高橋一生、実写化『ブラック・ジャック』過去には加山雄三、本木雅弘が主演も……ファンが気になる事情とは

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2023年12月16日 17:11  リアルサウンド

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手塚治虫の代表作にして医療漫画の金字塔『ブラック・ジャック』が高橋一生主演で2024年にもドラマ化されることになった。


(参考:【写真】マンガの神様の「言葉」を網羅『手塚治虫語辞典』の気になる内容


監督を務めるのは『女子高生に殺されたい』の城定秀夫、脚本は『JIN -仁-』『天皇の料理番』『おんな城主 直虎』で知られる森下佳子。『ブラック・ジャック』の実に3度目となるドラマ化であり、新しい手塚治虫ファンを獲得することができるか、注目される。


  今年で『ブラック・ジャック』の連載開始50周年ということもあって、原画展が開催されたり、AIで制作された新作漫画が発表されたり、様々な書籍が出版されるなどお祭り騒ぎの様相を呈していた。そして、ついに最後の隠し玉として、年末に発表されたのが今回のドラマ化というわけだ。


  手塚治虫ファンの胸中は、若干複雑である。今までの『ブラック・ジャック』のドラマ化は、正直、成功したとは言い難いためだ。手塚の存命中であった1981年には加山雄三主演で初のテレビドラマ化。2000年には本木雅弘主演で再度ドラマ化された。1977年には宍戸錠が主演で映画化もされている(監督はあの大林宣彦である)。


  それぞれの感想は敢えてここでは述べないことにしたいが、特に1回目のドラマは、正式なタイトルが『加山雄三のブラック・ジャック』であり、加山雄三を前面に押し出した作品になっている。ブラック・ジャックがなぜか普段は画廊を経営する実業家というキャラクターで、ここぞという場面で無免許医という正体を明かす。原作の設定が改変されることは、当時はドラマに限らずアニメでもよくあったことだが、ここまで変えてしまうのは率直に凄い。加山雄三が扮したブラック・ジャックは不思議な魅力があるので、気になった人は検索してみて欲しい。


  3度目となる今回は、『ブラック・ジャック』の作品の中から、印象的なエピソードを厳選してドラマ化するとのことである。そうなると、恩師である本間丈太郎とのエピソードや、恋人である如月めぐみ(恵)のエピソード、そしてドクター・キリコ絡みの話なども盛り込まれることになるかもしれない。個人的には、原作の人気キャラクターである琵琶丸やゲラや椎竹先生が登場する話なども見てみたい気もする。名エピソードが多いだけに、どの話が実写化されるか期待しながら待つのもいいだろう。


  多くのファンを持つ医療漫画の金字塔であるだけに、様々な評価が下されることは間違いないだろう。実際、高橋一生もインタビューで「観てくださる皆さんも是非厳しい目線で観ていただきたい」と敢えて言っているのは、そういった声を意識してのことではないだろうか。いずれにせよ『ブラック・ジャック』の実写版と言うことで、注目度は抜群であり、多くの人が見ると思われる。歴史に残る名作を作って欲しいものである。


  既に、3年前に行われた「TEZUKA2020」プロジェクトでは、AIを駆使した新作漫画『ぱいどん』を生み出しているが、今回は手塚治虫の中でも屈指の名作とされる『ブラック・ジャック』の新作ということもあって、話題性は十分だ。現に、今回の発表には『The・かぼちゃワイン』などの代表作をもち、手塚治虫のアシスタントを務めたこともある漫画家の三浦みつる氏らプロも、X上で反応している。


  前作『ぱいどん』も賛否両論、様々な意見が寄せられたが、今回は3年前以上にAIの技術も進化し、関心も高まっている。さらに、今年2023年は、『ブラック・ジャック』の連載が開始して50年という節目なのだ。そんなこともあって、前作以上の反響があることは間違いないであろう。読者の審判はどうなるか、注目される。


  手塚治虫は60歳という若さで亡くなったこともあり、「もしも今、手塚治虫が生きていたら」という「もしも」の話が多く語られる漫画家でもある。AIに関しても、「もしも手塚治虫が生きていたら、積極的に取り入れようとしたのではないか」と考える人もいる。そういった妄想が膨らむほど、手塚治虫は常に漫画界の最前線にいようとしていたし、伝説的なエピソードに事欠かない人物なのだ。


  個人的に「TEZUKA2023」プロジェクトに望むことは、技術が一層進化したら、未完成になっている過去の作品の続編を制作して欲しいと願う。遺作として有名な『グリンゴ』『ネオ・ファウスト』『ルードウィヒ・B』のほか、構想を練っていたとされる『火の鳥』の大地編やアトム編、未完のままになっている『どついたれ』など、手塚ファンであれば続編を読みたい作品は山ほどある。単行本がいまだに発見されていない『モモーン山の嵐』の内容をAIに構想させてみても面白いだろう。


  AIはまだまだ進化の途上にある。今後、漫画家の仕事にどのように関わっていくのか。5年後、10年後の漫画制作の現場はどのようになっているのか。AIと人間のかかわりはどのようになっていくのか。まったく想像もつかないが、『ブラック・ジャック』の新作はそうした未来を占う試金石になることは間違いないだろう。


(文=元城健)


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