サントリー初の男性向けスキンケアブランドが中高年に大ヒット、“リモート時代”で見た目気にするシニア世代が急増

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2024年02月26日 09:10  ORICON NEWS

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サントリーウエルネス スキンケア事業部・西山雅大さん
 2年前に、サントリーウエルネス初の男性向けスキンケアブランドとして発足した「VARON」。1本でお手入れが完結するオールインワン商品がスキンケア初心者のミドル・シニア世代に受け、2年で累計売上40億円突破と、当初の目標を大幅に上回る好調を見せている。メンズスキンケア需要が増加傾向にある中、市場を牽引するブランドとなり得るのか。後発ブランドながら、独自シェアを獲得しつつあるVARONに、その戦略と反響を聞いた。

【画像】10日間で変わる? 男性向けスキンケアブランド「VARON」ラインナップ

■既存ブランドは若者向けが多数、ミドル・シニア層狙い&サントリー独自技術で差別化

 人々のウエルネスライフ実現のために、健康食品や化粧品を通販で提供してきたサントリーウエルネス。同社は2020年より、顧客理解を深めるため、シニアの顧客を対象に、オンラインでヒアリング調査を実施。本調査がVARON開発のきっかけとなった。

「誰しも、人や社会とのつながりを持って若々しく生きたいという気持ちがありますが、年齢を伴う外見や印象の変化によって自信がなくなり、人や社会とのつながりがなくなってくる…そんな潜在的な悩みが多いなと、調査を通して感じました。そういう方々に向けた商品を作れないかと思い、VARONを開発するに至りました」(サントリーウエルネス スキンケア事業部・西山雅大さん/以下同)

 ちょうどコロナの影響もあり、「リモート会議の画面上で若い社員と並んで、見た目の差を感じた」というビジネスマンや、孫とLINEで通話する際に身なりを気にする高齢者など、自らのビジュアルを気にするミドル・シニア層が増加傾向にあった。そんな背景があり、男性向けのスキンケアブランドに着手したのだ。

 しかし、男性向けスキンケア市場には、既に1978年発足の「ギャツビー」や1992年発足の「ウーノ」など、根強いブランドが君臨している。その上、昨今の男性の美意識向上を受け、多数ブランドが参入し、競争は熾烈を極めている。そこでサントリーウエルネスは、現状、若者向けに発信しているブランドが多いことから、得意とするミドル・シニア層にターゲットを定めた。

 まず開発したのは、『オールインワンセラム』。独自技術である業界初の「WOW高浸透型エマルジョン技術」(特許取得済)の採用により、3ステップ浸透を実現した。これにより、化粧水+美容液+乳液・クリームの役割を1本で完結することができる。

「VARONは“これまでスキンケアをやってこなかった未経験者の方”にも使っていただきたく、手軽に使えないと、面倒くさくてやめてしまわれる方が多いだろうと予測できましたので、1本で手軽に使えて、体感の良い商品を作りたいと考えました」

 一般に、オールインワンのスキンケア商品はジェル状のものが多いが、ジェル状は水分が多いため、「蒸発してしまう」という声が多かった。VARONはジェルではなくクリーム状になっていて、「良い成分が浸透した後に、しっかりフタをする役目も担っているのが非常に大きなポイント」だという。

「クリーム状のものを量産化、商品化するのは難しく、試行錯誤を繰り返しましたが、浸透した成分が心地良く残り、朝塗ったら夕方まで乾燥しません。そこが一番大きな体感のポイントだと思います」

 さらに、サントリーグループならではの「ウイスキー樽材エキス」や「ウーロン茶エキス」といった独自の成分を配合しているのも大きな特徴だ。

「実は、ウイスキー樽材エキスは20年ほど前から研究を進め、2010年代前半にできた成分で、『WOW高浸透型エマルジョン技術』も2010年代前半には開発されていました。しかし、なかなか生かしきれておらず、長らく技術が宙に浮いた状態だったのですが、今回初めてこれらの技術を組み合わせた商品化に成功しました」

 40~70代と幅広い層に使ってもらおうと、パッケージは、明るめのシルバーで高級感を出しつつ、ハットのイラスト、アーチ形のロゴを入れ、親しみを持たせたデザインに。嗜好性も年代によって異なることから、「オリジナル」「フレッシュ」「クラシック」の3種類の香りを揃えた。男性用スキンケア商品といえば、“スースー”したメンソール系が多い印象だが、同一商品でこれほど種類が選べるラインナップは珍しい。

