「40代では早く60代では遅い」50代からはじめる“新・断捨離”で不安やイライラを解消!

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2024年02月03日 08:00  週刊女性PRIME

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リビングと和室の仕切りを取り払い、3LDKを2LDKにリフォーム。「見せる収納」にこだわり、自然とモノの量を制限する仕組みに

 50代の働く女性は、多くの悩みを抱えやすい傾向にある。自身の年齢に伴う心身の不調、仕事で担う重要な役割、親の介護、子どもの成長に伴う金銭的な問題や家庭問題と、肉体的にも精神的にもそのストレスは計り知れない。

仕事の負担や家庭の問題。ストレス過剰な50代

 うつ病をはじめとする気分障害の患者は男性より女性に多く発症し、40代以降の患者数が多いという結果が出ている(2020年厚生労働省の調査)。心労は募るばかりだが、「悩みから解放され、人生が好転した」という50代の女性に話を聞くことができた。

「半ばストレス発散で買い物をしていました。子どももいないので、自分で稼いだお金で好きなものを買える状況で……」

 こう話すのは、キャリアを重ね、バリバリ働く義永直巳さん。40代、50代と年齢が上がるにつれて仕事のポジションも重くなっていき、忙しくなったという。毎日、仕事から帰るのは22時過ぎ。

「当時はモノの選別をせずに買っていて、使うことがなく放置されていたものも多かったんです」

 休みの日も、リフレッシュしたくて外に出ていくので、片付ける時間はなく、家はいつもごちゃごちゃだったと振り返る。

 パートナーや友達が家に来るときは、モノを収納に押し込んでごまかしていたが、そのうち収納スペースにモノが入り切らなくなり、何とかしなければと感じたものの、多忙な日々と心労でどうすることもできない。そんな状況で出会ったのが“断捨離”だ。

「2017年にある雑誌で断捨離提唱者のやましたひでこさんに家に来てもらえる企画を見つけたんです。背水の陣という思いで申し込んだら当たってしまいました。

 雑誌に自分の家が載るなんて、恥を晒すこと。でもそこまでしないと今の状況は変わらないだろう、と覚悟を決めました」

「押し入れを全部開けて」自信のなさを見破られた

 家を訪れたやましたさんに言われて衝撃的だったのが「直巳さんって自己肯定感が低いね」というひと言。

「仕事もリーダーを任されていて、自分なりにキャリアを積んできたと思っていましたが、確かにいまいち自信が持てず、ストレスで家が散らかる始末。部屋の状況を見て、それを一発で見抜かれてしまったんです」

 さらに、やましたさんに言われ、押し入れの襖(ふすま)を外すと、いろんなものがびっしり詰まった状態があらわに。

「やましたさんから『直巳さん、これどう思う?これがあなたの状態よ』と言われてひどいですね、と答えました。普段は襖をちょっとだけ開けて一部だけは見ていたけど……」

 自分がいかに多くのものを抱え込んでいたかに気づいた義永さんは、やましたさんのアドバイスを受けながら、45リットルのゴミ袋を80個、さらに袖を通していないブランドものの服も大量に手放した。

 これを機に、自分に必要なものを厳選して持つことや、必要のなくなったものを潔く手放す習慣がついたという。同時に心の不安からも解放されていったそうだ。

死別を乗り越えて「おひとりさま」暮らし

 現在、義永さんはひとり暮らしをしている。近年にプライベートで不幸が重なった。

「2020年には実の父、パートナー、その母を亡くしました。そのときはもちろん悲しかったのですが、感謝の気持ちがあふれ、いい形でお別れができました。

 モノとの向き合い方を学んだことで『モノも人も、いつかはさよならするもの』という意識が芽生えていたからこそ、大切な人の死を受け入れることができたと思います」

 3人の遺品整理をする中で、義永さんは「あの世にモノを持っていくことはできない」と実感し、さらにものを減らすため自宅のリフォームを敢行。容量を最小限にした「見せる収納」にすることで、自然とモノの量が減る仕組みを作った。

 かといってモノをただストイックに減らすわけではなく、趣味のフルートや「推し」にまつわるグッズなどを持つことは我慢せず。好みが変われば過去のものは潔く手放しながら、今必要なもの、好きなものだけに囲まれる生活を満喫している。

「住まいを見せることは自分を見せることで、『どこから見られても大丈夫』という自分への信頼感が増しました」

仕事場でも残業時間を大幅に短縮できるように

 50代は仕事での悩みも多いが、義永さんもまた同様。職場では部下に対しても言いたいことが言えない状況だったという。

 義永さんは自宅での断捨離経験を生かし、不要な 書類を整理したり、汚れていた水回りを掃除するなど、環境の改善に取り組んだ。

 日頃からモノを取捨選択するようになったことから、仕事でも選択決断が早くなったそう。自分に自信がつき、伝えるべきことははっきり言えるようになったという。

「前の部署で管理職を任されていたのですが、残業が多く職員は疲弊していました。電話対応などで、仕事が中断されることが多いと気づき、一切電話を取り次がない『集中タイム』を設けるなどさまざまな取り組みで、残業時間が半分になり、職場のチームワークも良くなりました。

 これも環境を改善することで集中できるようになったため」

 義永さんは、いずれ断捨離トレーナーとして独立を考えている。

「モノを片付けることが人生の課題を片付けることとなり、自分らしい人生を開くきっかけを多くの人に与えていければと」

 抱えているものを見直した先の60代、70代には、きっと終活という言葉もいらないほどの身軽で解放的な時間が待っている──。そう義永さんは明るく語った。

お話を伺ったのは……義永直巳さん●50代。京都市在住のひとり暮らし。自宅で月1回の「ダンシャベリ会」を開き、断捨離で人生を切り開きたい人を応援している。

取材・文/野中真規子

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