俳優の昆夏美が20日、都内で行われた東宝ミュージカル『この世界の片隅に』(5月9日上演)の製作発表記者会見に出席し、大原櫻子とWキャストで挑む主人公・浦野すず役に意気込みを語った。
【集合ショット】昆夏美、大原櫻子らが華やか衣装で登場 こうの史代氏の同名漫画を原作とする本作は、太平洋戦争下の広島・呉市に生きる人々の物語でありながら、つつましくも美しい日々とそこで暮らす人々が淡々と丁寧に描かれ、それゆえにいっそう生きることの美しさが胸に迫る作品。2度にわたるアニメーション映画化、実写ドラマ化もされた不朽の物語を、ミュージカルとして新たに伝える。日生劇場での開幕後に全国ツアーを展開し、作中の舞台である広島・呉市の呉信用金庫ホールで大千穐楽を迎える。
昆は「これまでさまざまな形で皆様に届けられてきた作品ですが、今回が初のミュージカル化ということで、どんな新しい、素敵な化学反応が生まれるのかなと期待しています」と喜び、「いろいろな方から『原作が好き』という話を聞いていて、出演するという情報が出てからは『楽しみにしているよ』と言っていただけました。原作がもともと好きな方たちの期待にも添えるように、みんなでいい作品を作っていけたらなと思います」と意気込んだ。
すずというキャラクターについては「不器用で、でも温かくてかわいらしい人」という第一印象だったと言い、「作品の中で『お前は普通の人じゃん』と言われるセリフがあるんですが、普通って何なんだろうかとずっと考えていて…。演じる中でその答えを見つけられたらと思いますし、すずさんがその一瞬一瞬を素直に感じていたんだということを、けいこでもっと深く理解できたらいいなって思います」と力を込めた。
オファー時は「素直にうれしかったのと同時に、少し意外だった」という。昆はこれまでに『ハムレット』のオフィーリア役、『レ・ミゼラブル』のエポニーヌ役、ミュージカル『アダムス・ファミリー』のウェンズデー役、『ミス・サイゴン』のキム役などに抜てきされてきたが、「今回のお話をいただいて、日本人役をあんまりやったことがないなって気づいたんです(笑)」と意外だと感じた理由を明かしつつ、「日本の歴史を描く作品を、日本人の感性で作ることできる。それを非常に楽しみにしています」と目を輝かせた。
最後に「戦争の話ではありますが、その中で生きた人々の暮らしに焦点を絞った作品だと感じています。悲しくて辛いことですけど、戦争が当たり前になってしまっていた中での、人とのつながりやささやかな幸せを丁寧に繊細に描かれた作品なので、どうか皆様の心にまっすぐ届けばいいなと思っております。どうぞ劇場に足をお運びください」と呼びかけた。
会見には昆と大原のほか、すずが嫁ぐ北條周作役の海宝直人と村井良大、すずと周作と三角関係になる白木リン役の平野綾と桜井玲香、周作の姉・黒村径子役の音月桂、脚本・演出を務める上田一豪氏が登壇し、出演への意気込みや自身の役どころについて語った。