障がい者向けのヘアメイクレッスン「身だしなみ楽しんで」髪形を決めたり、毛染め楽しむ参加者も

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2023年12月08日 19:10  まいどなニュース

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話題になりつつある障がい者向けのヘアメイクレッスン。その意義とは?

近年、女性就活生向けのヘアメイクレッスンが人気のようだ。学校で教わる機会はほとんどないが、社会に出るとたいていの女性はTPOに合わせた髪型、メイクをすることが求められる。自分自身分で研究できるならいいが、そうではない多くの人がプロからトレンドも取り入れた技術やルールを教えてもらいたいと思うのは理解できる。

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所属する学校、企業等によって容姿を強制されることは好ましくないが、清潔でお洒落な装いをすることは本人にとっても心地好いもの。お洒落への意欲がその人の生産活動を向上させるといった研究もある。それは健常者のみならず障がい者にとっても同じではないか。

今、関西の障がい者支援のコミュニティでは、ヘアメイクアーティストが注目を浴びつつある。ブライダルや広告向けのヘアメイクを提供する傍ら、障がい者支援施設でのヘアメイクレッスンをライフワークとしている石原めぐみさんに、障がい者にヘアメイクレッスンをする意義を聞いた。

ーー障がい者向けのヘアメイクレッスンを始めたきっかけは?

石原:私の1歳上の兄は18番染色体上部欠損症というギフトを持って生まれてきました。知的障がいがあるので、母に言われないと髭を剃らなかったり、散髪に行かなかったり、用意してもらった洋服しか着れなかったり……という様子を子供の頃からそばで見てきました。「もし親がいなくなったら私が手伝うの?」と漠然とした不安を抱えていたのを今でも覚えています。

ーーそれが原点なんですね。

石原:一概には言えませんが、障がい者が自分で身だしなみを整えられないのは、親が全部やってしまったり、自分では出来ないとあきらめてしまっていることも一因だと思います。当事者が身だしなみの大切さに気付き、興味を持つことが、自立や自分で出来ることを増やす第一歩になるんじゃないだろうか。そんな思いから美容の専門家として出来ることを模索しました。特別支援学校や障がい者就労施設などさまざまな現場を見学し、お話を聞く中で、少しずつレッスンの機会を増やしています。

ーーレッスンはどのような内容なのでしょうか?

石原:外部講師による「身だしなみ講座」や「自立活動」という形で美容の視点から身だしなみやセルフケアの大切さをお伝えしています。手洗い、洗顔から、ヘアセット、メイクまで、障がいの種類や度合いによって内容は異なりますが、はじめはぐしゃぐしゃの髪で講座に参加していた男の子が、次の回には前髪をばっちりセットしてきてくれたり、パーソナルカラーを勉強して自分に似合うカラーのメイクを楽しんでくれたりと、大きな手ごたえを感じています。健常者から見ると些細な変化かもしれませんが、障がい者にとって自分で出来ること、楽しめることが増えるのはとても重要なことです。彼らがより人生を楽しむためのお手伝いが出来ることに、充実感を感じています。

ーーお兄様にもヘアメイクの指導をされることはあるのでしょうか?

石原:一緒に住んでいる頃は思春期だったり家族特有の気まずさで出来なかったのですが、このお仕事を始めてから彼の働いている就労施設に1年間授業に行く機会がありました。幸い身だしなみへの意識が変わるきっかけになったようで、自分でドラッグストアに行って電話で私に質問しながら洗顔フォームや脱毛クリームを買うようになりました。脱毛クリームは意外だったんですが、聞けば太ももの毛が気になっていたそうなんですね。元々はよだれが服に付いていても気にしなかった彼が、人目につかない場所までケアできるようになったのはとても大きな進歩じゃないかなと驚きました。最近は自分で新しいカバンを買うなど、どんどんお洒落の意欲が湧いているようです。

ーーお兄様の変化を見て、お母様の反応はいかがでしょうか?

石原:とても驚くと同時に、一人で出来ることが増えたことに安心しているようです。今、兄は一人暮らしをして、なんとか自立できています。もちろん心配がなくなるわけではありませんが、生き生きと楽しく暮らしている様子を見てとても喜んでいます。

ーー石原さんのような活動をされている方は他にも?

石原:一般の老人介護施設に行かれる美容師の方は多いようですが、障がい者施設に特化してヘアメイクレッスンをされている方はまだ知りません。今、少しずつ私の活動に賛同していただける方が増えて輪が広がりつつあるのですが、それをもっと多くの方に知っていただくことが今後の課題だと思っています。

◇ ◇

初めはボランティアが主だったヘアメイクレッスンだが、学校や就労施設の理解が高まるにつれ、仕事としてのオファーが増えているという。これは活動を継続する上で歓迎すべき現象だろう。石原さんのような活動が、今後全国に普及することを期待したい。

(まいどなニュース特約・中将 タカノリ)

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