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私は幼い頃に母を亡くし、父とは疎遠。隣県に住む兄とはよく連絡をとっていますが、離れているので頻繁に会うことはできません。そんな私のことを、義両親は本当の娘のように大切にしてくれていました。
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義実家で持病を心配され、「病院でも定期的に検査しているし問題ないよ」と笑顔で答えていた夫。しかし間もなく持病の悪化がわかり、夫は亡くなってしまいました。私はただただ呆然とするばかり。何がなんだか分からない状態のなかで、葬儀屋さんに言われたとおりのことをこなすだけでした。これから先どうやって生きていけばいいのか……。マサシがいない状態で、私ひとりでどうやって子どもたちを育てていけばいいのか……。
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まだ幼い子どもたちを抱きしめ絶望の淵に立たされながらも、「子どもたちを守らないと……」という気持ちだけはギリギリ持ち合わせていました。義母もこんなに早くひとり息子を亡くして辛いはず。それでも私を励ましてくれます。「大丈夫よ、私たちがそばにいるからね」「お義母さん……」私たちは寄り添うように悲しみを分け合っていました。そんなとき、葬儀に来ていた兄に言われました。「ハルカ……あの人……誰だ?」
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夫と暮らした日々は、紛れもなく私の宝物でした。明るく優しい夫は子どもの面倒もよく見てくれたし、家事も率先してこなしてくれていました。ただ持病のことがあるので、身体は大切にしてほしいと常々伝えていました。それなのに残業をしたり、土日も仕事に行ったり……そんな夫の働き方にハラハラしていた部分は否めません。夫の持病が悪化して、亡くなってしまうまではあっという間すぎて、正直なところ葬儀中も夫が亡くなったという実感が持てませんでした。まるで夢を見ているかのようで……。そんなとき、夫のお棺の前で夫の名前を呼びながら泣き崩れている女性がいたのです。彼女はいったい誰なのでしょうか。私は自分の記憶を辿りましたが、思い当たる女性はいませんでした。
【第2話】へ続く。
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