レアル・ソシエダが『ジャパンアカデミー』で目指すものとは…オラべSD「数年後にはトップチームへ」

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2024年01月20日 10:01  サッカーキング

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レアル・ソシエダのロベルト・オラベSD[写真=兼子慎一郎]
 日本代表MF久保建英の所属するレアル・ソシエダは今月11日、YASUDA group(ヤスダグループ)との「パートナーシップ契約」を締結。都内で契約締結発表会見を開き、レアル・ソシエダの教育システムを生かした『ソシエダ・ジャパンアカデミー』の開校と、トップチームによるジャパンツアーを2024年に開催することなどを発表した。

 会見には、契約締結に伴い来日したレアル・ソシエダのロベルト・オラベSD(スポーツ・ディレクター)も登壇し、『ソシエダ・ジャパンアカデミー』について言及。オラベSDは「大きな目標はレアル・ソシエダで長年築き上げてきたものを用いて日本の中から数年後にトップチームで戦える選手を発掘、成長させること」とコメント。下部組織からトップチームに多くの選手を輩出しているレアル・ソシエダで経験を積んだ指導者を日本に送り出すとともに、今回のアカデミーの対象となる小学生年代に限らず、中高生に関してもスカウティングを行なうことで日本全体の才能を発掘していくいく考えも明かした。

 会見後、来日したオラベSDに『ソシエダ・ジャパンアカデミー』の構想やレアル・ソシエダの育成システムについて話をうかがった。


■日本の才能発掘へ

――『ソシエダ・ジャパンアカデミー』の開校は、どのような影響をもたらすと考えていますか?
オラベSD レアル・ソシエダには情熱をもって働くスタッフがいます。そのスタッフたちを日本に連れてきて、クラブのメソッドを浸透させて、編成の中に育てた選手たちを組み込み、数年後にはトップチームへ輩出できるようにしていこうと考えています。

――クラブのメソッドを浸透させるために、どのくらいの時間が必要だと考えていますか?
オラベSD (年齢が)若ければ若いほど、クラブの中で確立された軌道に乗せて、じっくり時間をかけて適応してもらう必要があると思っています。今、アカデミーには7年(※)在籍している選手たちがいますが、3年目くらいから、少しずつスビエタ(下部組織の拠点)で行っているメソッドを理解してくるかなという印象です。

※レアル・ソシエダが本拠地を置くバスク地方では、小学生年代(12歳)まで1年を通して同じスポーツをすることが認められておらず、特定のチームで活動することを禁じられている。そのため、レアル・ソシエダには13歳から在籍可能となる。

――今回のアカデミーの対象となるのは小学生年代になりますが、その先の年代に関しては、日本で育成するのでしょうか?それともスビエタで育成するイメージでしょうか?
オラベSD 1月、2月でレアル・ソシエダで必要な技術を選手たちに習得してもらいます。3月には日本の選手たちがもともと持っている技術と融合させて、才能のある選手を発掘、選出します。そして、4月には2024年から2025年にかけて行うスクールを開始して、才能のある選手をスビエタに連れていこうと考えています。ただ、重要なのは、時間をかけてしっかり選手たちにメソッドを浸透させることです。すぐに結果を出そうとは考えていません。

ーーなぜ日本に?
オラベSD 日本には技術のある選手が非常に多い。私たちが長年築きあげてきたものにフィットできるスタイルがあると思っています。日本以外にもアフリカなどにアカデミーがあるので、そういったところからメソッドを浸透させた選手たちが出てくることを願っています。


■下部組織出身選手が6割

――レアル・ソシエダの育成が成功している要因はどこにあるのでしょうか?
オラベSD 決まったモデルがあるなかで、それにどう適応させていくのか。それが大事だと考えています。

――下部組織から多くの選手が昇格し、トップチームで活躍しているということは、下部組織の選手にとって、大きなモチベーションになっているのでしょうか?
オラベSD 間違いないです。トップチームの60パーセント以上がスビエタでの訓練を受けた選手たちです。カンテラ(下部組織)の選手たちは、彼らを目標に努力しているのは間違いないと思います。

――下部組織だけでなく、他チームから獲得してきた選手も、若くて技術力のある選手が多いと思います。それもクラブの強化方針として存在するのでしょうか?
オラベSD 若い選手たちがプレーするというのは、レアル・ソシエダというクラブのDNAになっています。ラ・リーガの中でも最も若いチーム編成になっていますし、外から来る選手たちも『若くても活躍できる』という希望をもって、チームに加わってくれています。

――日本人選手も若くして活躍する選手が増えています。日本人選手についての印象を教えてもらえますか?
オラベSD (若手選手の活躍は)日本の進化だと思います。日本人の選手が世界のビッグクラブでプレーすることにより、アジアの他の国にも影響を与えていると思いますし、日本の進化を感じています。

――久保選手も若くして頭角を現した選手の一人です。久保選手にはいつ頃から注目していましたか?
オラベSD タケは2年前にレアル・ソシエダに加わったばかりですが、そのずっと昔から追っていました。ここからというタイミングはないですが、タケのことは2001年生まれの選手としてジュニア(小学生)年代から知っていましたし、マジョルカやビジャレアルに期限付き移籍した時も欲しかった選手です。そうして今、レアル・ソシエダに加わってくれたことは、幸せなストーリーだなと思っています。

――その久保選手の活躍もあり、今年はUEFAチャンピオンズリーグ(CL)でラウンド16まで進出しています。今のトップチームが強い要因をあらためて教えてください。
オラベSD ここ4年、だいたい同じチーム編成をしたことで、大きく成長したと思っています。CLの前にはUEFAヨーロッパリーグ(EL)に出場して、強い相手と戦う経験を積めました。勝ち負けに問わず、自分たちが常に学び続けたことが、今の成長につながっていると思います。

――ジャパンツアーを楽しみにしているファン・サポーターに向けて、メッセージをお願いします。
オラベSD 日本に来れることを本当に楽しみにしています。厳選した良い選手たちを日本に連れてきて戦いたいと思います。

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