■「本当に成功するのか?」社内からは懐疑的な声も、サンプルで役員&銀座ママを虜に

 市場にないカテゴリーの商品、かつサントリー初の男性向けスキンケアブランドがゆえ、社内からは『本当に成功するのか?』という懐疑的な声もあった。西山さんは、使ってもらえさえすれば、売れる自信があった。そこで“10日間チャレンジ”として、役員・経営層を始め、営業チームに積極的にサンプルを配布。すると思惑通り、実際に使用感や効果を実感してもらってからは、話が早かったという。

 販促についても、「普通に広告を出すよりも、とにかく多くの人々に試していただき、その結果を口コミで広げていただく」という作戦をとった。

「かねてからサントリーがお付き合いのある銀座などのクラブのママさんは、お客様にお土産を渡す文化があると聞きました。そこでVARONをギフトボックスにして渡してもらいました。すると好評だったようで、ママさんから追加を頼まれることも多く、中には100個も買ってくださった方もいました」

 他にも、会食の際には営業がギフトボックスを徹底して配るなどして、じわじわと口コミを広げていった。結果、発売1年目は当初の目標を3倍上回る売上10億円を達成、2年目も販売計画を上方修正し、30億円を突破している。

「『使っているうちに肌がもちもちしてきた』『しっとり感を感じた』というお声をたくさんいただきました。さらには『妻に気づいてもらえた』『職場の後輩から顔色が明るくなったと言われた』『孫が触って気持ち良いと言ってくれた』など、ご自身だけでなく、周りの人から褒められたという喜びのお声はたくさん届いています」

 サントリーウエルネスは、シニア世代を中心に通販を行ってきたことから、主に電話を活用してユーザーとコミュニケーションを取り続けている。そこでVARONを使用しての体感や気づきを聞き取り、丁寧なサポートも行っている。

 昨年12月には、ユーザーから「無香料を出してほしい」との声を受け、無香性の「アンセンテッド」を開発。6月には、VARONシリーズから洗顔フォームとニオイケアの石鹸も発売した。ブランド発足当初から、ユーザーの声に真摯に耳を傾け、それを商品に反映させる姿勢を徹底している。これも、後発ながら好調を維持している大きなポイントの一つかもしれない。

「スキンケアに慣れていないお客様もいて、中にはメガネの上から塗ってしまった方や、スプレーのように直接顔にかけられた方もいらっしゃいました。我々が予想しないようなお客様の反応もありますので、その中で丁寧にサポートさせていただいています」

■男性がスキンケアを習慣づけると、人生の幸福度が上昇する!? 世界的な注目データも

 昨年9月、化粧品の世界的な学会である「IFSCC」がバルセロナで行われた。そこで、サントリーウエルネスの研究員が71名の被験者にアンケート調査をした結果を元に「ミドル・シニア層男性がスキンケアを習慣づけると、肌体感の改善と人生の幸福度上昇に影響する」というデータを発表。これが世界的にも注目されたという。

「VARONユーザーのご家族へのアンケートでは、『夫が優しくなった』『夫婦の会話が増えた』という声が多く聞かれます。VARONを使うとご本人はもちろん、奥様やご友人など、周りにいらっしゃる方々にも良い影響を与えていることが感じられます。このようなデータを世の中に発信する活動は、今後も注力していきたい。スキンケアから生まれる自己肯定が社会とのつながりを生み出すということを、きちんとエビデンスとして発信したいと思っています」

 「世界で一番、ミドル・シニアの方々のことを、理解している会社になること」をスローガンとして掲げているサントリーウエルネス。西山さんは、「健康や外見だけでなく、孤独、退屈、自己肯定感などの悩みに寄り添い、人や社会とのつながり、接点を持ちたい、という皆様の気持ちを応援できるブランドにしていきたいと思っています」と語った。


(取材・文=水野幸則)

このニュースに関するつぶやき

  • 中身は「本業」のマンダムのギャツビーとかのほうがいいか、同程度。 若いヤツが使ってるギャツビーじゃ嫌だ、 というだけでしょ? 化粧品はブランド品じゃないと思うけどね?
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