『呪術廻戦』2024年は何が起きる? 虎杖悠仁の覚醒に釘崎野薔薇の未来……今後の展開を予想

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2024年01月05日 07:01  リアルサウンド

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※本稿はアニメ『呪術廻戦』原作最新話までの内容を含みます。ネタバレにご注意ください。


 2023年は『呪術廻戦』をめぐり、さまざまな出来事が巻き起こった。TVシリーズ第2期の放送に、スマートフォンゲームのリリースなど、1つひとつ挙げるとキリがないほどだが、何より衝撃的だったのは『週刊少年ジャンプ』(集英社)に掲載された本編の展開だろう。


  おそらく2024年には、ますます読者を驚かせる展開が待ち受けているはず。1年のあいだに何が起きるのか、少し先の未来を予想していこう。


   まずおさえておきたいのが、12月16日に「ジャンプフェスタ2024」1日目のステージで発表された作者・芥見下々のコメントだ。そこで芥見は「呪術廻戦が連載中でのジャンフェスは多分絶対これが最後です」として、来年の同イベントまでに連載が完結していることを匂わせていた。


  つまり2024年12月頃までに、現在描かれている最終決戦も含めて、物語が完全決着を迎えるということだろう。そうなれば、これまで用意されてきた伏線も一気に回収されていくはずだ。


  伏線めいた描写でいえば、主人公・虎杖悠仁については“覚醒フラグ”が存在する。五条悟の戦いの後、日車寛見と並んで両面宿儺の前に現れた虎杖は、なにやら腕が異形のように変化していた。また最終決戦が始まる前には、呪胎九相図を食べて取り込んだことを示唆するようなシーンもあったため、何らかのパワーアップを遂げていることはほぼ間違いないと思われる。


  ほかにも虎杖は、九十九由基が遺した「魂の研究記録」を脹相から託されていたり、五条から「宿儺の術式が刻まれる」と分析されていたりと、意味深な描写が数多く残されている。今後の戦闘シーンでそうした布石が回収されることを、期待も込めて見守っていきたい。


  その一方で、もう1人の主人公・乙骨憂太もいまだに謎が多い。前日譚にあたる『呪術廻戦 0 東京都立呪術高等専門学校』にて、乙骨は特級過呪怨霊・祈本里香を失ったが、本編では「リカ」という謎の存在を使って戦っている。その正体は「外付けの術式と呪力の備蓄」と説明されていたが、これだけでは今ひとつピンとこない。


  また模倣(コピー)の術式についても詳細は不明で、「死滅回游」で披露しかけた領域展開も不発で終わっていた。その真価が作中で発揮されるとすれば、最終決戦の場を置いてほかにはないだろう。


仲間たちの生死と宿儺や羂索の思惑


 さらに2024年には、仲間たちの動向についても進展が期待できる。たとえば釘崎野薔薇は「渋谷事変」で真人に致命傷を負わされたが、今後ドラマチックな再登場を遂げるかもしれない。


  野薔薇は呼吸や脈が止まっている状態ではあったが、傷を現状維持にとどめる新田新の術式によって処置を受け、「助かる可能性は0じゃない」と言われていた。そして作者の芥見も、フジテレビONEで放送された『漫道コバヤシ』に出演した際、「死にたてホヤホヤ」で維持されていることや、その後の処置次第で復活の可能性があることに言及していた。そのため最終決戦が終わる前に再登場を果たし、何らかの重要な役どころを演じるのではないかと想像できる。


  また、同じく途中退場組でいえば、東堂葵の行方も気になるところだ。「渋谷事変」にて真人の攻撃を受けた東堂は、自身の術式「不義遊戯」(ブギウギ)について「もう死んでいる」と語っていた。その後一切出番がなくなったため、術式の消失をきっかけに戦場を離れることを決断したのかもしれない。


  ただ、同じく戦闘能力を失った三輪霞は最終決戦に参戦している。あの東堂が術式を失ったくらいで世紀の戦いに興味を失うとは考えにくいが、今どこで何をしているのだろうか……。


  東堂と同じように、「死滅回游」で乙骨に倒された烏鷺亨子も行方不明となっている。高専関係者ではないため、宿儺や羂索に関わらない場所に移動したとも考えられるが、少年マンガでは一度負けたキャラクターは味方になるもの。完結までに再登場する可能性は十分あるだろう。


  他方で、作品が完結に向かうということは、その過程で敵キャラクターたちの秘密が明かされることにも期待できるはずだ。宿儺には出生の秘密があり、何らかの理由から「忌み子」として扱われたことが明かされている。双子の魂が同じ身体に宿っているという説もあるため、そのあたりのバックボーンが紐解かれていくのではないだろうか。


  またもう1人のラスボスだった羂索は、乙骨との戦闘を終えた後、何者かが自分の意志を受け継ぐという不吉な未来を示唆していた。ただでは物語から退場せず、もう一波乱を巻き起こしていくのかもしれない。


