【漫画】オーストラリアからの転校生が無敵すぎ? 「いじめ」の滑稽さを感じるSNS漫画が痛快

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2024年01月15日 09:41  リアルサウンド

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『オーストラリアから来た季節はずれの転校生』より

 「いじめ/いじめっ子」がいかに滑稽か。学校という狭い世界でそのことに気づくのは難しいが、X上で12月下旬に投稿されたオリジナル漫画『オーストラリアから来た季節はずれの転校生』を読むと、視野を広げればどれだけバカバカしいことかが伝わってくる。ほのぼのとしたタッチで描かれる帰国子女・タエコの振る舞いが痛快だ。


(参考:『オーストラリアから来た季節はずれの転校生』を読む


 ある日、高校に「タエコノザワ」という帰国子女がオーストラリアから転校してきた。さっそくクラスのいじめっ子・水上の目に留まってしまい因縁をつけられるが、マイペースな対応で手玉に取るタエコ。腹の虫は収まらない水上は、彼女にゾッコンの学校一のイケメンにタエコを誘惑させるが……。


 本作を手掛けたのは緑丘まこさん(@makoishappy777)。以前は文筆を中心に、漫画原作やエッセイなどで賞を獲得していたものの、漫画教室に行った際に講師を務めていた『チェリーボーイズ』(青林工藝舎)などでお馴染みの古泉智浩氏から「緑丘さんの漫画は、緑丘さんの絵で描いたほうがいいよ」と言われたことをキッカケに、ストーリーだけではなく絵も描くようになったという。カタルシスと中毒性のある本作を制作した背景を聞いた。(望月悠木)


■8年越しの作品


――『オーストラリアから来た季節はずれの転校生』が誕生した背景とは?


緑丘:ネーム自体は9年前に描いたのですが、ずっと放置していました。ただ、昨年に心身ともにしんどい日が続き、何か明るい漫画を描きたくなりました。そんな折、久しぶりにこのネームを読み返すと、明るい気持ちになれたため、大げさですが自分を励ますような気持ちでこちらのネームを8年越しで漫画にしました。


――なぜ“オーストラリアから来た転校生”だったのですか?


緑丘:昔、オーストラリアやニュージーランドにワーホリで滞在したことがあり、現地の人達のおおらかさ、明るさにものすごく魅力を感じました。その経験から、無意識のうちに、この物語に反映されたような気がします。


――タエコのマイペースな言動が面白かったです。


緑丘:ネームを作成した時に苦労して考えた記憶も全くなく、まるでタエコという人物が突然浮かび、物語の中で生き生きと動いてくれたため、まかせるように描いた感じかもしれません。


■漫画を描くうえで意識していること


――タエコの言動だけではなく、そもそも作品内のゆるい空気感もクセになりました。


緑丘:なるべく人を不快にしたり、傷つけたりするような作品にはならないように気をつけました。ジャンルにもよりますが、基本的には読んでホッコリするような漫画作りを心がけています。


――「いじめっ子おきまりのセリフ」「ほっぺだけど てかあんた、ファーストキスだったんかい」というセリフに作者自身がツッコむという表現も面白ポイントでした。


緑丘:セリフにツッコミを入れる漫画を度々見かけたことがあり、「面白いな」と思って自分の漫画にも取り入れました。楽しんでもらえたのなら良かったです。


――不快感を与えず、楽しんで読んでもらうことを特に大切にしているのですね。


緑丘:そうですね。本作のようなオリジナル漫画に限らず、エッセイ漫画を描く際も、なるべく不快にしたり傷つけたりする漫画は描かないことを決めています。


――技術的に意識している点はありますか?


緑丘:オリジナル漫画はストーリー性やキャラクターを強く意識する必要がある一方、エッセイ漫画はそのまま描くとただの日記になってしまうため読み応えを持たせなければいけません。その辺はまだまだ勉強中です。


――最後に今後の目標など教えてください。


緑丘:漫画やエッセイのお仕事は随時募集中です。とはいえ、私の場合、連載の打ち合わせの途中で自信を無くしたり、自ら断念したりなどが続いており、連載にこだわらずに描き続けることを一番大切にしたいと思います。現在は、kindleにてエッセイ漫画、オリジナル漫画をまとめて配信中です。Amazonで「緑丘まこ」と検索すると、一部有料の電子書籍もありますが、無料で電子書籍の漫画を多数読めるためチェックしてもらえると嬉しいです。


(取材・文=望月悠木)


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