サンフレッチェ広島レジーナ・中嶋淑乃が今季後半「肌荒れ直さなきゃ!」と思うワケ

0

2024年02月27日 07:51  webスポルティーバ

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

webスポルティーバ

写真

サンフレッチェ広島レジーナ 中嶋淑乃インタビュー 後編

サンフレッチェ広島レジーナ、なでしこジャパンでプレーする、WEリーグNo.1ドリブラーの中嶋淑乃へインタビュー。自称「極度の人見知り」だが、周囲からは「常におふざけキャラ」という話も。後編ではそんな中嶋に3月頭から再開されるリーグへの意気込みを聞いた。

前編「中嶋が語るドリブル突破の心構え」>>

 WEリーグ発足時に新規参入したサンフレッチェ広島レジーナが、3シーズン目となるWEリーグカップで初タイトルを手にした時、「(チームの先輩である)近さん(近賀ゆかり)、福さん(福元美穂)にタイトルを獲ってほしかった」と涙を浮かべたのが中嶋淑乃だった。

 熊本で小学生の時にサッカーを始め、2018年になでしこリーグ2部オルカ鴨川FCへ入ると、めきめきと頭角を現し、2年後には得点王に輝いた。

 そして、新しくチャレンジするステージは日本のトップリーグであるWEリーグ。先に名が挙がったふたりは、なでしこジャパンが世界を制した2011年の優勝メンバーだ。刺激がないはずがない。

「近さんにはとにかく怒られた」と話す中嶋の表情からは、近賀への信頼度がダダ漏れだ。「さっきのプレーよかったよ、とか言われたらもう嬉しくてそのプレーばっかりやるからうまくなるのかも」。カップ戦制覇に続き、皇后杯では準決勝まで勝ち上がった。

 そんな広島でチームメイトと切磋琢磨している中嶋。一見穏やかそうに見える彼女だが、チーム内では意外にもおふざけキャラだと、複数名から楽しいタレコミをもらい、早速、自称"極度の人見知り"である中嶋にぶつけてみた。

【自分でシュートまで行けるようになった】

――「おとなしく見られたいのかもしれないけど、常におふざけキャラ」とうかがいました。そしてカタカナ読みに弱くて「エキスプレス」が言えないというのは本当ですか?

中嶋淑乃(以下、中嶋) 言えますよ、それくらい!......「エキソプレス!」

――ギリギリアウトな感じが否めない(笑)。カタカナ言葉を聞けば、何文字かすぐに答えられる特技もあるとか? ......「アクエリアス」は何文字?

中嶋 えーと、ア・ク・エ......(右手で指折り数え始める)

――中嶋さん...それなら私でも誰でもできます(笑)。

中嶋 あ、一発で言うヤツか!

――みなさんのおっしゃる意味がわかってきました(笑)。人と馴染むのに時間がかかると以前話してましたが、広島の選手とのファーストコンタクトはどんな印象だったのでしょう?

中嶋 とにかくうまい人の集まり!って感じでした。同世代の選手も多くて、最初から話しやすい環境でした。それでもまだ1年目は自分を出しきれず......人見知りなので周りとのコミュニケーションもなかなかうまく取れなかったんです。

 変わったと感じたのは2年目です。周りも自分のことをわかってくれはじめて、そうなるとプレーでもいろいろ引き出されるようになってきました。ゴールもたくさん獲れて、ようやく少し戦えそうだという自信がついてきたシーズンでした。

――WEリーグを戦うことで研ぎ澄まされた感覚というのは?

中嶋 外(サイド)だけじゃなくて、中でプレーするようになったこと。だから前よりも自分でシュートまで行けるようになりました。

 やっぱり試合に出ていると、勝つことって本当に大事だと痛感させられるんです。そのために何が必要かって考えた時に、やっぱりゴールだな、って。だとしたら、もっとシュートに行ってもいいかもって思ったんです。

――確かに1年目は自らシュートを選ぶというよりは、サイドを上がって中の人を使うパスを出すイメージでした。

中嶋 ぶっちゃけちゃいますと、2年目になれば「縦突破だけだ」と、相手もわかってくるし、シュートを打たないのもバレるんです(笑)。中に入っていって、点が入った時に、もっと中入ってもいいなって思いました。

 サイドって試合中、ボール来ない展開になると、ホント孤立しちゃうんですよね......。その時に周りから「もう外にいなくていいよ」って言われたのもあって、中に動くようにしたら、それもひとつの強みになってきました。

【今は本当に楽しいです!】

 広島のサッカーが初披露された時は驚愕した。新規立ち上げのチームとは思えぬほど戦術の練度が高く、チーム全体で描くものをしっかり把握していた。それでも、時には新チームらしい脆さも顔を出し、やりたいサッカーとできるサッカーの狭間で苦しむこともあった。

 WEリーグは、なでしこリーグ時代でも力のあったINAC神戸レオネッサ(初代女王)、三菱重工浦和レッズレディース(2年目優勝)、日テレ・東京ヴェルディベレーザが3強と呼ばれ、追随するBランクを他チームが狙うという構図があった。だが今シーズン、カップ戦優勝の広島が早々にその勢力図を塗り替えようとしている。

――カップ戦の優勝後、近賀選手が「(タイトルを)獲るならこのカップ戦、今だと思った」と言っていました。それは中嶋選手も同感だったのでしょうか?

