「無意味」なギャグがなぜ受けるのか 突き抜けた作風が「癒し」につながる!?…人気絵本の編集担当者に聞いた

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2024年02月27日 11:50  まいどなニュース

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たなかひかるさんの絵本『そそそそ』表紙 ※ポプラ社提供

お笑い芸人・作家として、マルチな才能を発揮されているたなかひかるさんが、2月7日に新作絵本『そそそそ』(ポプラ社刊行)を発売しました。

【写真2枚】「ぷるぷる」と「ぐにゃり」 からの「にゅーん」

これまでにも、漫画『サラリーマン山崎シゲル』や、絵本『ぱんつさん』『ねこいる!』『すしん』といった作品を発表されているたなかさん。シュールでナンセンスなギャグが大勢のファンを魅了し、『ねこいる!』は現在6刷重版、『すしん』は「第14回リブロ絵本大賞」「第16回MOE絵本屋さん大賞2023で第8位」に輝くなど、大人気の作家さんです。

そんなたなかさんがこの度発売された『そそそそ』。一体どのような作品なのでしょうか…?

コアラにパンダ、ワニ、キリンといった動物たちが不思議な形に変身!

まず、何匹も連なって木にしがみつくコアラの家族(?)が登場。

やがて重さに耐えられず、「ぷるぷる」震え、「ぐにゃり」と曲がって落ちそうに。しかし、次の瞬間――、

 「にゅーん」と突然足が伸びて、地面に降り立ちました!

コアラたちはそれから、周辺を散策。すると、パンダ、わに、きりんといった動物が登場し、それらも不思議な形態に変化していきます。

奇妙な動物たちの絵とオノマトペで構成された、シュールな世界観。

発売前、たなかさんは自身が運営するInstagramアカウント「サラリーマン山崎シゲル」(@yamasaki_shigeru)にて、本作を宣伝。その独特な内容に、たくさんのファンからも驚きの声が寄せられています。

「ちょ、ちょちょ待って!頭が追いつかない!」
「全部意味わからん。でもおもろい」
「まんまと欲しくなりました」
「小さい子ってこういう擬音とか好きですよね!笑」
「読み聞かせのし甲斐がある感じ!?」
「息子が大のコアラ好きなので買ってあげたい」

突き抜けた作風が子供にも大人にも大人気!

作者・たなかひかるさんの強烈なギャグのセンスが光る絵本『そそそそ』。

本作の発売や制作の経緯、たなかさんの作品に共通する魅力などについて、編集担当者のHさんにおうかがいしました。

――本書が出版に至った経緯について教えていただけますでしょうか。

Hさん:前作『すしん』の刊行後、たなかさんと雑談がてら次作の検討をするなかで、「オノマトペ的な作品」「動物が主人公」などいくつかのアイデアをいただきまして、それ等の長所をまとめていきました。

――登場する動物やお話の展開は、どのように作られているのですか?

Hさん:たなかさんが動物を選んで全体のストーリー(?)を作り、それをもとにディスカッションをさせていただいています。登場する動物はすべてたなかさんのチョイスで、「にゅーん」「ふんす!」といった表現もたなかさんの脳から噴出した感じです(笑)。

――Hさんたちの意見が作品に反映されることも?

Hさん:編集では、たなかさんのアイデアをページに落とし込んで、めくったときにどんな印象を持ってもらえるか形を整えます。たなかさんは本作で、コアラの鼻がのびて水中に潜るシーンを描きたかったようですが、全体のリズムを考えて削ることになってしまいました(笑)。

――本作の魅力はズバリどんなところだと思われますか?

Hさん:「無意味さ」でしょうか。たなかさんのすべての作品に共通することかもしれません。

――たなかさんの素顔はどんな方なのでしょう?担当として感じられた印象など教えてください。

Hさん:ねことキャンプと音楽をこよなく愛す方で、いつも面白いことを話してくれますが、アイデアの核心をかたるときだけ目が笑っていません。その落差がたなかさんらしさでしょうか。

――作品の評判は?

Hさん:おかげさまで順調に重版をかさねていまして、『ねこいる!』はもうすぐ6万部に到達しそうです。読者からお葉書もたくさんいただいております。お子さんがネコやお寿司(※『ねこいる!』は猫、『すしん』はお寿司が題材の絵本)を描いてくれていることが多いのですが、予想外だったのが大人のなかにも自分用に購入して、「癒されます」といったお葉書を送ってくださる方々がいることです。突き抜けた作風が「癒し」になっているのがうれしいです。

――子供も大人も、幅広い層に人気があるのですね。そんなたなかさんのファンの皆さんにメッセージをお願いします!

Hさん:『そそそそ』は、読んでも無意味で頭がよくなりませんが、「みんな、そのままでええねんで」というたなかさんのメッセージを受け取っていただける作品だと思います。ぜひお手に取っていただければと思います。

  ◇  ◇

以前にもまいどなニュースでは、たなかさんの絵本『ねこいる!』について取り上げさせていただきました。たなかさんご本人からもお話をおうかがいしています。

(まいどなニュース/Lmaga.jpニュース特約・竹中 友一(RinToris))

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