「モバイルバッテリー炎上」から考える、正しい廃棄方法 回ってきた“10年のツケ”

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2024年02月27日 08:32  ITmedia NEWS

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 2月6日の午後6時過ぎ、山手線の車内でモバイルバッテリーが燃えるという事故があった。JR池袋駅に停車中の車内で、男性乗客のカバンに入っていたモバイルバッテリーから火が出たという。男性は「熱い」などと言いながらバッテリーを取り出し、床に投げ捨てたという。


【画像はこちら】モバイルバッテリーが爆発する様子


 燃えているのだから、それは熱いどころではないだろう。そのままにしておけばかばんの中身まで燃えてしまう。床に投げ捨てたのは、致し方ないところかと思う。だがその後が良くなかった。男性はそのまま立ち去ったという。


 幸い20分後には消し止められたが、燃えてしまってはどのメーカーのどのモデルが発火したのか、追うことができなくなった。それが分かれば、同モデルの出荷停止や使用停止の呼びかけなど、一連の対応ができたはずだ。


 恐らく男性は、発火の責任を問われると思い、逃げたのかもしれない。だが実際自分の身に置き換えてみると、突然手持ちのモバイルバッテリーがカバンの中で発火したなら、取りだして床に投げ捨てる意外の方法があっただろうか。


 現在モバイルバッテリーは大量に普及しており、ある意味誰にでも起こりうる事故だろうと思う。ただこうしたバッテリー炎上の場合、使用者責任が問われることになるのかは難しい問題だ。製造に問題があった場合には使用者の過失にはならないが、過去に落としたり高温にさらしたりといった事情があれば、使用者の過失が問われるかもしれない。


●この10年のツケが回ってきた


 モバイルバッテリーが普及し始めたのは、東日本大震災以降の事である。NTTモバイル者会研究所の調査によれば、震災のあった2011年はまだスマートフォンの普及率は20%程度であり、多くはガラケーでバッテリー交換が可能だった。またコンビニでは、9V角電池を使った充電器が売られていたものだった。


 スマートフォンの所有が50%を超えたのは15年頃で、モバイルバッテリーの普及もそれと同時に急速に進んだものと思われる。筆者の記憶ともだいたい一致する。


 モバイルバッテリーの普及からざっと10年。初期に買ったモバイルバッテリーは、充電できなくなったもの、膨張して使用不能になったものなど、すでに寿命を迎えたものも多いだろう。昨今では参入メーカーも増え、価格もかなり下がっている。粗悪なものが混じっている可能性も、高くなってきていると考えるべきだろう。


 とはいえ、モバイルバッテリーの信頼性を消費者が見分けるのは難しい。ネットの評判であったり、レビューであったり、あるいは有名メーカー製であったりといったところをよりどころにするしかないのが実情だ。


 1つの指針となるのは、PSEマークやリサイクルマークの表示だが、それが正規の表示であるのかもまた、消費者は見分けが付かない。ましてやEコマースサイトで購入する場合、マークの存在が確認できないケースもある。この点では、消費者保護が非常に弱いジャンルであるともいえる。


 使用できなくなったモバイルバッテリーや、リチウムイオンバッテリー内蔵製品の廃棄も、問題を難しくしている要因の1つであろう。23年の11月、東京23区の粗大ごみ処理施設が火災で停止した。23区にお住まいのみなさんは、24年3月まで粗大ごみの廃棄を控えるよう、自治体等から呼びかけがあったはずだ。


 この火災は、廃棄されたリチウムイオンバッテリーが原因といわれている。モバイルバッテリーそのものなら消費者も意識するだろうが、われわれの身の回りには、いわゆるモバイル製品があふれている。ざっと筆者の回りを見渡しても、ワイヤレスイヤフォンやBluetoothスピーカー、スマートウォッチ、ワイヤレスキーボード・マウス、充電式の電動歯ブラシやハンディ扇風機などなど、バッテリー内蔵の製品は多い。そもそもバッテリーを取り外すこともできないので、本体ごと廃棄することになるわけだが、これらの製品は普通には捨てられない。