中嶋 最初は「もちろんカップ戦に優勝したい気持ちはあるけど、現実的にどうかな?」って感じでした。でもみんなと話して、「狙おう!」「狙いたい!」って思うようになっていきましたね。

 もともと、最初から自信があるタイプじゃないから(苦笑)。勝ち進んで行くにしたがって心境は変わっていきました。

――その直後にリーグ戦が開幕すると、他チームの広島対策もあり、なかなか勝てなくなりました(ウィンターブレイク前の順位は8位)。苦戦するかと思いきや、1月の皇后杯準決勝では浦和を相手に2点ビハインドから追いつき、延長では中嶋選手のゴールで勝ち越す展開でPKまでもつれ込む激戦(結果PKの末敗戦)に、広島の不屈の精神、粘りを見ました。

中嶋 流れが悪くなっている状況を引き戻せる力があるとしたら......ブレなかったこと、でしょうか。発足の時から、後ろからのビルドアップでつなぐサッカーというのを目指してきて、うまくいかなかったり、勝てなかったりしても、ブレたり、迷うことがなかった......いや、違うな。ちょっとバラバラになりかけると、近さんたちがみんなを集めて、もう一度気持ちを入れ直してくれたんです。

 3年目になって、やっといろんな選手がビルドアップに関われるようになってきたから、今は本当に楽しいです!

【「肌荒れ直さなきゃ!」】

――皇后杯ベスト4は、カップ戦の優勝が勢いだけじゃないと示しましたよね。そうなると、当然今度はリーグ戦でのタイトルへの期待も高まります。今後の見どころは?

中嶋 今、3バックをやっていて、もう走り合いです(笑)。だからこそ、サイドから上がるタイミングと、その予測が大事です。タイミングを間違えると(後ろの)人数が少ないので、カウンターを食らってしまいます。そこは今まで以上に周りと話していて、カバーリングのところはかなり落とし込まれてきてますね。

――左サイドは、前にいる瀧澤千聖選手とのリズムが合ってますね。

中嶋 ああ......いろいろタレ込んでくれたチー(瀧澤)ですか? あと、ルナ(木稲瑠那)やな?

――すみません、情報源はお答えできません(笑)。

中嶋 あのふたりしかいない! それはそれとして(笑)、前にチーがいてくれるのは本当に助かっていて、相手が多少強くてもチーに潰してもらって自分が前に出ていくこともできるんです。

 彼女は中に入っていくプレーも得意ですし、持ち場が被らないのもいい。ひとりでサイドを使えるので、いっぱい走ってシュートまで行きたいです。チー、使えますね(笑)。

――ちょっと言い方が悪いですけど(笑)。瀧澤選手とのバランスがいいと中嶋選手がシュートを狙うのも効果的ですよね。コースを狙うタイプかと思っていたんですけど、最近シュートにパワーが乗っていませんか?

中嶋 実は2年目くらいから、切り込んだ時とかのシュートのパワー系のトレーニングを取り入れてるんです。まだまだですけどね。それが周囲にちょっと伝わってるなら、変わってきたってことですよね。嬉しい!

――WEリーグ後期再開も楽しみです。新スタジアムでのプレーももうすぐです。

中嶋 新スタジアム(エディオンピースウイング広島)、すっごくいいですよね! でも、客席とピッチがすごく近いので恥ずかしいかも......。空中戦とかの、すごく事故的な顔とか見られそうで怖いです(苦笑)。顔面左側は疲れた顔できないですね。あ、でも戻る時は右側もか。肌荒れ直さなきゃ!

◆ ◆ ◆

 最後まで天然っぷりを炸裂させていた中嶋。新スタジアムとなるエディオンピースウイング広島は、選手たちの意見交換の声まで聞こえてくるかもしれない。

 そのスタジアムで、ぜひ試合直前の中嶋に注目してみてほしい。どこかでおかしな声を出していたり、隣の選手にちょっかいを出していたり、常にチームの笑いの中心にいる姿を発見できるはず。

 ホイッスルが鳴った後は、パワーアップしたシュート音、突破するコースを見据える目線、パワーを落とさず駆け上がるドリブルのスピード感......今、中嶋が注力しているプレーを追い続けるのも一興だ。
(おわり)

中嶋淑乃 
なかしま・よしの/1999年7月27日生まれ。熊本県出身。東海大学付属熊本星翔高校から2018年にオルカ鴨川FCへ入団。2020年にはなでしこリーグ2部の得点王を獲得。2021年にサンフレッチェ広島レジーナへ移籍し、今季3シーズン目をプレーしている。2022年にE-1サッカー選手権を戦うなでしこジャパンに選出され、代表デビュー。2023年のアジア大会では決勝で先制点を挙げるなど、日本の優勝に貢献した。

    ニュース設定