「りくりゅう」三浦璃来・木原龍一「ああ、戻ってきたんだな」 急仕上げの復帰戦で見えた世界選手権連覇への光明

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2024年02月05日 17:41  webスポルティーバ

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 中国・上海で開催されたフィギュアスケート四大陸選手権。2月1日、3日のペアでは、前回大会を208.24点で日本人ペア初の優勝を果たした三浦璃来と木原龍一が登場。今回は、ディアナ・ステラート デュデク/マキシム・デシャン組(カナダ)に8点以上の得点差をつけられる190.77点の2位で連覇を逃した。だが、ふたりの表情に曇りはなかった。

【急仕上げで挑んだ復帰戦】

 三浦は「今回の試合は、準備期間がすごく短かったんですけど、そのなかでもケガなく終われて本当によかったと思っています」と安堵した。

 新プログラムで挑んだ9月のオータムクラシックは、ショートプログラム(SP)とフリーともにふたりの強みでもあるジャンプで転倒のミスがあり、188.05点で2位という不本意なスタートになっていた。その後は、木原の腰椎分離症が発覚し、グランプリ(GP)シリーズや全日本選手権を欠場していた。

 ふたりにとって今回の四大陸選手権は約4カ月ぶりの復帰戦となった。「12月末に四大陸を目指そうとチームで話をし、1月の2週目にようやくペアの技の練習ができるようになった。2週間前からやっとショートの通し練習、先週になって初めてフリーの通し練習ができた」(木原)という、急仕上げの状況での挑戦だった。

「試合に出るレベルまでになったと確信して四大陸出場を決断した」と話すふたり。

 大会前に木原は「腰はもう100%完治したかなという感じです。練習ではまだ技の回数制限はあるけど、痛み自体はもうほとんどなくなってきていて練習もできているので、非常にいい状態かなと思います」と説明。三浦は「離脱した期間が長かったので高望みはせず、自分たちが練習をやってきたことを出せるように頑張りたいと思います」と話していた。

 復帰の舞台となるSPで目標にしたのは、オータムクラシックの59.13点を上回る65点だった。自己最高の80.72点や、北京五輪シーズンから出し続けていた70点台と比べれば低いが、3月の世界選手権へ向かうための第一歩として設定した数字だった。

【ジャンプミスにレベルとりこぼしが課題】

「ああ、戻ってきたんだな」。スタートポジションに立った時にそう感じたと三浦が話すSP。3回転トーループで三浦のジャンプが2回転になってしまい、スロー3回転ルッツでも着氷を乱すミスは出たもののスピードのある滑りで、後半は試合に戻ってきた喜びに笑みもこぼれた。結果は、目標をクリアする65.61点の2位発進だった。

 2日後のフリーでもミスが出る演技になった。最初のトリプルツイストはSPより上げてレベル3にしたが、次の3回転トーループからの3連続ジャンプは、三浦の最初のジャンプが2回転になり、次のダブルアクセルもシングルになった。そのあとの3回転サルコウは木原が4分の1の回転不足で右手をつく着氷だった。

 SPでミスをしたスロー3回転ルッツはきれいに決めて流れに乗ったように見えたが、終盤のスロー3回転ループは転倒。だが演技自体は滑らかでスピード感があり、息も合った演技だった。それでも合計8.03点及ばず、オータムクラシックでも敗れたデュデク/デシャン組が優勝を決めた。

 演技後の会見で木原は「本当にフリーがきつかった。練習でもあまりにもきつかったので、コーチから冗談で『きつかったらペアスピンのところで休憩していいよ』と言われたりして。試合の途中で止まろうかと思いました」と話し、笑わせた。

 今回の試合は、ふたりにとって現状の自分たちの演技をジャッジがどう判断するかを確かめる意味もあった。だからこそ、合計200点に届かない2位の結果でも、穏やかな表情を保てていた。

【世界選手権連覇の条件】

 3月の世界選手権へ向け、三浦は「レベルのとりこぼしが本当に多かったので、そこを見直して、世界選手権に向けていい練習を積み重ねていけたらなと思います」と話した。

 事実、今回はジャンプのミスが目立ったが、各要素のレベルもとりこぼしていた。合計で自己最高の224.16点を出した昨季の世界国別対抗戦と比較すれば、SPでレベル3だったトリプルツイストが2になっただけでなく、他のすべての要素がレベル4だったのが、コンビネーションスピンとデススパイラルは今回レベル3。フリーでも、レベル4だった3種類のリフトとペアコンビネーションスピンは3で、3だったデススパイラルは2ととりこぼした。それらを確認できたことは次の試合に向けては大きい。

 ミスをしたジャンプについては、これからじっくりと通し練習を繰り返していけば自信を持って跳べる武器にできる。さらに、レベルのとりこぼしをしっかり解消していけば、昨シーズンに近い得点は獲得できるようになるだろう。

 そのうえで、次の世界選手権を考えれば、昨季2位だったアレクサ・クニエリム/ブランドン・フレイジャー組(アメリカ)が今季は出場しないなか、ライバルになるのは、デュデク/デシャン組だろう。彼らは今季、GPシリーズ・スケートカナダで214.64点の自己ベストを出しているが、GPファイナルはミスがあり204.30点、今回の四大陸選手権は198点台と波がある。

 また、GPファイナル優勝のミネルバ・ファビアン・ハーゼ/ニキータ・ヴォロディン組(ドイツ)は自己最高が206.43点で、2位のサラ・コンティ/ニッコロ・マチー組(イタリア)は昨季の世界選手権3位だが、その時の208.08点が最高だ。

 三浦と木原は本格的な練習に取り組める状態になっただけに、ここからしっかり調整していけば210点台は確実に出せるようになるはずだ。そうすれば、世界選手権では連覇を狙った戦いも十分にできる。ふたりはその足がかりを四大陸選手権で確認した。

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