日産「アリア」にNISMO登場! ただでさえ速いBEVの高性能版は何が違う?

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2024年01月18日 11:41  マイナビニュース

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画像提供:マイナビニュース
日産自動車が電気自動車(BEV)「アリア」の高性能バージョン「アリアNISMO」を公開した。ただでさえ速いアリアは、NISMOになるとどう変わるのか。走行性能を上げると、BEVとしての完成度に破綻をきたさないのか。実車を見て担当者に話を聞いてきた。


馬力はベースモデル比10%アップ!



アリアNISMOのグレードは「B9 e-FORCE」と「B6 e-FORCE」の2種類。B9は最高出力320kW、最大トルク600Nm、バッテリー総電力量91kWh、B6は同270kW、560Nm、66kWhというスペックだ。どちらのグレードも、ベースモデルから約30kW(約40PS)の馬力向上を果たした“心臓”を搭載する。そのため、パワーを全開放できる「NISMOモード」を新たに設定。「フォーミュラE」マシンの高揚感を彷彿させるEVサウンドも新規採用した。


日産モータースポーツ&カスタマイズ オーテック事業所 カスタマイズプロジェクト統括部の成富健一郎主担によると、NISMOロードカーはベース車に対して「より速く、より気持ちよく、安心して走ること」が共通のテーマ。2トンを超えるアリア(B9は2,210kg〜2,220kg、B6は2,080kg)では、重いクルマをNISMOロードカーとして仕立てるため、単にパワーアップするだけでなく、さまざまなポイントに注力する必要があったという。

高性能化で工夫を施した個所は?



まずはタイヤ。装着するのはフォーミュラEのワンメイク供給サプライヤーでもあるミシュランと共同開発した「パイロットスポーツE」(255/45R20)だ。銘柄自体は標準で販売されているタイヤと同じだが、コンパウンドなどは専用のものを採用している。


重いボディを受け止めるタイヤは当然、路面とのしっかりとしたコンタクトが必要となるものの、単純にハイグリップにしてしまうと転がり抵抗が大きくなり、BEVとしての航続距離に影響が出てしまう。アリアNISMOのタイヤでは、二律背反のファクトをうまくバランスさせたそうだ。ハイグリップなタイヤだと、背の高いアリアはボディモーションが大きくなってしまうところだが、バネ、スタビライザー、ショックアブソーバーに専用チューニングを施すことで、上屋の動きがコントロールされるようになったという。

日産ご自慢の電動4駆も進化

標準のアリアには2駆と4駆の両方を用意しているが、NISMOバージョンは4駆のみの設定になっている。理由は、4駆の方がトラクションがよくかかるので、速く走ることができるからだ。搭載するのは「NISMO tuned e-4ORCE」と呼ぶ専用チューニングの4駆システム。荒れた路面でフロント側がグリップを失い、通常であれば動きが不安定になってしまう場面では、フロントタイヤ側に余力を残すことで、どんな道でもステアリングを切った方向にぐいぐいと向かっていくことができるとのことだ。


この考え方は「GT-R」などの「アテーサE-TS」で培った技術と同じもの。パワートレインの電動化により反応速度が1/1,000から1/10,000に短くなり、さらに理想に近い走りが実現できたという。アンジュレーションがひどい路面でもハイペースで走ることができるので、実際にニュルブルクリンク北コースをアリアNISMOで走ってみても優れた走りを見せたそうだ。

ほかのNISMOとアリアNISMOはどう違う?



「東京オートサロン2024」で横に並んだ「GT-R NISMO」は、アリアNISMOと動力性能はあまり変わらないものの車重は約500kgも軽い。「フェアレディNISMO」も同様で、この2台はサーキット走行まで視野に入っている。一方、「スカイラインNISMO」とアリアNISMOは、どちらかといえばグランドツーリング性能が高く、タイヤがよくストロークするので乗り心地も悪くないという。


さて、アリアNISMOは欲しければすぐに買えるクルマなのか。「ベースのアリア自体もお客様にかなりお待たせしている状況ですが、このクルマを正式発表するころにはしっかりと改善できるよう、関係者は一丸となっています」というのが成富さんの言葉だ。アリアは標準バージョンでも「かなり速い」と思わせてくれたBEVである。NISMOバージョンとなれば、早く乗ってみたいと思うのは筆者だけではないだろう。


原アキラ はらあきら 1983年、某通信社写真部に入社。カメラマン、デスクを経験後、デジタル部門で自動車を担当。週1本、年間50本の試乗記を約5年間執筆。現在フリーで各メディアに記事を発表中。試乗会、発表会に関わらず、自ら写真を撮影することを信条とする。 この著者の記事一覧はこちら(原アキラ)
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