「Xシリーズの哲学を具現化した」──6代目高級コンデジ、富士フイルム「X100VI」の進化したポイント

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2024年02月21日 21:31  ITmedia NEWS

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X Summitで発表された「X100VI」。前モデルの「X100V」と見た目はほぼ変わらない

 年に数回開催される富士フイルムのグローバルなイベント……ほぼ新製品発表会なのだけど、それが「X Summit」。毎回異なった都市が舞台となり、時にはそこで作成した映像だったり、生中継だったり、リアルタイムのステージだったりする。


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 2023年は、春の「X Summit BKK(バンコク)」で「X-S20」が、秋の「X Summit STHLM(ストックホルム)」で「GFX100 II」が発表された。


 そして今年最初のX Summitの舞台は東京。六本木にある「東京ミッドタウンホール」で世界中のメディア関係者などを招待してステージで開催したのである。


 グローバルなイベントなので、日本のメディアは全体の5分の1以下。プレゼンテーションもすべて英語である。


●今回の新製品はX100VIなのだった


 そんな今回のX Summitで発表されたのは「Xシリーズの哲学を具現化し、その象徴ともいえる商品です」(富士フイルムの後藤禎一CEO)という「X100VI」。最初にXの名を冠したX100の最新モデルだ。


 APS-Cサイズセンサーを搭載し、23mm(35mm判換算で35mm相当)F2.0の単焦点レンズを搭載したコンパクトカメラ。


 初代X100が2011年発売なので、13年間続いたシリーズ。一貫してAPS-Cサイズセンサーと35mm相当の単焦点レンズを採用している。


 操作系もフィルム時代のマニュアルカメラを彷彿とさせるもので、露出補正・シャッタースピード・ISO感度、絞りすべてに独立したダイヤルを搭載しているのが特徴だ。


 ファインダーは、光学ファインダーと電子ファインダーとエレクトロニックレンジファインダー(光学ファインダーの右下にEVFを重ねたもの)の3種類。レンズの左上にあるレバーで切り替える。


 このあたりがX100シリーズの伝統といっていい。


 そして今回強化されたのが3点。


 一つはイメージセンサー。X-T5と同等の4020万画素の「X-Trans CMOS 5 HR」センサーを搭載。画像処理エンジンも第5世代の新しいものになった。


 2番目はシリーズ初のボディ内手ブレ補正搭載。


 3番目はAF。


 X-T5などと同様、被写体検出AFを搭載。被写体追従などAF回りが最新の技術に進化した。X100Vをベースに、既発売のXシリーズの技術を取り入れた最新のスナップカメラといっていいだろう。


 フィルムシミュレーションも「REALA ACE」が追加されている。


 動画も6.2K/30Pに対応した。


 少し触ってみたが、手にした感触は従来通り。動作が軽快で、AF回りの強化がスナップにありがたい。


 日本での発売は2024年3月下旬の予定だ。前モデルのX100Vが入手困難な現在、欲しい人はもうちょっと待つべし……ただし、日本での販売価格は円安もあいまってかなり上がってしまった(店頭では税別25万6000円前後になる見込み)。


●既存モデルのファームウェアアップデートも発表


 X100VIの後、3つの発表があった。


 一つはXFマウントのレンズ。長く標準ズームレンズとして使われていた「XF18-55mmF2.8-4 R LM OIS」に代わり、「XF 16-50mm F2.8-4.8」を開発発表。


 少し広角側に寄った設計で望遠端が少し暗くなった。


 こちらはシルエットのみで詳細はなし。


 2番目はスマホ用アプリ「XApp」のアップデート。新しく機材ページやバックグラウンドでのファームウェアアップデート機能が追加される予定だ。


 3番目は従来機種のファームウェアアップデート。


 昨秋のGFX100 IIや今回のX100VIに搭載された新機能が、現行モデルであるX-H2/H2S/T5/S20にファームウェアアップデートで提供される。


 被写体検出や動体追従の強化、新しいフィルムシミュレーション「REALA ACE」の追加、動画時のタッチトラッキングAF機能の追加などだ。


●富士フイルム90周年記念モデルも


 そしてイベントを終了したふりをしつつ、画面に現れたのが「One More Thing」の文字。


 今年で富士フイルムの創業から90周年を迎える。


 そして登場するのが、90周年記念モデルの「X100VI Limited Edition」。


 創業年の1934年に合わせた1934台限定でシリアルナンバーが入り、創業時のロゴが入ったボディとレンズキャップ、ソフトレリーズ、富士フイルムのヒストリーカードなどがセットになっている。


 これらの新製品を2月20日に日本で発表したのは、2月22日からはじまる「cp+ 2024」をにらんだものだろう。海外からの取材陣にとってもcp+取材も兼ねられるので非常に都合がよい。実物を触って確かめたい人は、ぜひパシフィコ横浜で開催される「cp+ 2024」へ。


 今回の新製品はX100VIのみだったが、このクラシカルである意味分かりやすい操作系、光学と電子のハイブリッドなファインダー、そして高画質でスナップに強いハイエンドコンパクト機の伝統が途切れなかったのは朗報だ。悲報は円安もあいまって日本での発売価格が上がることか。


 なお、今年中にシドニーでX Summitを開催することも発表された。そちらで発表される新製品も楽しみである。


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