《前橋・知人刺殺》被害者は生活保護受給者の金銭トラブルに介入する“借金踏み倒し屋”、知人が語る裏側

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2024年02月05日 06:20  週刊女性PRIME

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事件のあった前橋市内のマンションと野本正義容疑者(本人のSNSより)

 事件はなぜ午前6時ごろ発生したのか。この素朴な疑問こそが、事件の解明に欠かせないカギを握る。

 その理由は後述するとして、まずは事件の流れを説明する。

「現場は群馬県前橋市下小出町の賃貸マンション。1月23日午前6時5分ごろ、住人の男から“知人男性を包丁で刺した”と犯行を認める110番通報があった。この男の部屋に警察官が駆け付けると、腹部から血を流して倒れ、意識のない男性を発見。市内の病院に心肺停止状態で救急搬送されたが、約2時間後に死亡が確認された。県警は室内から凶器とみられる刃渡り約20センチの包丁を押収し、男を殺人未遂容疑で現行犯逮捕。その後、容疑を殺人に切り替えて捜査を進めている」(全国紙社会部記者、以下同)

 逮捕されたのは住人の無職・野本正義容疑者(64)。亡くなったのは現場から数百メートルの集合住宅に住む職業不詳・西元忠二さん(69)で、胸や腹など複数か所に刺し傷があった。司法解剖の結果、死因は出血性ショックと判明した。

「野本容疑者は警察の取り調べに対し、刺した事実を認めながら“殺そうとしたわけではありません”と容疑を一部否認している。ふたりは知人関係にあり、野本容疑者の手にも切り傷があったため、犯行直前に何らかのトラブルが発生した可能性がある」

 野本容疑者はSNSで、眉間にシワを寄せた顔写真を投稿している。どこか人を寄せ付けない雰囲気を漂わせるが、同じマンションの男性住人は苦笑いしながら話す。

容疑者は「腰が低く接しやすい人」

「この写真の表情はたしかに硬いと思いますが、むしろ腰が低く接しやすい人ですよ。駐輪場でばったり会ったときに挨拶すると、気さくな感じで“×××号室の野本です。こちらこそよろしくお願いします”と丁重に対応してくれました。悪い印象は全くなかったので事件には驚いています」(男性住人)

 複数の住人らによると、野本容疑者が引っ越してきたのは約1年前。築十数年のワンルームマンションで家賃月3万数千〜4万円台と安価なのが魅力で、野本容疑者はひとり暮らし。目立つトラブルは一度もなかったという。

「いまは無職だが、つい最近まで介護ヘルパーの仕事をしていた。要支援者の排泄介助をやりたがらない人がいる中、野本容疑者は見かねて“なんだ、ケツを拭けねえのか”と言葉こそ乱暴ながら率先して手を貸した。心根はやさしい人なんだなと思った」(容疑者の知人男性)

 さて、事件はなぜ午前6時という早朝に発生したのか。

 被害者周辺に詳しい地元サービス業の元社長(67)は「西元さんは深夜や早朝、いきなり他人宅に乗り込むトラブルを何度か起こしているんです」と前置きして語る。

「50代男性Aさんを“舎弟にした”と公言し、Aさんと金銭のやり取りがあった複数の地元住民に接触してきました。私もそのひとりなんです。昨年11月、Aさんの携帯を使って、面識のなかった西元さんが突然電話してきて“Aはオレの舎弟にしたから今後いっさい近づくな”と言うんです。暴力団の名前を出して最高顧問を名乗りました。本当かどうか確認しようがありませんが」(元社長)

 元社長によると、後輩にあたるAさんに3万円貸して毎月1000円ずつなど少額返済を受け残高1万数千円になったときに電話がかかってきた。金額の問題ではなく、そのやり方と一方的な言い分が不快だったという。

「頼まれて貸した金を返してもらっているだけなのに、西元さんは“おまえAから金せびっとるらしいな”と言いがかりをつけるんです。まったく話が通じず、もう面倒臭くなりましたが、西元さんが“一度会おうや”というので“いいですよ”と了承しました。ところが、西元さんはいっこうに会う日時と場所を決めようとしない。最初から会うつもりなどなかったのでしょう」(元社長)

被害者は自称“暴力団”、言いがかりをつけて…

 西元さんとは何者なのか。

 いぶかしむ元社長のもとに、複数の知人から西元さん絡みのトラブル相談が寄せられた。生活保護受給者や生活困窮者らに似たような言いがかりをつけ、さらに深夜や早朝を狙って自宅のインターホンを押して乗り込もうとするなど、より悪質な迷惑行為を繰り返していることがわかったという。

 刺殺事件の約1週間前にあたる1月17日深夜、西元さんによるアポなし自宅訪問を受けた60代男性はこう振り返る。

「西元さんはオートロック式集合住宅のエントランスのインターホンを鳴らし、顔を近づけて睨みつけるような目つきで“おい、おい”と恫喝するんです。何をされるかわからず、乗り込まれたくなかったので警察に通報しました。私はAさんに5000円を貸していました。インフルエンザの予防接種代を貸してほしいというので応じましたが、西元さんはその返済をめぐって“Aを恐喝しているだろ”と言ってきました」(同男性)

 西元さんが訪問してきた際のインターホンの録画映像を確認させてもらうと、エントランスの消火器を持ち上げるなど威嚇ともとれる行為があった。黒いハットに黒い皮コートを羽織りマフィアのようないでたち。酒に酔っているのか足元がおぼつかず、壁にぶつかるシーンもあった。

 この男性は、生活保護を受けており、限られた金額で生活をやりくりする中で「困ったときはお互いさま」と金を貸したという。

「殺すぞ」「表に出ろ」

 西元さんをめぐっては、他人の首に刃物を突きつけたり暴力を振るう場面を目撃した人物がいるほか、“元組長”と呼ぶ人もいるそう。Aさんと連れ立って早朝に別の知人宅に押しかけ、室内に乗り込んで「ビール買ってこい」とその知人をパシリのように使うこともあったという。

 そして刺殺事件当日の朝。西元さんはまたもAさんと連れ立って現場マンションを訪ねた。オートロック式のエントランスのドアを開けさせるためインターホンを押した部屋番号は、野本容疑者とは別の知人関係にある住人だった。

「午前4〜5時ごろだったと思います。こんな非常識な時間に……と思いましたが、怖くて無視もできないので開けました。ところが、いくら待っても私の部屋には来ないんです。事件があったのはそのあとのことです」(同住人)

 地元関係者によると、野本容疑者と西元さんは同じ社会福祉法人から支援を受けていたことがあり、ささいなことで西元さんが「殺すぞ」と迫り、野本容疑者が「表に出ろ」と返す口論があった。結局、西元さんは表には出なかったというが、ケンカの原因はわからないという。

 前出・元社長は付け加える。

「死者に鞭打つようで気がひけますが、西元さんの早朝ピンポンに恐怖感を抱いた地元住民は少なくありません。いつかこんなことになるんじゃないかと危惧していました。一部報道で西元さんについて“やさしい人”と証言した人がいたため、いい人だったというイメージを持つ人がいるようですが、とんでもない話です。

 生活保護受給者らの金銭トラブルに介入する“借金踏み倒し屋”をしていたといえるでしょう。私は野本容疑者と面識はありませんし、かばうつもりはありません。いかなる理由があったにせよ犯罪行為が認められないのは重々承知していますが、真実を知ってもらいたいと思っています」(元社長)

 早朝ピンポンのあと、何が起こったのか。住人によると、犯行のあった時間帯、容疑者の部屋からドタバタと大きな音が聞こえてきたという。

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