『BLEACH』黒崎一護の“出生の秘密”は第1話から暗示されていた?「滅却師の血」をめぐる伏線の数々

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2023年12月26日 07:01  リアルサウンド

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©久保帯人/集英社・テレビ東京・dentsu・ぴえろ

   2022年から放送されているTVアニメ『BLEACH 千年血戦篇』では、原作マンガの最終章にあたるエピソードが描かれており、そのなかで主人公・黒崎一護に隠された“出生の秘密”も明かされていた。実はこの衝撃的な展開は、物語の初期から構想されていたようで、第1話の時点から伏線らしき描写が存在していたという。


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  まず、これまでの一護の設定について振り返ると、当初は朽木ルキアとの出会いによって死神の力を手に入れ、「死神代行」となった高校生だった。そして物語の早い段階で、父親の一心が元死神だったことも明らかになっている。


  しかし『BLEACH 千年血戦篇』の第1クールでは、かつてグランドフィッシャーという虚(ホロウ)に命を奪われた母・真咲をめぐって、新たな事実が判明。真咲が純血統の滅却師(クインシー)の生き残りだったことが分かったのだ。すなわち一護は、死神と滅却師の血を引いた子どもだったことになる。


  さらにその後、一護が精神世界で接触してきた「斬月のおっさん」が、実は斬魄刀に宿った死神の力ではなく、滅却師の力だったことも判明。原作の掲載当時は、読者たちに大きな衝撃を与えた。


  こうして振り返ると、一護の設定は劇的に変化しているため、中には“後付け”のように感じてしまった人もいるかもしれない。しかし実際には、初期の頃から滅却師との関係を匂わせる描写はいくつも存在した。


  そのうちの1つが、一護という名前に隠された意味だ。一護は自室のドアに「15」というネームプレートをかけていたり、「15」とプリントされた服を好んで着ていたりと、自分の名前と同じ発音である数字の“15”を自らのトレードマークとしていた。そしてこの15という数字は、スペイン語で表すと“quince”となる。作中での滅却師のアルファベット表記は“quincey”なので、偶然とは思えないほどよく似ているだろう。


  さらに一護の双子の妹、夏梨(カリン)と遊子(ユズ)についても考察の余地がある。双子のうち、夏梨だけが霊能力を持っているのだが、果物のカリンは英語名で“Chinese quince”と表記されるのだ。やはりこちらも滅却師のアルファベット表記に近く、夏梨の霊能力が滅却師の血に由来するものだと暗示しているように見える。


  こうした設定から、作者・久保帯人が一護や夏梨の名前を考えた時点で、滅却師の血筋に関する設定はすでに存在したと解釈できるのではないだろうか。


斬月のおっさん」の正体を匂わせる描写


  一護が滅却師の血を引いていることを暗示する描写は、他にもある。たとえば単行本第8巻、一護が精神世界にて自分の霊力の化身である「斬月のおっさん」と会話するシーンだ。


  この前に一護は朽木ルキアから受け継いだ死神の力を朽木白哉に消されていたが、「斬月のおっさん」は一護自身の霊力を使うことをアドバイスし、「大気中に無数に飛び交うこの霊子さえも」「足元に固めれば踏み台とすることができるのだ!!」と語る。しかし実はこれは、滅却師固有の移動法である「飛廉脚」のやり方と一致していた。


  実際に第26巻で石田雨竜が断界を移動する際や、第70巻で涅マユリが研究で身につけた飛廉脚を使う際に、霊子を足元に固めて踏み台にしている描写がみてとれる。つまり「斬月のおっさん」の正体が滅却師の力であることは、少なくとも8巻の時点で決まっていたと考えられるだろう。


  また第19巻で描かれた一護と朽木白哉の戦いも、今振り返ると意味深だ。白哉は一護が初めて使った卍解・天鎖斬月に対して、「貴様のそれは卍解ではない」「そんな矮小な卍解などありはしない」と冷たく言い放つ。しかしその後、なぜか白哉は矮小なはずの天鎖斬月に圧倒されてしまう。


  だが後に分かるように、一護の霊力は死神由来ではなく、滅却師由来のものであり、この天鎖斬月は本当に普通の卍解ではなかった。白哉は見る目がないどころか、むしろその正体に肉薄していたのかもしれない。


  なおTVアニメ『BLEACH 千年血戦篇』は、2024年から第3クール目にあたる「相剋譚」が放送される予定。どんな衝撃の展開が待ち受けているのか、放送を楽しみに待とう。


©久保帯人/集英社・テレビ東京・dentsu・ぴえろ


(文=キットゥン希美)


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