映画『ゴールデンカムイ』は実写映画の世界で輝く山崎賢人×圧倒的存在感を放つ玉木宏と舘ひろしに注目

【最新公開シネマ批評】
映画ライター斎藤香が現在公開中の映画のなかから、オススメ作品をひとつ厳選して、本音レビューをします。

ピックアップするのは『ゴールデンカムイ』（2024年1月19日公開）です。累計2700万部（2024年1月時点）を突破した大ベストセラーコミックの実写映画化。映画化が決定したときから話題の本作がついに公開されましたね！

では、物語からいってみましょう！

【物語】

明治末期の北海道。“不死身の杉元”という異名を持つ元軍人・杉元佐一（山﨑賢人さん）は、ある目的のために大金が必要でした。

そんな彼はアイヌ民族から莫大な金塊を奪った男 “のっぺら坊” の存在を知ります。“のっぺら坊” は捕まっているのですが、金塊の隠し場所を24人の囚人の身体に彫って記したのち、彼らを脱獄させたというのです。

そんな折にアイヌの少女・アシㇼパ（山田杏奈さん）に命を助けられた杉元。金塊を奪った男に父を殺されたという彼女と行動を共にすることにします。

しかし、大日本帝国陸軍「第七師団」の鶴見篤四郎中尉（玉木宏さん）、土方歳三（舘ひろしさん）も金塊を追っていたのです。

【冒頭から映画の世界に入り込める】

面白かったですね～！　アイヌ民族の金塊を奪った “のっぺら坊” のエピソードを後藤竹千代（マキタスポーツさん）から聞いた杉元が金塊狙って動き出す……という流れがスピーディで、すぐに映画の世界に入っていけました。

相棒となるアシㇼパとの出会いは、杉元がクマに襲われたところを救ってくれたことがきっかけですが、このときのクマがリアルに怖い！　何度も襲いかかってくるし、ヒィィ～と声が出そうになるほど、全身に力入りまくりでしたよ！

そんなクマを仕留めるアシㇼパ演じるのは山田杏奈さん。表情ひとつ変えず、淡々とした仕事っぷり。登場シーンからカッコよかったです。

【実写映画の世界で輝く山崎賢人】

なんといっても注目すべきは人気漫画の実写映画化で主人公を演じることが多い山﨑賢人さん。

本作の杉元も、『キングダム』シリーズの信も、強気でまっすぐに突き進むキャラクターという共通するイメージはあるものの、キャリアを重ねて演技力に磨きをかけてきた山﨑さんは、しっかり演じ分けをしていると感じました。

『キングダム』の信は純粋で少年のような性格で、ガムシャラに目の前に立ちはだかる壁をクリアしていく男。杉元にもそういう一面がありつつも愛する人のために……というロマンチックな面も持ち合わせています。

山﨑さんは作品ごとに成長しようという意欲がお芝居から感じられるところがいい。そのやる気が役者としての魅力に繋がっていると思いました。

【圧倒的な存在感を持つ2人】

しかし、そんな山﨑賢人さんの主演パワーも退けてしまう勢いで作品の中で異彩を放っているのが、玉木宏さんと舘ひろしさんです。

玉木さん演じる鶴見は、過去に額に砲弾を受けて重症を負い、頭蓋骨を補うカバーを装着しているのですが、ときどきそこから “変な汁” が流れてくる……。これが不気味なんですよ～。玉木さんは表情も台詞回しもあえてオーバー気味にして、スクリーンからキャラが浮き上がるような芝居を見せていて圧巻！

そして土方を演じる館さん。鶴見が動なら、舘さんは静の存在感。どっしり構えた佇まいがかっこいいこと！　立っているだけで強敵だとわかる凄みに見惚れました。

杉元と対峙する2人が迫力ある熱演を見せてくれたからこそ『ゴールデンカムイ』は作品としてのレベルをかなりアップさせていると思いました。やはりヒール役は強く魅力的じゃないと！と改めて思いましたね。

映画『ゴールデンカムイ』は大スクリーンで楽しむエンタテインメント大作。金塊の行方、“のっぺら坊” の正体、杉元の心の傷……など、本作の物語は序盤、まだまだ続く予感がします。

壮大な北海道の眺め、スピーディなアクションシーン、そして金塊争奪戦を大いに楽しんでください。

『ゴールデンカムイ』
（2024年1月19日より全国ロードショー）
原作：野田サトル『ゴールデンカムイ』（集英社ヤングジャンプコミックス刊）
監督：久保茂昭
出演：山﨑賢人
山田杏奈　眞栄田郷敦　工藤阿須加　栁俊太郎　泉澤祐希／矢本悠馬
大谷亮平　勝矢／高畑充希
木場勝己　大方斐紗子　秋辺デボ　マキタスポーツ／井浦新
玉木宏・舘ひろし

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