ヤクルト・近藤弘樹、選手生命の危機を乗り越え神宮のマウンドを目指す 眥鉄篤弔盍待

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2023年12月09日 10:11  webスポルティーバ

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 11月21日、ヤクルト二軍の戸田球場。今季のチームとしての練習は18日に終了していたが、この日、近藤弘樹は今野龍太、尾仲祐哉、山野太一とキャッチボールやランニングで体を動かしていた。練習後、来季について尋ねると「明日が契約更改で、たぶん育成だと思います」と語った。

 今シーズン、近藤は肩の大ケガからの復活に向け、以前のピッチングを取り戻すための登板を重ねていた。そこで見たのは、長く険しい道のりでも一喜一憂せず、黙々と野球に打ち込む姿だった。

【悪夢の右肩肉離れ】

 話は、2021年5月26日の日本ハム戦(神宮)にさかのぼる。その年、前年に楽天を戦力外となった近藤はヤクルトと育成契約。春のキャンプで結果を残し、支配下登録を勝ちとった。150キロの真っすぐとシュートを武器に、"火消し役"として一軍で22試合に登板。防御率は驚異の0.96を記録するなかで、渡邉諒(現・阪神)に投じたボールは大きな放物線を描いてバックネットに直撃した。

「いろんなこと......体の切れる音とかも、すべて耳に残っているので、あの日のことは忘れることはありません。ただ、その日の映像は見ないです。やっぱりフラッシュバックするので」

 右肩の肉離れ。そこから長いリハビリ生活が始まった。朝早く自転車で戸田球場にやって来るが、チームとは離れての練習。同じくリハビリをしていた奥川恭伸や原樹理の存在は心強く、昨年5月28日には「まだ自分の肩じゃないみたい」と、トレーナーを相手にして約1年ぶりのキャッチボールができるまで回復した。

 今年は背番号「012」でスタート。6月7日には2年目の小森航大郎、新人の橋本星哉、西村瑠伊斗を相手に、実戦形式で27球を投げた。

「次は相手チームに投げたい。そうなれば球速は上がってくると思います」

 6月24日には、BCリーグ・福島レッドホープスとの練習試合に登板。最高球速は球場の表示で145キロだった。そして29日にはNPB球団である楽天戦に登板した。

「NPBの打者に投げるのは2年1カ月前の渡邉諒以来で、力が入りすぎちゃうんじゃないかと不安は大きかったのですが、無事に投げ終えられました(打者3人を9球で打ちとった)。古巣が相手でしたし、復帰戦のシナリオとしてはよかったかなと」

 その後、復帰4試合目に初安打を許した。

「走者を背負ってのピッチングは2年前の5月23日のDeNA戦以来で、不思議な感じでしたが、思ったよりスムーズに入れました」

 印象に残っているのは、ケガを負った日の前後のことで、そこから費やした時間を克明に記憶していることだった。その後も順調に登板数を増やし、一段、また一段と注意深く階段を上っていった。

「復帰当初は体のリカバリーが追いつかなくて、投げた翌日は反動が大きい時もあったのですが、徐々にリカバリーも早くなってきました。コンディションもある程度は継続して保てるようになりました。そこは収穫で、欲を言えば連投したかったのですが、そこまではいきませんでした」

 支配下登録期限前日の7月30日には、中1日でマウンドへ上がった。復帰から6試合連続無失点を続けており、うれしいニュースが期待されたが叶わなかった。

「この頃は状態が落ちていて、平均球速も遅かったですし、一軍に上がれたとしてもまだ勝負にならないというか......。前ほど抑えられるイメージは湧いてこなかったです」

 近藤自身、結果には納得していて、その後も前を向いて練習に励み、試合で投げ続けた。

【今季ファームで防御率1.13】

 二軍の公式戦では16試合16イニングに登板。失点は9月6日のDeNA戦(横須賀)でルーキーの松尾汐恩に打たれた2ランのみ。防御率1.13、与えた四球はわずかひとつだった。10月にはフェニックスリーグにも参加。予定していた3試合をすべて三者凡退で打ちとってみせた。

 近藤は「肩と戦っている割合がだいぶ減りました」と、復帰後のピッチングについて振り返った。

「最初は10で言えば8から9くらいで『肩、大丈夫かな』と気になっていたのが、今は4から5くらいになった。正直、まだ手探りですけど、ちょっとずつバッターと対戦できるようになりました。欲を言えば、もう少し球速が上がればと思いますが、無事に投げられているので、そこまで望まないほうがいいのかなと」

 ちなみに、フェニックスリーグでの最終登板では147キロを計測した。

「3カ月から4カ月で2、3キロずつ増えていけば......という感じで、それを継続して平均球速がちょっとずつ上がっていけばいいかなと。来年はまず二軍で150キロ出したい。それができれば、僕は(相手によって)球速が上がるタイプなので、一軍では152キロは出るのではないかなと。ただ、未知のことなのでわからないですけど」

 フェニックスリーグが終わってからは、戸田での秋季練習で汗を流した。

「肩の状態を落とすと、また上げるのに時間がかかると思ったので、定期的にブルペンに入りました。フェニックスから取り組んでいるナックルカーブやシュートも、まだ自分が思っている曲がりではないので、そのあたりも見つめ直す時間になりました」

 眥顛淡禊篤弔蓮近藤が肩を痛めたシーンを「これはやってしまったんじゃないか」と、その光景は今も頭から離れないという。

「個人的には、ここまで戻ってくることが想像できない大きなケガでした。本人はまだ満足していないでしょうけど、リハビリ期間を経て、今年やっと投げられるようになった。こうやって毎日投げられることがすばらしいこと。最後は一軍のマウンドで完全復活してほしいと思っています」

 もちろん、監督として来年の近藤に期待を寄せている。

「育成からのスタートになりますけど、支配下になるチャンスは十分にありますし、僕は2021年の優勝は近藤あってのものだと思っています。あまり早く早くと言ってはいけないのでしょうけど、一軍で通用する球威であったり、変化球であったり、キレであったり......少しでも本来の彼の姿に近づいてくれたらなと願っています。ピッチングはもちろん見たいです。その時はベンチから期待して見るのと、大丈夫かなと思いながら見るのと、おそらくそういうふうになるんでしょうね」

 11月22日、ヤクルトは近藤と来季の育成再契約を結んだことを正式に発表した。25日は神宮球場で開催されたファン感謝デーにも参加した。

「今日はプレッシャーもなく、考えることも少ないので」と、外野でファンとキャッチボールをするなど、久しぶりに笑顔を見せ楽しんだ。

「神宮に来るのは、今は"ファン感(ファン感謝デー)"くらいなので、早くここで投げたいという思いはあります。そのためにはもう一度、支配下選手として一軍で投げるのが目標なので、まずはキャンプでしっかり投げられることが大前提です。焦ってもよくないのですが、適度に焦りつつやれたらと思っています」

 近藤の不撓不屈の精神をもってすれば、きっと叶えられるはずだ。

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