「いろいろ不安で……」義母にしょんぼりした顔でお願いされるたび「トオルさんに相談しますね」と言葉を濁す私。しかし夫は……。
夫は結局「長男だし、将来遺産も多めにもらうんだから」という理由であっさりお金を貸してしまうのです。義両親は親孝行な長男に鼻高々、夫は頼りにされて誇らしいといった雰囲気。しかしお金の使い道は、買わなくてもいい電化製品やちょっとした手土産代、お友達と出かける旅行などなど……。私から言わせれば夫が気軽な財布代わりに使われている感じです。もちろん一度も返してはもらっていません。
どんどん目減りするわが家の銀行残高。もう我慢できない……! そうこうしているうちに、夫がまた義実家からお金を貸してほしいとお願いされます。「とりあえず30万くらいだってさ」と気軽に言ってくる夫。(え、30万? 簡単に貸せるような金額じゃないでしょう!?)私は銀行残高の数字を夫に突きつけ、怒りに声をふるわせながら言いました。「……もう貸せない」
「え?」「今まで貸したお金1円も返ってきてないのよ。息子の大学の学費だってまだ払わなきゃいけないし」「それとこれとは話が別だろ?」「お金の話なら同じだよ! このまま言いなりになって貸し続けていたら、学費が払えなくなっちゃうよ!?」
「どうして義弟のハヤトさんにはお願いしないの? ウチだけが払うルールはないでしょ」家計の窮状を訴えますが、夫には分かってもらえず「でも、俺は長男なんだから……」と主張されるばかり。私に内緒で勝手にお金を義両親に渡してしまいそうだったので、私は先手を打つことにしました。思い切って義弟ハヤトさんの奥さん、サキさんに電話をかけたのです。
「お義母さんたちに、30万貸してあげてください」「えっ?」サキさんは驚いています。当然のことでしょう。いきなりお金を無心するようなこんな失礼な電話、私だって本当はしたくありません。
「お金に困っているみたいなんです。ウチはもうこれ以上は無理です。詳しくはお義母さんたちに聞いてください……。よろしくお願いします」電話口のサキさんはひたすら困惑していました。でもうちばかりがお金を出させられている状況に、私はほとほと疲れてしまっていたのです。そして翌日。サキさんから義弟ハヤトさん経由で義母へ連絡があったのでしょう。わが家に義母が怒鳴りこんできました。
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「どうして余計なこと言ったの! 長男夫婦はあなたたちでしょう! ハヤトたちに余計な心配させないでちょうだい!」私も負けじと言い返します。「同じ息子なんだから、お金がほしいなら弟のハヤトさんにも頼めばいいじゃないですか! もうお義母さんたちのワガママに付き合いきれません!」
「母さん落ち着いて! ごめん! 俺がマドカに言い聞かせておくから!」夫の言葉にあぜんとします。まるで義両親の言いなりで、私ひとりが悪いような言い方をして……。「もう無理……」私の気持ちはサーっと冷めていきました。夫の気持ちを尊重して「長男の嫁だから」と覚悟していたけれど、お金が絡むと人の本性がイヤでも見えてきてしまう気がします。このままではとても義両親の老後を手助けする気にはなれません。長男だからと持ち上げられていいように使われている夫にも、早く目を覚ましてもらいたいと思います。
【第3話】へ続く。
原案・ママスタコミュニティ 脚本・古川あさこ 作画・ももいろななえ 編集・井伊テレ子