子育て世代に寄り添うSNS投稿が注目を集めている教育評論家の親野智可等氏が、親から子どもへの声かけをテーマに執筆した書籍『ちょっとしたひと言が、子どもを伸ばす・傷つける 親の言葉100』(グラフィック社刊)を発売した。親の「イライラ」から出る言葉、「つい」使ってしまう言葉をもとに、子どもへの“伝わり方”を解説した内容で、現役小学校教師時代から40年以上も親と向き合ってきた著者だから生まれた、言葉のメソッドが満載となっている。同書から、子どもの前での“愚痴”にまつわる解説を、一部抜粋・編集して紹介する。
【画像】「ぼくはダメな子なの?」と感じた親の言葉■子どもにとって大切な人の愚痴はNG。自己開示のための愚痴ならたまにはOK
親だってストレスが溜まったときは誰かに聞いてもらいたくなりますよね。でも、子どもにパパやママの愚痴を聞かせることには、やはりリスクもあります。
子どもは愚痴と悪口の区別がつかないので「ママはパパのこと嫌いなんだ」とモヤモヤしてしまいます。愚痴が多くなると「ママに苦労させて、パパってダメだな。こんな大人になりたくない」と父親のことを尊敬できなくなり、言うことを聞かなくなってしまうかもしれません。
ただし、親が愚痴を言えば、子どもも自分の愚痴を言いやすくなるということはあります。
「自己開示の返報性」という、秘密を打ち明けてもらうと、自分も同程度の打ち明け話をしたくなるという法則。子どもの様子がおかしいなと思ったとき、「ママ、会社でさ〜」と軽い愚痴を聞いてもらってから「学校でなんかあった?」と聞くと、話してくれるかも。
夫婦間の愚痴を聞かせるのはNG。ただ、仕事の愚痴は、本音を引きだす手がかりになるからたまにはOK、と心得て。
これも同じです。
・「ババは稼ぎが少ないから、ママも働きにでないといけないんだ」
・「ママって怒ってばっかりで怖いよな〜」
■親野智可等(おやのちから)
教育評論家。本名・杉山桂一。長年の教師経験をもとに、子育て、親子関係、しつけ、勉強法、家庭教育について書籍・ネット・新聞・テレビなどで具体的に提案。最近では、子育て世代に寄り添ったSNS投稿が話題。「ハッとした」「泣けた」など、多くの支持を得ており、全国各地の小・中・高等学校、幼稚園・保育園のPTA、市町村の教育講演会、先生や保育士の研修会でも大人気となっている。著書多数。人気マンガ『ドラゴン桜』(講談社)の指南役でもある。