【漫画】誰もが知る遊びで本気のギャンブル? SNS漫画『鬼ごっこに勝ったら賞金が貰える話』が楽しい

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2024年01月20日 15:11  リアルサウンド

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『鬼ごっこに勝ったら賞金が貰える話』より

 デスゲーム系の作品には、「自分ならどう切り抜けるか?」を考えながら読み進める楽しみがある。Xに12月中旬にアップされたオリジナル漫画『鬼ごっこに勝ったら賞金が貰える話』は、「鬼ごっこ」という誰にも経験のあるモチーフでそんな想像をリアルにさせてくれる、刺激的な作品だ。


(参考:『鬼ごっこに勝ったら賞金が貰える話』を読む


 金欠大学生の古川興一は楽して稼げる方法をネット検索していると、『オールドゲーマーズ』というサイトの見かける。そこには「鬼ごっこをして勝利すると10万円もらえる」と記されており、不信感を覚えつつも応募することに。当日、指定された公園に向かうと、そこには様々な参加者の姿があり――。


 現在は二誌の担当編集と会議を重ねながら、連載獲得に向けて日々活動しているという作者のアキスさん(@akisu_K)。「鬼ごっこ」という身近な遊びを最大限面白く表現した本作を制作した背景を聞いた。(望月悠木)


■「主人公が違えば見え方も結構変わってくる」


――『鬼ごっこに勝ったら賞金が貰える話』を制作した時の状況は?


アキス:本作は結構前に描いた作品です。当時『LIAR GAME』(集英社)をはじめとしたデスゲーム系の作品が流行しており、またアニメ版の『カイジ』を視聴した影響もあって「自分なりに面白く描けるかも」と思ったことがキッカケです。出版社に持ち込んだ際、様々なデスゲーム系の作品と比較される覚悟はしていましたが、比較されたうえで好感触でした。賞こそ獲れませんでしたが、良くも悪くも自分の漫画人生を左右する作品になりました。


――『LIAR GAME』などと差別化を図るため、どのようなことを意識してストーリーを組み立てましたか?


アキス:まず「主人公が違えば見え方も結構変わってくるな」と思い、その辺りを楽しんでもらえるように制作しました。導入と大オチ以外は基本ゲームの描写に終始することにより、様々な状況に置かれた参加者全員が勝ちに向かってベストを尽くす姿をイメージしやすくなるように意識しました。もともとゲームが好きだったこともあり、楽しくスムーズに描けました。


――ゲーム参加者は複数人おり、性格や性別などをバラバラにする必要がありそうですね。


アキス:まず見た目から被りをなくそうと、年齢・性別・体格などは判別しやすい要素を多く盛り込みました。性格設定は“あのキャラ”を除いて、割と見た目通りの言動に設定しています。


■鬼ごっこを選んだ背景は?


――そもそも、なぜ鬼ごっこを選んだのですか?


アキス:まず「みんながルールを知っている既存の遊びをやろう」というところがスタート地点です。「メジャーな外遊びと言えば鬼ごっこに勝るものはないだろう」と思い、鬼ごっこに決めました。そのうえで、読者をひきつけるような展開感を生んでくれる競技と考えたことも影響しています。


――木刀が勝敗をわける伏線になっていましたが、このアイデアはどのようにして思いついたのですか?


アキス:最初に思いついた必勝法は、“2人組で1人が鬼を引き受けもう1人が隠れる”という戦法だったのですが、それを破る方法を逆算して肉付けして思いついた感じです。とはいえ、「どのようにして現場につっかえ棒になるものを持ち込むか」ということは結構悩みました。


――続編がありそうなラストでしたね。


アキス:続編は描いておらず、今のところその予定もありません。ただ、読み切りを描く度に続きのストーリーを妄想したりするため、反響が良ければいつでも続きを描こうと思っています。また、本作は賞用に大幅にリメイクしたものが拙作『深谷慶短編集』の3巻に収録されているため、興味のある人はチェックしてもらえると嬉しいです。


――今後はどのように活動していく予定ですか?


アキス:当面の目標は画業で生計を立てることなので、漫画・イラスト問わずお仕事に繋げられるように奔走しています。一番わかりやすいことで言えば商業誌での連載ですが、それも中々一筋縄ではいきません。並行してチャンスを拡大できるよう、自作に取り組んでいます。直近で描いた読切4作品はkindleストアで、無料公開中ですのでぜひご覧ください。


(取材・文=望月悠木)


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