『カロリーメイト』40周年、最初は売れず10年…コロナ禍で下落もV字回復遂げた「バニラ味」の健闘

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2023年12月11日 09:10  ORICON NEWS

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『カロリーメイト』の”危機”を救った昨春発売の「バニラ味」
 1983年、バランス栄養食として発売された『カロリーメイト』。同商品の開発は“6年”を要したものの、売れるまでさらに“10年”かかったという。その後、主にビジネスパーソンの朝食として浸透してきたが、コロナ禍で売上が減少。しかし、’22年にはV字回復を遂げ、今年40周年を迎えた。最近では数多の健康・栄養補助食品が乱立している中、その先駆けとして人気を維持し続ける要因を大塚製薬に聞いた。

【画像】知ってる?カロリーメイトで摂れる5大栄養素、初代“缶”から変わらず40年

■相反する“栄養”と“味”の両立に難航6年… 完成後も「栄養食」浸透せず、苦節10年

 『カロリーメイト』は、宇宙食をヒントに、点滴に代わる経口栄養食を作ろうと開発された。研究員が訪れた病院で、ちゃんとした食事ができず、点滴を受けている患者に出会い、病気が治ってもなかなか健康な状態に戻らないことを知ったことがきっかけだった。

「’79年に前身となる医療用の濃厚流動食『ハイネックス-R』が誕生し、これを健康な人の栄養補助に応用する発想から、『カロリーメイト』の開発が始まりました。当時、ライフスタイルが多様化し、食べ物の欧米化、インスタント食品の氾濫、朝食欠食や深夜の食事など、食生活も大きく変化していました。多忙な中、一日三食・30 品目といった健康的な食生活を摂るのが困難な現代人に向けて、『バランス栄養食』として、缶形態(リキッドタイプ)からスタートしました」

 しかし、開発段階では苦労があった。11種のビタミン、5種のミネラル、タンパク質、糖質、脂質をバランスよく入れつつ、品質を安定させるのは容易ではなかったという。普通は混じり合わない物質を均一に混ぜ合わせる「乳化」をクリアするだけでも、3年が費やされた。

「さらに、“おいしさ”を担保するのに、もう3年要しました。『良薬は口に苦し』と言いますが、“栄養”と“味”は元来、相反するものなのです。どちらかを調整すれば、どちらかが崩れ…を幾度も繰り返し、実に6年もの歳月をかけて製品を作り上げました」

 これほどの時間をかけ、ようやく完成した『カロリーメイト』だが、当初の反響は芳しくなかったという。

「当時、今では一般的となっているような“栄養食”はほとんど存在していませんでした。『栄養調整食品』という新カテゴリーの表示を許されたのはカロリーメイトが初めてです。これまでにないコンセプトの製品だったので、当初はなかなか受け入れてもらえませんでした」

 そこで同社は、栄養バランスの大切さを知ってもらうことが必要と考え、全国に100名の専任者を配置。アスリートにアプローチし、試飲・試食をしてもらうなど、「スポーツ栄養」という当時あまり着目されていなかった分野での活動を広げ、粘り強く販促活動を行った。すると、プロ野球選手や五輪選手などが、トレーニング中や試合前に食べていることで周辺のトレーナーや栄養士へも話題となり、その価値が徐々に浸透していった。

「大きな契機となったのは、’93年発売の『カロリーメイト ブロック(チョコレート味)』でした。ダイエットブームが到来し、無理な食事制限が社会問題になった中、ダイエットは“食べない”こととされていた時代に、“食べる”ダイエットを提案し、多くの人に食べてもらうきっかけにもなりました」

■外で食べる「スピード飯」イメージを打破した新星、コロナ禍の危機を“再評価の好機”に

 発売から40年。人々の生活スタイルや食の嗜好は大きく変化した。それに伴い、あらゆる追従商品が発売され、今ではスーパー、薬局、ECサイトでも数多の健康・栄養補助食品が乱立しているが、その先駆者として、スポーツ食、ダイエット食、忙しいビジネスパーソンの朝食・間食、受験応援食などと、その時代時代に寄り添った栄養の価値を提供してきた。

 しかし、ゆっくりご飯を食べる時間や場所がない時の“スピード飯”として定着していた『カロリーメイト』にとって、コロナ禍は大きな試練だった。外出自粛が強いられた’20年の売上は減少。しかし、’22年には過去最高に近い水準にまで驚異的な回復を見せた。

「“外出先や忙しい時”という従来の摂られ方から、日々の生活の中でバランス良く栄養を摂れる価値を打ち出しました。また、幅広い層に馴染みがあり、フレーバー名から味のイメージが想起しやすい『バニラ味』を22年3月に発売。結果、消費者の健康意識の向上もあり、家庭内での『カロリーメイト』の喫食が増えました」

 「バニラ味」の売上は販売目標を大きく上回り、見事にピンチを、栄養食としての再評価のチャンスに変え、危機を乗り越えた。ビジネスパーソン中心だったユーザー層に、新たに主婦層や子どもからのニーズも生まれ、今年もブランド全体で昨年並みの売上を見込んでおり、引き続き好調を維持している。

 また、リキッド、ブロック、ゼリーなどと、形は変えども、栄養素や原材料、製法は、当初から変わっていないという。これは、6年費やした当初の開発が、いかに先進的で高品質なものだったかを裏付ける結果と言えよう。

「今後も人々の健康志向は高まると予想しますが、ライフスタイルが多様化し、栄養の摂り方も変わってくると考えています。その中でも、ヒトにバランスの良い栄養が必要であることは変わりません。健康の基本は一日3食の食事から栄養を摂ることで、『カロリーメイト』のような食品が必要ない社会が理想的という考え方もありますが、それができない人やタイミングがあるがゆえに求められ続けています。引き続き家庭内での喫食や補食、子どもの栄養など日常の需要へ拡大し、より多くのシーンでバランスの良い栄養を届けたいと思っております」

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