 可燃ごみとして捨てるのは論外としても、知識がなければ不燃ごみとして出すという事はあり得る。不燃ごみも収集車内で圧縮して搬送するケースもあり、その際に内蔵バッテリーがショートして出火するという事故も多数報告されている。


●どう捨てるのが正解か


 モバイルバッテリーをはじめとする製品は、基本的にはバッテリーをリサイクルするのが原則である。従って一番確実なのは、メーカーが回収していないかを確認する事である。モバイルバッテリーの大手、AnkerやCheeroでは、自社製モバイルバッテリーを回収している。送料はかかるが、一番確実にリサイクルされるだろう。逆に今後モバイルバッテリーを購入する際には、自社製品を回収するメーカーかどうかも一つの判断基準となっていいはずだ。


 また資源有効利用促進法に基づいて、小型バッテリーを回収する組織もある。一般社団法人JBRCは、会員企業の製品を全国にある協力店などを通じて回収している。大手家電量販店なども協力店となっているが、協力店はここから検索できる。


 実際に協力店となっている近所の家電量販店に聴いてみたが、回収BOXみたいに勝手に投げ込めるような格好にはなっておらず、必ず店員に渡すようになっている。JBRC会員企業ではない製品は引き取らない事になっており、膨張したり破損したりしているもの、ハードケースに入っていないラミネートタイプも店頭では引き取りできない。会員企業の製品にはバッテリーのリサイクルマークが付けられているはずなので、まずはそのマークを確認してほしいとの事であった。


 また昨今はAC電源も使えるポータブル電源が人気となっているが、JBRCは基本的に「小型」バッテリーの回収組織なので、ポータブル電源のような中型・大型製品は対象になっていない。こうした製品の回収は今のところ、メーカーに頼るしかないのが現状である。ポータブルバッテリー大手のECOFLOWでは、23年から同社バッテリーを回収するサービスをスタートさせた。今後バッテリーメーカーや輸入代理店等に対して、こうした回収を法的に義務付ける動きもあっていいだろう。


 一番困るのが、JBRCでも回収しない製品の廃棄だ。自治体に問い合わせてもJBRCへ丸投げで、取り合ってくれないところも多いと聞く。こうしたケースでは、民間のリサイクル事業者を探すしかない。PCの無料回収などで検索すると、多くのリサイクル事業者が見つかる。こうした事業者の中には、PC以外にも多くの家電製品を引き取ってくれるところがある。案外モバイルバッテリーそのものはダメなところも多いが、イヤフォンやモバイル扇風機など、意外なものを引き取ってくれる。引き取りが確認できれば、こちらからは送料負担で送るだけなので、まずは調べてみるといいだろう。


 フリマやオークションサイトで売ってしまえと指南するサイトもあるようだが、個人的には感心しない。買い取った方がきちんと最後に廃棄してくれるのかも分からないし、単に廃棄責任を他人に投げるだけという気がしてしまう。


 この記事をご覧の皆さんも、この機会に身の回りにあるモバイル製品はどうやったら捨てられるのか、一度見ておくといいだろう。新興メーカーに見えて案外リサイクルマークが付いているものがあるかもしれないし、大手メーカーなのに輸入品ではマークがないものもあるかもしれない。


 またお住まいの自治体の対応状況は、地域によってかなり違っているので、そちらのほうもチェックしてみるといいだろう。多くは自治体のサイトに情報があるはずだ。また「スーパー等の協力店に回収ボックスを設置」と書いてあっても、実際にはボックスがないケースもある。不法投棄を避けるためか、あるいはボックス内でのショートを避けるためか、現場レベルでは店員に直接手渡しの方法に変更されているケースがある。


 充電式のモバイル・ウェアラブル製品は、使っている時はただひたすら便利なだけで、その製品が寿命を迎えるときのイメージはあまり持てないものである。今のうちから捨てることを考えておけというのはあまりにも早計だが、普通には捨てられないものであるという認識は持っておくべきだろう。


 便利の裏にはそれなりのリスクを払う必要があるという事である。


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