【漫画】おばあさんとエイリアンの奇妙で優しい日々ーー異質なコンビに癒されるSNS漫画

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2023年12月21日 09:01  リアルサウンド

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『おばあさんとエイリアン』より

 人ならざる知的生物がいるとしたら、人間と彼らを繋ぐのは「やさしさ」かもしれない。11月下旬にXに投稿された創作漫画『おばあさんとエイリアン』は、ハラハラさせるシーンをスパイスにしながら、相容れないように思えるふたりが不思議な癒しを与えてくれる作品だ。


(参考:漫画『おばあさんとエイリアン』を読む


 田舎で野菜を育てながら生活しているおばあさん・緑谷のり子には、おかしな同居人がいる。手足が長く一つ目という、異形のエイリアン・冬吉と穏やかな日々を送っていたが、年齢から体調不良も増えてきた。そんななかで、冬吉はある能力をのり子に披露する――。


 本作を手掛けたのは、漫画という自由な表現に魅了され、自身でも制作活動をするようになったという村松イオリさん(@IORI_bluebird)。ほのぼのしながら切実なメッセージが伝わってくる本作がどのように誕生したのか、話を聞いた。(望月悠木)


■「お年寄りが宇宙人と出会ったらどうなるんだろう」


――なぜ『おばあさんとエイリアン』を制作しようと思ったのですか?


イオリ:もともと人外と同居する設定が好きなので、そういう作品を描きたいと思って制作しました。日常の中に非日常も溶け込んでいると本当にワクワクします。


――なぜおばあさんとエイリアンの組み合わせに?


イオリ:私の祖母が青森に住んでいるのですが、そこは住人も数人程度の田舎で、畑と自然に囲まれています。そこから「田舎を舞台にしたい」「ジブリ作品や細田守作品のような静かな雰囲気のある作品作りを目指したい」と考え、「そこでお年寄りが宇宙人と出会ったらどうなるんだろう」とアイデアを考えました。


――エイリアンの冬吉は怖くも見えるし、可愛くも見えるビジュアルでした。


イオリ:ナメクジのような柔らかい身体をイメージして描きました。いかにも“得体のしれない”という見た目でありながら、思春期の子どもっぽい性格を取り入れて親しみやすさが出るように意識しました。


■冬吉のセリフをよく見ると……


――ちなみに、“痛みだけでなく老いまで吸い取る”という冬吉の特殊能力は何を参考にしましたか?


イオリ:『グリーンマイル』『宇宙人ポール』など、相手の傷を癒せる代わりに自分にも負担が生じる、という能力を持つキャラクターが登場する映画を参考にしました。


――冬吉がのり子さんを“吸う”シーンでは一瞬緊張感が生まれる作画になっていました。


イオリ:冒頭のシーンもそうですが読者に一瞬「えっ!?」と感じられるよう、メリハリを付けることを意識しています。「ホラーかと思いきやほのぼの系」という驚きも感じられる演出を入れることで、読者にしっかり話を見てもらえるように工夫しました。


――種族を超えた優しいストーリーでした。種族が違うからこそ2人の心の機微を表現することは難しかったと思いますが、注意したことなどありますか?


イオリ:2人とも本音で言い合う本物の家族のような関係性に見えるように意識しました。ちなみに、冬吉のセリフを逆さまにすると実は読めるようになっています。冬吉のセリフはもちろん、のり子のセリフを見てもらえればわかりますが、2人とも嘘や秘密はありません。お互いに常に信頼しあえる関係性になるように注意しました。


――最後に漫画制作における目標など教えてください。


イオリ:商業誌またはWeb誌での掲載を目標にしています。なにより、読者のみなさんが楽しめたり癒されたりできる作品を作り続けたいです。フォロワーさんや読んでくれた人達のおかげで今も諦めずに活動を続けられていると思っています。この漫画も含めて作品がより多くの人に認知してもらえると嬉しいです。最後に“村松イオリらしさ”をしっかり守って制作に励んでいきます。


(取材・文=望月悠木)


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