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前回からの続き。最近のお話です。私は会社員のミサト。夫は遠方に単身赴任しているため、なかなか帰ってこられません。そのため普段は小学6年生の息子(ヤマト)と2人暮らしです。ある日私は学校に呼び出され、ヤマトが教育実習生の女子学生に卑猥な言葉をかけていたとの報告を受けます。実習生は何度も性的な質問を浴びせられ、ショックで大学も休んでいるそうです。私は思ってもいなかった事態に動揺してしまいました。そしてこの出来事を理由に、友だちから「ヤマトのせいでお母さんに怒られた!」「ヤマトとは友だちやめる」と言われるヤマトを目撃することになったのです。
帰宅したヤマトはかつてないくらいに落ち込んでいました。自分の部屋にこもって出てきません。友だちに「ヤマトはダメなヤツだ。群れていないと強くない」と言われたことが何よりこたえたようでした。
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ヤマトに寂しい思いをさせてしまったのは私です。そのせいで実習生さんを傷つけることになってしまいました。後悔してもしきれません。
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「ヤマトも傷ついたと思うけど、きっと実習生さんもそのくらいショックを受けたんじゃないかな? 今のヤマト以上に傷ついたかもしれない」
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「謝らないといけないよね」ようやく謝罪の意思を口にしたヤマト。私は翌日、電話で担任の先生にたずねてみます。「実習生さんにヤマトの口から直接謝罪させることはできますか?」しかし先生は言いにくそうに話しました。「いや、それは早々に伝えたんですけど……。息子さんの顔を見るのもイヤで、もう二度と会いたくないそうです」せめて保護者の私から謝罪したいのでお会いできないかとお願いしても、ムリでした。
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「では手紙はどうでしょうか? 謝罪の手紙なら受け取ってもらえませんか?」「そうですね、受け取ってもらえるかはわかりませんが……」
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ヤマトは手紙を書きました。軽率な言動だった、反省している、その気持ちをつたない言葉でつづっていました。
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先生の方から大学を通して実習生さんに連絡してもらいましたが、「手紙は受け取れない」とだけ回答があったといいます。ヤマトが負わせてしまった傷はそれだけ深いということ。受け取ってもらえない事実がすべてなのでしょう。
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その後、ヤマトはこれまで通り学校に登校しています。ただ以前のようにお友だちに強くは出ていないと先生から聞いています。
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ヤマトは卑猥な言葉を浴びせてまで人の気を引くことで、自分のなかの寂しさを埋めていたのでしょうか。今回の件があるまで、私はヤマトの心の内にまったく気がつきませんでした。忙しさを理由に、どんどん反抗的になっていくヤマトとまともに向き合ってこなかったことをとても反省しています。今後はできる限りコミュニケーションを増やすよう心がけたいと思いました。ヤマトが傷つけてしまった学生さんには心のなかで深くお詫びしながら、夢をつぶしていないようにと願うばかりです。
【第5話】へ続く。
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