間模様を中心に20年以上にわたって取材を重ね、女性の生き方についての問題提起を続けている。恋愛や結婚・離婚、性の問題、貧困、ひきこもりなど幅広く執筆。趣味はくまモンの追っかけ、落語、歌舞伎など古典芸能鑑賞。
(文:亀山 早苗(フリーライター))

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  • 世間がどうのこうのよりこの人の見通しが甘かっただけ。
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