『呪術廻戦』釘崎野薔薇、なぜ“悔い”がない……芥見下々が描く女性キャラの特徴とは

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2023年12月11日 07:01  リアルサウンド

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※本稿はアニメ『呪術廻戦』の内容を含みます。ネタバレにご注意ください。


  現在放送されているアニメ『呪術廻戦』は、呪術師と呪霊たちが地獄絵図を繰り広げるエピソード「渋谷事変」の真っ最中だ。そこでメインキャラクターの1人、釘崎野薔薇には壮絶な展開が待ち受けており、衝撃を受ける視聴者が相次いでいた。


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  ところがそんな状況下で、釘崎は自身の生死に頓着する様子を見せず、「悪くなかった」という名ゼリフを発してみせるのだった。なぜ彼女の生き様はかくも気高いのか、作者・芥見下々の作風にまで踏み込んで考えてみたい。


  釘崎は虎杖悠仁と同じ呪術高専東京校の1年生。呪術師としてはまだ駆け出しだが、呪術師の家系に生まれたことから、幼い頃から呪いとの接点があった。しかし彼女の覚悟が異様なまでに決まっているのは、そうした下積みではなく、むしろ自ら選択した生き方と強い意志の影響が大きいだろう。


  単行本1巻で描かれた初登場エピソードによると、呪術高専に入った理由は、「田舎が嫌で東京に住みたかったから」。一見軽薄に見えるが、釘崎にとっては「私が私であるため」に必要なことであり、それは命をかけるに値するほどだという。


  元々釘崎は田舎の村で暮らしていたが、そこで東京から引っ越してきた“沙織ちゃん”という人物との出会いを果たし、人格形成に大きな影響を受ける。しかし彼女は余所者であっただけで閉鎖的な村社会から迫害され、やがて追い出されてしまう。釘崎もまたそんな環境に馴染むことができず、自分の居場所を作るために東京へとやってきたのだった。その覚悟の強さは、村にいたままだったら「死んだも同然」と考えるほどだ。


  なお、『呪術廻戦 公式ファンブック』では釘崎が東北出身でありながら、話し言葉が一切訛っていない理由について、「母が訛っていないから」と説明されていた。このことから、釘崎の母が標準語を話す地域から嫁いで村にやってきた人物だと推測できる。


  アニメ第43話「理非-弐」で描かれた過去回想では、“ふみ”というもう1人の少女の視点から、釘崎と母の関係性が示唆されていた。おそらく釘崎が閉鎖的な村に反発していたのは、沙織ちゃんと同じように余所者だった母の影響もあるのだろう。


  いずれにしても釘崎は自分らしく生きられる場所を求めて、東京で呪術師となった。そしてその選択は、決して間違っていなかった。極限状態にありながら、笑顔を浮かべて「悪くなかった」と言い放つことができたのは、幼少期から探し求めてきた“自分の居場所”を呪術高専に見出したからに他ならないはずだ。


■命をかける覚悟を決めた女性キャラたち


 釘崎の意志の強さを感じさせるエピソードとしては、単行本第7・8巻のバトルが挙げられる。そこで彼女は虎杖と共に、人間の身体に受肉した「呪胎九相図」の壊相・血塗と対峙した。


  明らかに呪霊とは異なる存在だったため、虎杖は彼らを手にかける際、「ごめん」と口走り、戦闘後も表情を曇らせていた。それに対して釘崎は内心はともかく、「私はぶっちゃけなんともない」と気丈に言い放っている。釘崎の方が呪術師としての覚悟が決まっていることを示すシーンだが、それは“人間としての覚悟”とも無関係ではない。彼女は自分の命も含めて、「私が私である」というエゴイズムを通すためにあらゆるものを犠牲にすることを覚悟していた。


  とくに呪術師の世界では、自分の価値観を守り抜くことは容易ではない。力なき者は奪われ、蹂躙されるだけで終わってしまうからだ。釘崎だけでなく、『呪術廻戦』に登場する女性キャラクターたちはいずれも命をかける覚悟をもって、エゴイズムを通そうとしている。


  たとえばその筆頭と言えるのが、禪院真希・真依の姉妹だろう。禪院家は呪術界の名門にして、血統主義と男尊女卑に強く縛られた家柄。“凶兆”とされる双子として生まれた真希と真依は、幼い頃から差別的な扱いを受けており、人間らしく生きるためには呪術師としての腕を磨くことが不可欠だった。


  そして真依と同じ呪術高専京都校に所属する西宮桃も、“女性呪術師”という困難な生き方と深く向き合っているキャラクターだ。釘崎とは価値観が対立することとなったが、どちらも自分の居場所を作るために奮闘していることには変わりない。


  少年マンガでは、主人公に守られるヒロインとしての女性キャラクターが登場しがちだとよく言われるが、『呪術廻戦』の世界はまったく真逆。むしろ守られることを拒絶し、自分の力で強くなって世界と対峙するという意志に満ちあふれている。釘崎は、そうした気高いキャラクター像を象徴する存在と言えるかもしれない。


  作中で夜蛾正道は「呪術師に悔いのない死などない」と語っていたが、『呪術廻戦』の女性キャラクターたちはそうした枠組みすら破壊する生き様を見せてくれる。芥見下々の描く世界はきわめて残酷で、理不尽な悲劇ばかり巻き起こるが、だからこそ人の意志の気高さが際立つのではないだろうか。


(文=キットゥン希美)


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  • 鬼滅の、ねんねんころり〜♪の魘夢(えんむと読むらしい)みたいな感じのキャラが術を施してみるって言ってたから、もしかすると再登場するかも?
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