対戦国が見た日本代表 森保ジャパンの長所と課題、そして失望を外国人記者が語る

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2024年01月29日 07:31  webスポルティーバ

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対戦国が見た日本代表(後編)

前編『日本代表をアジアカップ対戦国はどう見たか トルシエが指摘する「日本の弱点と長所」』>>

 アジアカップ、グループリーグ3戦目のインドネシア戦で、日本は3−1と順当に勝利を得て、グループ2位で決勝トーナメント進出を決めている。しかし、アディショナルタイムに入り日本に一矢を報いたことは、インドネシアにとって大きな出来事だったようだ。

 GKのエルナンド・アリ・スタルヤディは試合を振り返り、こう言っていた。

「結果を覆すことはできなかったが、インドネシアは日本を驚かせることができた。これは重要なことだ」

 ゴールを決めたサンディ・ウォルシュも喜びを隠せない。

「我々は満足して家に帰ることができる。アジアカップに出場できたから、だけじゃない。世界でもトップクラスのチームと戦うことができ、そのチームを苦しめたからだ。日本は我々を下すのに苦労したと思う。つまりインドネシアサッカーは急速な成長を遂げているということだ。

 日本は我々の目標でもあり、いつかは越えなければいけない壁だ。僕たち選手は、日本と大舞台で戦うのを楽しみに待っていた。世界的にも有名な選手がたくさんいるし、この大会の最も強いチームのひとつだ。日本は今、絶好調ではなかったのだろうけど、インドネシアにとってはベストのプレーをした日だった。我々は負けたけど、ひどい形の敗戦ではないし、プレーの内容を反映させるなら、3−1以上だったかもしれない。日本がいいプレーができなかったのは、インドネシアが頑張ったせいであると自負している」

 インドネシアの記者ディレスティ・スレイマン氏も日本の3−1には懐疑的だ。

「試合開始直後のPKには疑問が残るし、オウンゴールとなった得点は、日本が思っていたより強くなかったことを表わしていると思う。日本はヘタをするとイラク戦に続き、ひどい日をすごすところだった。もしインドネシアがすぐに失点をしておらず、もう少し落ち着いてプレーできていたら、違う結果になっていたかもしれない。なぜなら日本もかなりイラついていたからだ。インドネシアは日本を苦しめた。インドネシアが負けるのは誰もがわかっていたことだが、思った以上にやってくれた」

【「日本の課題が見えた試合だった」】

 一方、ダマル・ジャファ記者はもう少し公平にこの試合を見ていた。

「日本がインドネシアよりも格段に上であるのは明らかだった。インドネシアは日本を止めるために、かなりラフなプレーをしていたが、それでも、どんな時でも日本のクオリティはインドネシアよりすっと上だった。日本はイラクに敗れ、傷ついていたが、すでに立ち直りつつあった。いずれにしてもインドネシアにとっては歴史的な試合だった。世界的に有名な選手たちから1ゴールを奪ったのだから。日本がこの大会で優勝したいなら、このインドネシア戦でのようなプレーを続けてはいけない」

 インドネシアの韓国人監督シン・テヨンの言葉も聞いてみよう。

「日本に52分まで(2点目の)ゴールをさせなかったことには満足している。今日の試合はとても難しいものだったが、我々は多くのことを学んだ。日本のレベルの高さ、スピードの速さ......。しかし我々インドネシアも、運のよさでこの大会に出場できたのではないことを証明できた」

 彼は日本戦へのアプローチについてこう語る。

「選手たちから恐れを取り除くのが大変だった。インドネシアの選手たちは非常に緊張してピッチに入ったし、負けることもほぼわかっていた。しかし試合中に、選手たちはピッチでは11対11であることを思い出した。日本はもちろんリスペクトしてしかるべきチームだが、私は選手たちに、『自分たちのこともリスペクトしろ』と言った。私は選手のひとりひとりに、『日本に対していい試合をすれば、スコアなど関係ない』と言い聞かせた。我々にとってこの試合は、文句なくすばらしいものだった。だが日本にはいくつかの課題が見えた試合だったと思う。それを解決するのは私の仕事ではないがね」

 さて、最後に筆者がここまでどのように日本代表の試合を見たかを述べておこう。

 森保監督はチームにいい戦術を与えていた。それは明確で有効なものだった。しかし選手たちはそれを気にせず、どこか自分勝手にプレーしていたように見えた。それは彼らがヨーロッパでプレーしているからなのか、世代的なものなのかは私にはわからない。とにかく皆、自分の力を過信していて、個人主義がいきすぎていたように感じた。それが日本のプレーを弱らせていた。

 日本はグループとしてプレーする時に強さを発揮する。しかし、今回のように何人かの選手がイニチアチブをとってプレーする時、日本は選手をつないでいた目に見えない絆を失ってしまうように思う。

 グループリーグの日本を見て、私は少し失望した。あのすばらしいW杯のあとは、アジアのリーダーとして絶対的な強さを見せてくれることを期待していたからだ。今のままだと日本はこの大会の8位か9位のチームだ。優秀な選手はもちろんいるが、この代表のユニホームに値しない選手もいるような気がした。

 日本はグループリーグを通じて不安定なチームだった。おかげで日本よりずっと格下の3チームに手こずっていた。スペインやドイツに勝った日本が、ベトナムやインドネシアに苦しめられるのは異様だ。イラクにも3、4点差をつけて勝てるだけの力はあるはずだ。これは何かがうまくいっていない証拠だ。これからは一発勝負。確固たる強さを見せていかなければ、日本は家に帰ることになるだろう。

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