小型軽量レンズの時代がキター! 「CP+2024」でみえたデジカメ最新動向

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2024年02月23日 14:51  ITmedia NEWS

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「CP+2024」

 小雨が舞う寒い中、パシフィコ横浜(神奈川県横浜市)で「CP+2024」が開幕した。


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 かつてのようにCP+に合わせてカメラの新製品が出るということはほぼなくなり、今回も2日前に富士フイルムが「X100VI」を大々的に発表したくらいだった。


 じゃあ見どころはそれだけ? というとさにあらず。


 カメラは本体だけで完結するものじゃないのだ。注目したいのは「交換レンズ」。


 実際、CP+の1日前にシグマが2本のレンズを、開催当日の朝には、パナソニックとソニーが新レンズを発表したのである。


 当日朝ってのがすごいよね。


 これらのレンズはどれも異なった焦点距離なのだけど、共通する点が1つある。スペックに対して非常に小型軽量であることだ。


 各社がどっとフルサイズミラーレス一眼に本腰を入れて数年。まずはプロやハイアマチュアに向けて、クオリティー最優先でレンズをそろえてきた。だから一眼レフからミラーレス一眼に主戦場が変わってもハイエンドなレンズは大きく重く、「そこまで小さく軽くなってないじゃん?」という印象を持った人もいた。


 でも、主力のハイエンドレンズたちが一段落したことで、次の流れがきてるのである。そんな視点でCP+に登場した新レンズをチェックしたい


●ソニーの24-50mmは予想以上に軽かった


 ソニーといえば、発売されて間もない「α9III」が一番の注目なのだけど、展示はα9III推しというより「高速AF推し」。α9 IIIは異次元のAF性能だけど、他モデルもレベル高いからね。


 そんな中、何気なく置かれていた「FE 24-50mm F2.8G」。見ての通り、α7シリーズで一番小さい「α7C II」に装着してまったく違和感のないコンパクトさなのだ。


 手にしてみるとものすごく軽い。約440gなのでα7C IIに装着すると余裕で1kgを切るのだ。しかもズーム全域でF2.8であるハイエンドの標準ズームレンズといっていい「FE 24-70mm F2.8 GM II」は695gなので200g以上軽いのだ。


 倍率こそ高くないし、お値段は市場想定価格18万円(オープンプライス)と安くはないし、発売も5月17日とちょっと先だけど、常用レンズにしたくなる。


 小型軽量といえば、α9 IIIと一緒に発表された「FE 300mm F2.8 GM OSS」も軽量化がアピールされていた。


 これも新しい小型軽量望遠レンズなので注目したい。


●手にして分かるそのすごさ パナソニックの超軽い2本のレンズ


 発表したてホヤホヤだぜレンズの第2弾はパナソニック。


 会場にはしれっと置いてあったこのレンズは28-200mm高倍率ながら約413g。これもまた手にした瞬間、「なにこれ軽い!」とつぶやいてしまったのだ。沈胴したときは約93.4mmとコンパクトでとても高倍率ズームには見えないのである。「LUMIX S 28-200 mm F4-7.1 MACRO O.I.S.」だ。


 最近の高倍率ズームが24mmスタートなのに対して28mmスタートであること、さらに望遠端の開放F値がF7.1と暗い、という特徴はあるのだが、日常的に使える常用ズームレンズとして出色の出来か。ちなみに、最大撮影倍率0.5xというハーフマクロ機能もいい。発売は4月下旬。


 そしてもう1本。


 こちらは2月発売の新製品「LUMIX S 100mm F2.8 MACRO」である。100mmの単焦点マクロレンズなのだけど、これがまた常識外れに小さくて軽いのだ。スペックから予想する何倍も軽く感じる。


 小さくて短いマクロレンズとなると、マクロ撮影時は鏡胴がぐぐっと伸びるんじゃないかと思われるかもしれないが(過去、そういうレンズもあった)、全長は固定。このサイズで約298gの超軽量。世界最小軽量中望遠マクロレンズってのはダテじゃない。


 その場で試してみたけど、マクロ距離でもAFは速くて快適。手にして分かる、そのすごさって感じだ。


●シグマは手持ちで撮れる500mm!


 そして、CP+前日に発表されたのがシグマの2本のレンズ。1本は15mmの対角魚眼でF1.4という驚異的なスペックの「15mm F1.4 DG DN DIAGONAL FISHEYE | Art」で、主に星景撮影に向けて開発されたそうな。


 そういうレンズなので、小さくも軽くもない。


 注目はもう1本の「500mm F5.6 DG DN OS | Sports」だ。500mmでF5.6という超望遠ながら、重さは1370g。500mmってことを考えるとすごく軽くてコンパクトなのだ。


 ぱっと見は前方が太くて大きいけど、これは先端のレンズ径が大きいこととそれにともなってフードも太いため。


 鏡胴部分は細くて構えやすいし、何より軽い。


 手持ちで撮れる500mmである。Webサイトには「ハンディサイズの500mm」とある。対応マウントはLマウントとそソニーのEマウント。


●他社の新レンズも


 他のブランドもチェック。


 タムロンは23年10月に発売となった「17-50mm F/4 Di III VXD」に注目。これ、超広角からのズームレンズで開放F値はF4.0通しながら約460gと軽量でコンパクト。ソニーのEマウント用だ。


 小型軽量をアピールするレンズはたいていα7C IIに装着していた。小型ボディに似合うレンズなのだ。他にも同シリーズの小型軽量ズームレンズあり。


 OM SYSTEMは、「OM-1 Mark II」とともに発表した「M.ZUIKO DIGITAL ED 150-600mm F5.0-6.3 IS」。


 35mm判換算で300-1200mm相当の超望遠で重さは2065gと約2kg。手ブレ補正も優秀なので、手持ちで撮れる超望遠である。


 同時に、ミラーレス一眼初期からの小型超広角ズームの「9-18mm」もリニューアルされたが、光学系は従来と変わらないそうだ。


 小型軽量でユニークなレンズといえばケンコー・トキナーのミラーレンズ。1年前に出たレンズだけれども、300mm F7.1でこの小ささ。


 他に600mmと900mmがある。昔からある反射光学系を使った小型レンズだが(絞りは固定でマニュアルフォーカス)、それにしてもこの小ささ軽さはインパクトがある。APS-Cサイズセンサー用なので、35mm判換算だとそれぞれ450mm相当、900mm相当、1350mm相当になる。


●小型軽量レンズの時代が来たのだ


 あ、ニコンとキヤノンについて触れてなかった。


 どちらも小型軽量新型レンズって意味では特に特筆すべき新レンズはなかったのだけど、ニコンが23年秋に発売した「Plena」は一見の価値有り。


 「NIKKOR Z 135mm f/1.8 S Plena」は中望遠のポートレートレンズで、専用のコーナーを設けてそのボケの美しさを体験できるようになっていた。自分の記録メディアを入れて撮影した写真の持ち帰りも可能なので、ぜひ味わいたい。


 キヤノンはVRや3Dに注目。


 参考出品されていた、APS-C用の3D撮影用のレンズはなかなか面白そうだった。


 ブースでは、同社のデュアルピクセルCMOSセンサーが持つ、全ピクセルが距離情報を持っているという特性を生かした3D撮影体験コーナーを設けていた。


 実際に作成した3Dデータをもとにした動画を作成して送って貰える。


 と、CP+で注目の小型軽量レンズを中心に取り上げてみた。


 高性能なレンズが一段落して小型軽量レンズの流れが来てるのは、スナップ撮影が好きな人、荷物を軽くしたい人にすごく朗報なので注目したい。


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