  気になるストーリーがいくつも同時進行している現在の『呪術廻戦』。激動の1年になることは間違いないので、今から心の準備をしておこう。


(参考:【写真】領域展開「嵌合暗翳庭」を発動した圧倒的迫力の伏黒恵のフィギュア


  ところがそんな状況下で、釘崎は自身の生死に頓着する様子を見せず、「悪くなかった」という名ゼリフを発してみせるのだった。なぜ彼女の生き様はかくも気高いのか、作者・芥見下々の作風にまで踏み込んで考えてみたい。


  釘崎は虎杖悠仁と同じ呪術高専東京校の1年生。呪術師としてはまだ駆け出しだが、呪術師の家系に生まれたことから、幼い頃から呪いとの接点があった。しかし彼女の覚悟が異様なまでに決まっているのは、そうした下積みではなく、むしろ自ら選択した生き方と強い意志の影響が大きいだろう。


  単行本1巻で描かれた初登場エピソードによると、呪術高専に入った理由は、「田舎が嫌で東京に住みたかったから」。一見軽薄に見えるが、釘崎にとっては「私が私であるため」に必要なことであり、それは命をかけるに値するほどだという。


  元々釘崎は田舎の村で暮らしていたが、そこで東京から引っ越してきた“沙織ちゃん”という人物との出会いを果たし、人格形成に大きな影響を受ける。しかし彼女は余所者であっただけで閉鎖的な村社会から迫害され、やがて追い出されてしまう。釘崎もまたそんな環境に馴染むことができず、自分の居場所を作るために東京へとやってきたのだった。その覚悟の強さは、村にいたままだったら「死んだも同然」と考えるほどだ。


  なお、『呪術廻戦 公式ファンブック』では釘崎が東北出身でありながら、話し言葉が一切訛っていない理由について、「母が訛っていないから」と説明されていた。このことから、釘崎の母が標準語を話す地域から嫁いで村にやってきた人物だと推測できる。


  アニメ第43話「理非-弐」で描かれた過去回想では、“ふみ”というもう1人の少女の視点から、釘崎と母の関係性が示唆されていた。おそらく釘崎が閉鎖的な村に反発していたのは、沙織ちゃんと同じように余所者だった母の影響もあるのだろう。


  いずれにしても釘崎は自分らしく生きられる場所を求めて、東京で呪術師となった。そしてその選択は、決して間違っていなかった。極限状態にありながら、笑顔を浮かべて「悪くなかった」と言い放つことができたのは、幼少期から探し求めてきた“自分の居場所”を呪術高専に見出したからに他ならないはずだ。


■命をかける覚悟を決めた女性キャラたち


 釘崎の意志の強さを感じさせるエピソードとしては、単行本第7・8巻のバトルが挙げられる。そこで彼女は虎杖と共に、人間の身体に受肉した「呪胎九相図」の壊相・血塗と対峙した。


  明らかに呪霊とは異なる存在だったため、虎杖は彼らを手にかける際、「ごめん」と口走り、戦闘後も表情を曇らせていた。それに対して釘崎は内心はともかく、「私はぶっちゃけなんともない」と気丈に言い放っている。釘崎の方が呪術師としての覚悟が決まっていることを示すシーンだが、それは“人間としての覚悟”とも無関係ではない。彼女は自分の命も含めて、「私が私である」というエゴイズムを通すためにあらゆるものを犠牲にすることを覚悟していた。


  とくに呪術師の世界では、自分の価値観を守り抜くことは容易ではない。力なき者は奪われ、蹂躙されるだけで終わってしまうからだ。釘崎だけでなく、『呪術廻戦』に登場する女性キャラクターたちはいずれも命をかける覚悟をもって、エゴイズムを通そうとしている。


  たとえばその筆頭と言えるのが、禪院真希・真依の姉妹だろう。禪院家は呪術界の名門にして、血統主義と男尊女卑に強く縛られた家柄。“凶兆”とされる双子として生まれた真希と真依は、幼い頃から差別的な扱いを受けており、人間らしく生きるためには呪術師としての腕を磨くことが不可欠だった。


  そして真依と同じ呪術高専京都校に所属する西宮桃も、“女性呪術師”という困難な生き方と深く向き合っているキャラクターだ。釘崎とは価値観が対立することとなったが、どちらも自分の居場所を作るために奮闘していることには変わりない。


  少年マンガでは、主人公に守られるヒロインとしての女性キャラクターが登場しがちだとよく言われるが、『呪術廻戦』の世界はまったく真逆。むしろ守られることを拒絶し、自分の力で強くなって世界と対峙するという意志に満ちあふれている。釘崎は、そうした気高いキャラクター像を象徴する存在と言えるかもしれない。


  作中で夜蛾正道は「呪術師に悔いのない死などない」と語っていたが、『呪術廻戦』の女性キャラクターたちはそうした枠組みすら破壊する生き様を見せてくれる。芥見下々の描く世界はきわめて残酷で、理不尽な悲劇ばかり巻き起こるが、だからこそ人の意志の気高さが際立つのではないだろうか。


(文=キットゥン希美)


©芥見下々/集英社・呪術廻戦製作委員会


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