【漫画】好きな場所に連れて行く『異次元おじさん』ーーキャッチーなタイトルとは裏腹に背筋が凍るSNS漫画

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2024年02月16日 08:30  リアルサウンド

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『異次元おじさん』より

 「ホラー漫画」と一口に言っても、怖さのベクトルは千差万別だ。1月下旬、Xに投稿された『異次元おじさん』は、そのキャッチーなタイトルとは裏腹に、背筋がヒヤリとする都市伝説的な恐ろしさと、終盤に明かされる事実に思わず息を呑んでしまう作品だ。


(参考:『異次元おじさん』を読む


 友達のみずきの飼い犬がいなくなってしまい、一緒に探すことになったカズキ。なかなか見つからず悪戦苦闘する中、カズキは好きなところに連れて行ってくれるという謎の存在「異次元おじさん」を呼び出すことを提案する。みずきはあまり乗り気ではなかったが、カズキは異次元おじさんを呼び出すことに成功して、2人は次元の歪みに足を踏み入れていくが――。


 本作を手掛けたのは、月刊連載を抱えながら会社員として働いており、現在はダブルワークというかたちで漫画制作に取り組んでいる北原順一さん( @nKixNZN3mpD5tkG)。クオリティの高い作話&作画で恐怖心をかきたてる本作について、じっくり話を聞いた。(望月悠木)


■2年前に封印した作品


――『異次元おじさん』を制作した当時の状況を教えてください。


北原:2年前に漫画賞に応募するための読切作品として制作しましたのですが、応募前に見ていただいた人から酷評を受けたため、表に出さずに封印していました。時間をおいて当時の原稿を読み直したところ「そんなに酷くないのではないか」と思って加筆して、今回SNSにアップした感じです。


――“異次元おじさん”という謎の登場人物をメインに据えた背景は?


北原:「“異世界モノ”という流行りに自分なりのアプローチはできないか」と思っていました。しかし、アプローチは失敗したため、“異次元”というキーワードで漫画の発想を広げたところ、こんな感じのストーリーになりました。


――瘦せこけた人間のようなビジュアルでしたが、“異次元おじさん”はどのように作り上げましたか?


北原:当時たまたま遊びに行った温泉地に古いトンネルがあり、そこを通り抜ける際に「こんな人物が飛び出してきたら怖いだろうなぁ」という漠然とした恐怖のイメージから生まれました。


2ページ目で読者のハートを掴みたい


――鬼気迫った表情を見せたり、どこかコミカルなギャグっぽい表情を見せたりなど、いろいろな表情を見せるカズキとみさきが魅力的でした。


北原:実は当初はキャラの表情などは今以上にオーバーリアクションでした。しかし、「稚拙に見えると良くない」と感じたため、表情を抑えめに調整しています。一度オーバーにしてから抑えるという方法が上手くハマったのかもしれません。


――作画ですと、異次元空間からおじさんが顔を出すシーンもインパクトがありました。


北原:もともと「異次元おじさん」という言葉が先行して制作しようと思ったため、「異次元である以上は次元の壁を越えて現れる必要がある」と思い、次元を割る演出になりました。また、「2ページ目で読者のハートを掴みたい」と思ったので、インパクト重視の登場シーンにしています。


――時空の歪みの影響でカズキは閉じ込められてしまい、さらには子供時代の自分自身と対面する、という展開にはゾッとさせられました。


北原:少ない登場人物の中で“異次元おじさん”という異質な存在に理由をつける必要性があったため、自ずとカズキくんを異次元おじさんにすることを決めました。加えて、私自身の「幼い時の後悔や悲しみは大人になってからも忘れないものである」という考えが、異次元おじさんというキャラクターを誕生させた背景にあります。その考えもラストを描くうえで影響したのかもしれません。


――最後に今後はどのような作品を創り出していきたいですか?


北原:現在まで描いた漫画のほとんどがホラー風味なので、ホラー以外の明るい話にも挑戦したいと思っています。しかし、新作のために描いているプロットやネームはホラーなので自身の業を強く感じています。これから私の作品を読んでくださる読者さんに楽しい時間を提供できるよう、研鑽を重ねていきますので応援のほどよろしくお願いします。


(取材・文=望月悠木)


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  • 思考が異次元なおじさんなら今国のトップになって日本国民を恐怖に陥れていますけどね?(笑)
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