ゴルフをもっとラクに、楽しくラウンドするために...「お助けルール」の積極的な活用を!

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2024年01月25日 07:31  webスポルティーバ

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木村和久の「新・お気楽ゴルフ」
連載◆第34回

 最近、ゴルフを始める人が増えたのは喜ばしいことです。一方で、ゴルフをちょっと試してみて、「やっぱり向いてない」とリタイヤする人が多いのも事実です。我々の世代でも、そういった人はたくさんいました。

「スコア100を切らずしてゴルフを語るなかれ」という格言があります。これは、100も切らないで、ゴルフの何たるかを語ったり、自分に適応しないと決めつけたりしないこと。ゴルフは奥が深いスポーツ。とりあえず、スコア100を切るぐらいの腕前になってから、ゴルフのことを語りなさい――そう言っているのです。

 何にせよ、早々とゴルフをやめる人が多い理由は、「楽しくない」「せかされる」「スコアが伸びない」「疲れる」「自分の思いのままにならない」......などという、苦しみが続くからだと思います。

 要するに、もっと楽しくラウンドできれば、ゴルフを続けることができるのではないでしょうか。そこで、正式ルールのなかで、うまく活用すればラクにプレーできるものがいくつかあるので、紹介していきたいと思います。

(1)最大スコアを決められる
 これは、2019年に新たに作られたルールです。しかも、ゴルフの総本山であるR&A(英国ゴルフ協会)とUSGA(全米ゴルフ協会)から、出されたものです。

 このルールは、「ホールごとに最大スコアを決めてプレーできる」というものです。最大スコアを決めるのは「委員会」となっていますが、それは競技やコンペを開催する人々のことを指します。アマチュアのプライベートラウンドであれば、同伴メンバー同士で決めてやればいいのです。

 ですから、たとえば私がリーダーとなってラウンドする場合は、「すべてのホールの最大スコアはパーの倍」としてプレーします。

 ということは、ショートホールならパー3ですから、6以上叩いたらそこでプレー終了。あとは、スコアカードに「6」と書けばいいのです。同様に、パー4なら最大「8」、パー5なら最大「10」となります。

 ゴルフは、年に数回は調子が悪い時があって、昨年もミドルホールで「12」というスコアを叩いたことがあります。その際は、外部のあまり融通の効かない人とのラウンドだったので、普通に「12」とスコアカードに書きました。これが、最大スコアを採用していれば「8」で済んだんですけどね。

 ちなみに、最大スコアを採用する時はプレー開始前、同伴メンバーの承諾を得ておくことことが必須です。叩き始めてから、「そういうルールがあるんだけど......」なんて、後出しジャンケン的に言うのは、NGですよ。

 最初に最大スコアを決めておけば、ビギナーの女性がグリーン周りのバンカーとかで泣きそうになりながら打っている際に、「ここは『6』で終わりにできますよ」とか「最大『8』で済みますよ」などと言って、それ以上叩くことのないようにしてあげることもできるわけです。

 ビギナーにとって怖いのは、1ホールのスコアがふた桁のビッグイニングになってしまうこと。それをなくせるだけでも、なんぼラクなことかです。

(2)最大スコアが普及しない理由
 最大スコアの採用は、そもそもR&AとUSGAがビギナーに優しいルール作りをしようと考案されたものです。ですから、初心者や女性の多いコンペなどでは、もっと採用すればいいのに......と思います。でも、いまだ最大スコアを採用したコンペに参加したことがありません。

 それは、なぜでしょうか?

 いろいろと説がありますが、まだこのルールがあることを知らない人が多数いるのも事実です。新ルールをチェックしている上級者は結構いるはずですが、「自分には関係ないルールだ」と認識し、広まらないのです。

 ビギナーや女性に対する思いやりは、大事だと思います。「今度、女性(あるいはビギナー)とラウンドするので、このルールを使おう」という人たちが増えれば、最大スコアのルールはより広がっていくと思うんですけど......。

 ゴルフ歴30年ぐらいのベテランでも、年に1回や2回は大叩きするものです。そういう時にも、このルールを採用しておけば、とても助かるんですけどね。

(3)他にもある「お助けルール」
・バンカー内のボールは2打罰で外に出せる
 ボールがバンカーに入って、砂に埋まっていたり、高いアゴがあったりして脱出困難だと思った場合など、2打罰でバンカーの外に出すことができます(※ピンとボールの止まっていた場所を結ぶ後方線上の基点から1クラブレングス以内にドロップできる)。

・ティーイングエリア内でのチョロは無罰
 ベテランはないと思いますが、初心者はティーショットで力んでドライバーを振り回し、前進10センチ......なんてことがあるじゃないですか。そういう場合、今までは周りも見て見ぬフリをして、「もう1回」とか言って打たせてあげていたでしょ。

 それが、新ルールでは正式に認められて、(ティーイングエリア内のチョロであれば)無罰で再度ティーアップして打てるようになったのです。

 他にも、赤杭の中でもソールして打てるようになり、OBでは今までローカルルールであった、ボールを紛失した付近から2打罰(前進4打)で打つことが正式なルールとなりました。以前なら、ティーショットでOBが想定される場合は暫定球を打っていたでしょ。これをしなくてもよくなったんですね。

 ルールがどんどん簡素化されてうれしいのですが、これはいったいどういう動きがあってのことなのでしょうか。

(4)2019年のR&AおよびUSGAのルール改正がすべての始まり
 世界的なアマチュアゴルファー増加のなか、(あくまでも想像ですが)実は日本人に向けてルールを改正した、というのが本音じゃないですかね。

 だって、アメリカのアマチュアは昔から"マリガンルール"によって、朝一番のティーショットをミスした場合は、無罰で打ち直しているでしょ。また、ボールを見失ってもさほど探さず、適当にロストボールを見つけて打ったりしていますからね。

 それに比べて日本のアマチュア、アベレージゴルファーたちは真面目にゴルフをやる風潮が強いです。だから、R&AやUSGAが助け舟を出したんじゃないかと思います。

 本当は、JGA(日本ゴルフ協会)が独自の簡単ルールを作ってもいいと思うんですよ。プロ野球じゃあ、日米でボールの大きさや、球場の広さが違うでしょ。ピッチロックなど、試合のスピードアップ化も各々で異なりますし。

 結局のところ、R&AやUSGAとしては「日本のアマチュアゴルファーは真面目すぎるんですよぉ〜。もっとゴルフを簡単にして楽しまないと」といったことを言いたいのでしょう。

(5)「OKパット」あれこれ
 ふだんのプライベートなラウンドでは、ラクなルールでラウンドすることをオススメします。

 たとえば「OKパット」は、正式なルールではありませんし、ゴルフ場のローカルルールにも明記されているわけではありません。もともとはゴルフ場のスピードアップ化とプレーヤーの「叩きたくない」という目論見が一致して始まったことで、以降「みんながやっているからやっている」という、風習みたいなものじゃないですか。それで、いいと思うんですよ。

 競技となると「OK」がないから、単純計算で1ラウンドひとりあたり18打分余計にパットを打たなければならない。そりゃ、時間がかかりますよ。かつて月例に出た時、ハーフ3時間弱なんて、ザラにありましたからね。

 最近は、半径70cmぐらいの円をカップ周りに描いて、「OKパット」の目安を示しているコースがあったりします。それを見ると、自分たちの「OK」の距離は「結構甘かったな」なんて思ったりしますが、ゴルフは楽しくやって、ストレスを溜めないことが一番です。

 そのためにも、ルールの簡素化に理解ある同伴者とラウンドしましょう。

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