フリーランスになって初の「確定申告」やってみた “SaaSで申告”は楽にできるのか?(前編)

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2024年02月26日 17:11  ITmedia NEWS

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 確定申告の季節がやってきた。筆者はこれまでも、ふるさと納税や医療費控除などのために毎年確定申告をやってきたが、今回は一味違う。2023年夏に、勤め先であったアイティメディア社を退職してフリーランスとなったからだ。


【詳細はこちら】フリーランスになって初めての確定申告、どうすればいい?


 会社員の確定申告は、メインの収入である給与の税金が源泉徴収(会社が収めている)されているため、ふるさと納税とか医療費控除とか住宅ローン減税とか配当控除とか外国税額控除とか、”控除”ばっかりだ。要するに確定申告を行うと課税所得が減るので、税金が還付される(戻ってくる)。


 ところがフリーランスになったら、自分で税金を計算して申告しなくてはならない。わざわざ計算して税務署に確定申告書を送って、さらに税金を払う。そしてこれが間違っていたら、税務署から怒られる。会社員にとっては確定申告は面倒だけどお金が戻ってくるもの。ところがフリーランスにとっては、お金を払うために事務作業をしなくてはいけないのだから、そりゃこの季節になるとどんよりとした表情の同業者が多いのも分かる。


 さて今回の原稿の趣旨は、この面倒なフリーランスの確定申告を、いかに手間なく簡単に、かつお得になるようにやってみたという実体験をお伝えすることだ。確定申告に関係するSaaSは毎年進化している。こうしたSaaSを存分に活用してトライしてみよう。


●青色申告特別控除を使って65万円控除を目指す


 まずは”お得”な点からチェックしていこう。税金の計算は、収入から経費を引いた所得に対し、さまざまな”控除”を引いて、課税所得を出す。この課税所得に対して税金がかかる。これが基本だ。


 そのため、払う税金を減らしたければ、収入を下げるか経費を増やすか控除を増やすことになる。でも収入を減らしたら本末転倒だし、収入を隠して申告すればそれは脱税だ。経費については、共済や保険を使ったり家事按分を適切に行ったり、いろいろな方法があるが、こういうオプション的な内容は今回はパス。節税の基本は、いかに使える控除を見つけてきて、それを適用するかにある。


 さてこの控除だが、フリーランスには「青色申告特別控除」という大き目な控除がある。これは、確定申告の種類の一つ「青色申告」を行うと、最大で65万円、所得から控除してくれるという制度だ。年間所得(収入から経費を引いたもの)が500万円だったとすると、65万円を控除して課税所得は435万円に減る。この数字が小さくなれば払う税金も少なくできる仕組みだ。


 今回はこの「65万円控除」を目指すのだが、そのためにはいくつもの条件がある。


・青色申告承認申請書を提出


・複式簿記で貸借対照表と損益計算書を提出する


・電子申告を行う


 これらをクリアするために、さまざまなSaaSを活用していこうというわけだ。


●まずは「青色申告申請書」の提出


 最初に必要なのは青色申告承認申請書の提出だ。通常は「開業届」と「青色申告承認申請書」を同時に出す。「青色申告承認申請書」は「開業届」を出さないと承認されないからだ。ちなみに「開業届」は実際の開業から1カ月以内に出さなければならないし、青色申告承認申請書は開業から2カ月以内に出す必要がある。


 つまり順序は、開業→開業届→青色申告承認申請書となるのだが、ちょっと注意点がある。開業してしまうと、失業手当の受給資格がなくなってしまうのだ。会社を辞めてさっそくバリバリ働きたいという人もいるだろうし、しばらくは職探しなども行い、最終的にはフリーランスで……と考える人もいるだろう。失業手当を受け取るつもりなら、タイミングは考えておかなくてはならない。


 この開業届と青色申告承認申請書だが、筆者は「freee開業」を利用した。オンラインで無料で利用でき、マイナンバーカードを使って電子申請できる。非常に簡単で何もつまづくことなく申請が完了した。ちなみにマイナンバーカードを利用して電子申請するので、このあとの確定申告のことを考えても、マイナンバーカードを作っておくのは必須だと思ったほうがいい。


 freee開業の開業届にはいくつか選択する項目があるが、筆者の「仕事の種類」はフリーランスで「仕事の概要」はライターだ。これは気軽に選べばいいというものでもなくて、業種によって税金が変わってくる。例えば「デザイン業」や「コンサルタント業」「請負業」などには、5%の個人事業税がかかる。ライター業は税金的には恵まれている事業だといえるかもしれない。


 ちなみに何月に開業しても、その年の青色申告特別控除は全額利用できる。極端な話、12月に開業しても、12月1カ月分の所得から65万円を差し引ける。


●請求書発行は「Misoca」を利用


 続いて準備しておきたいのが、請求書発行SaaSだ。インボイス制度のスタートもあり「請求書を送ってくれ」という取引先は多い。請求書はExcelなどで作成してPDF化しメールで送信してもいいが、正直手間だ。請求額の管理などを行うためにも、SaaSを使うのが便利。


 筆者が選んだのは、弥生が運営するMisocaだ。最大の特徴は、請求書を月間10通までは無料で利用できること。高機能な請求書発行ツールはいろいろとあるが、正直自営フリーランスならそこまで高機能さはいらない。寄稿先だって月に10社もあれば十分だ。


 有料のSaaSも含めていくつか試してみたが、Misocaで特に気に入ったのは取引先の情報入力の補助機能だ。取引先を登録するときには、社名、法人番号、住所などを一つひとつ入力していく必要がある。ところがMisocaは取引先名を入力すると、国税庁の法人情報データベースを参照して法人候補を表示。そこから選択すれば、法人番号や住所などを自動的に入力してくれるのだ。


 使ってみれば、この素晴らしさは実感できるのに、Misoca以外でこの機能を持ったSaaSを見たことがない。非常に素晴らしい機能だと思う。


 また請求書を作成するときには、源泉徴収額を自動計算して請求書に記載することもできる。これを載せておかないと、請求額と入金額が一致しないので、意外と大事だと思う。また源泉徴収額は確定申告の際にそこそこ面倒な情報なので、こうやって自分の手元でも数字を把握できるようにしておくと便利だ。


 ただMisocaのデータを連携できる会計ソフトは、弥生会計シリーズとfreeeの2つだけ。これが後ほど少々厄介なことにつながるのだった。


 (後編につづく)


このニュースに関するつぶやき

  • わざわざ税金払うために面倒くさい書類を作るのがほんと嫌。所得税など無くして、全部消費税にすればいいのに。逆進性云々は生保とか福祉で補えばいい。貧乏人こそ自分で書類を作り申告しなさい。
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