堂安律、EL16強進出を決める大逆転勝利に貢献 日本代表の時より弾けている

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2024年02月24日 09:31  webスポルティーバ

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 チャンピオンズリーグ(CL)のグループリーグ3位チームとヨーロッパリーグ(EL)のグループリーグ2位チームが、ELのベスト16入りを懸けて対戦するプレーオフ。全8試合の結果から言うと、CL3位勢が3チーム、EL2位勢が5チーム勝ち残った。格下であるはずのEL2位勢の健闘が目立った。

 日本人が所属するクラブで勝ち上がったのは、フライブルク(堂安律)とスポルティング(守田英正)。ELのグループリーグで1位抜けしているリバプール(遠藤航)、ブライトン(三笘薫)とともに、決勝トーナメント1回戦に臨む。上田綺世所属のフェイエノールト(CL3位)は、ローマ(EL2位)相手に延長、PK戦に及んだものの、そこで運なく散った。

 ローマ対フェイエノールト戦。上田は、開始5分に先制弾を決めたエース、サンティアゴ・ヒメネス(メキシコ代表)と交代で後半33分からピッチに立った。1週間前に行われた初戦では先発出場。週末のオランダリーグRKC戦では後半頭から出場している。ここにきて出場時間は増加傾向にある。

 アルネ・スロット監督の期待値は少しずつ高まっている様子だ。いまが活躍時であることは確かだが、それに応える活躍ができているかと言えば、難しい問題だ。出場時間が限られているとはいえ、今季挙げたゴールがわずか1得点とは寂しい限りである。

 何よりボールに触る機会が少ない。ローマ戦でも、第1戦、第2戦ともに、出場時間の割にパスワークに絡めなかった。先述のように試合はヒメネスのゴールでフェイエノールトが先制。同点にしたホームのローマがその後、試合を優勢に進めたが、徐々にフェイエノールトに流れが移り、延長戦ではむしろ優勢に見えたほどだ。ストライカーにはストライカーらしい役割が求められていた。

 この大舞台で1本決めていれば、サッカー選手として一皮剥けていたはずである。ただ、そうはならなかった。それでも、初戦もそうだったが、上田はFKのチャンスを掴めばキッカーを任せられ、PK戦ではフェイエノールトの一番手として登場した。助走に細かいステップを交えながら左に決めたそのPK弾は、チームメイトやファンを安心させるプラスアルファの効果を秘めていた。

 すでに25歳ながら、フェイエノールトで大切に育ててもらっている。ローマ戦を見ての上田に対する率直な印象だ。

【縦に抜けるプレーを披露】

 堂安所属のフライブルクは延長戦の末に3−2でランスを逆転。ベスト16入りを決めた。

 ランスで行なわれた初戦は0−0だった。5バックで引いて構えるランスを崩すにはサイド攻撃が有効だ。堂安のウイングプレーが勝負のカギを握る、と試合前にプレビュー記事を書いているが、通常オーソドックスな4バック(4−2−3−1)で構えることが多いフライブルクも、この初戦には5バックで臨んできた。

 5バック対5バック。初戦はまさに、"抜け"の悪い守り合いとなった。だが、右のウイングバックとして出場した堂安は、そうしたなかでも縦に抜けるウイングプレーを2度ほど披露。日本代表ではひたすら内に入り込む、籠もるようなプレーを見せる堂安だが、ランスとの初戦では低い位置でも弾ける感じのプレーができていた。第三者にとっては観戦が苦行になりそうな試合展開とは裏腹に、堂安に限っては意気込みを感じさせるポジティブな姿勢が見てとれた。

 迎えた折り返しの第2戦でも、5バック対5バックは変わらず。試合内容も同様に低調だったが、試合は前半から動いた。2点を先取したランスの勝利は堅いように見えた。

「2−0というスコアは相手に1点入った瞬間、危険になる。安全圏とは言えない」とは、テレビ解説者の常套句だ。しかし、実際そうなったことがどれほどあるか。視聴を継続してほしいためのこじつけかと、突っ込みたくなることしばしだが、このフライブルク対ランスの第2戦は、まさにその指摘にうなずかなければならない試合となった。

 ランスは目の前に勝利がちらついたのだろう。後半に入るとペースを乱した。試合は2点ビアインドのフライブルクに傾いていく。

 後半22分。そこに登場したのが堂安だった。フリーキッカーとしてゴール左サイドにボールをセット。鋭い左足キックを蹴り込むと、その2つ先のプレーでゴールが決まった。ローランド・シャーライ(ハンガリー代表)が蹴り込み、1点差とした。

 試合は後半の追加タイムに突入。時は92分だった。最終ラインからのロングフィードをマティアス・ギンター(ドイツ代表)、シャーライ、ミヒャエル・グレゴリッツ(オーストリア代表)とつないだボールが堂安の前にこぼれてきた。その左足シュートは相手DFを直撃したが、跳ね返りを再びシャーライが押し込み、フライブルクはまさに土壇場で同点に追いついたのだった。

【守田英正の立場が気になる】

 逆転弾が生まれたのは延長前半9分。ゴールキックから3つ目のプレーでグレゴリッツが決め、決勝ゴールとした。堂安はフル出場し、最後まで勝利に貢献した。10段階の採点で7はつけられる出来映えだった。

 もうひとりの日本人選手、スポルティング所属の守田は、ヤングボーイズとのホーム戦に出場しなかった。試合は1−1で引き分け。合計スコア4−2でスポルティングが楽々と通過を決めた一戦だったが、守田は最後までベンチ要員だった。3−1で勝利した初戦アウェーでも、守田はスタメンを外れていた。出場したのは後半15分。3日前の国内リーグの対モレイレンス戦ではでは89分間プレーしている。

 この日の欠場はコンディションを考慮したものなのか。しかし通常、守田の傍らで構えるモルテン・ヒュルマンド(デンマーク代表)は、ほぼ出ずっぱりだ。このプレーオフではそのヒュルマンドの相手役に、守田ではなく、ダニエル・ブラガンサ(元U−21ポルトガル代表)が選ばれた。
 
 モレイレンセは国内リーグで現在6位。それとヤングボーイズ戦を天秤にかけたとき、重要なのは後者だと考えるのが自然だ。また、スポルティングの次戦の相手、リオ・アヴェは国内リーグ16位だ。

 守田の欠場は、国内リーグでベンフィカと激しい首位争いを演じているスポルティングの現在の立場を考慮した結果と言えばそれまでだが、選手としてのステイタス、商品としての価値は、欧州戦線で活躍してなんぼ、である。アジアカップを境に微妙な立場に置かれている守田の様子が少し心配である。

 フライブルク、ミラン、ベンフィカ、スポルティング、マルセイユ、スパルタ・プラハ、ローマ、カラバフ。プレーオフを勝ち抜いた8チームのなかで、最も期待が持てそうなチームはミランだろう。リバプール、今季絶好調のレバークーゼン、さらには三笘のブライトンとともに上位進出が有力視される。決勝トーナメント1回戦の抽選結果に目を凝らしたい。

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