大谷翔平、ベッツ、フリーマンの後続打線を分析 ドジャースは4番〜9番に不安あり?

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2024年02月28日 17:31  webスポルティーバ

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MVP経験者トリオ(大谷翔平、ムーキー・ベッツ、フレディ・フリーマン)で構成するロサンゼルス・ドジャースの上位打線は、今季のメジャーリーグで最大の破壊力を備えていると言える。では、4番以降も含めて打線全体を見た場合は、どうだろう? ベテラン、若手とバランスの良い編成が予想されるとはいえ、盤石とまでは言い難い。果たして彼らの実力は?

前編:ドジャース上位打線トリオの実力は

【勝負のシーズンを迎える4番の捕手・スミス】

 ロサンゼルス・ドジャースの1番から3番を司る3人は今季もナ・リーグMVPの有力候補だが、ドジャースにとって彼らと同じくらい価値の高い選手が4番に予定されるウィル・スミス捕手だ(ちなみに背番号はドジャース時代の野茂英雄と同じ「16」)。

 2016年ドラフト1巡指名の生え抜き選手のスミスは、2019年にメジャーデビュー、2021年に正捕手になり、2023年にオールスター初選出。攻守に優れているが、その存在価値を如実に示すのがチーム成績だ。昨季ドジャースはスミスが先発した試合は80勝40敗、先発以外の時は20勝22敗と負け越していた。しかし、スミスは看板選手としてはスター性に欠ける。フィールド上では感情を露わにすることがなく、いつもポーカーフェイス。メディアに対しても当たり障りのないことしか言わない。ロバーツ監督も「誠実だし知的だが、面白いタイプではない」と認めている。

 とはいえ、今季について期するものがあるはずだ。このオフ、ドジャースは大谷らと大型契約を結んだが、スミスの契約は単年で855万ドル(約12億8500万円、1ドル=150円)。FA資格を得るまであと2年だが、3月には29歳になる。重労働の捕手では、30代になると衰えが来るのも早いと信じられているだけに、大暴れでこのオフに巨額の契約延長を勝ち取りたいところだ。少なくともウィルソン・コントレラスが1年前にセントルイス・カージナルスと結んだ5年総額8750万ドル(約131億2500万円)は抜きたいところだろう。

 前を打つ3人は昨季揃って出塁率4割を超えた。打席に立つ度に、複数の走者が塁にいる。彼の打撃力なら十分100打点以上を狙える。

【不安要素の多い5番以下の打線】

 さて1番から4番までは良い話ばかりだが、5番から9番の打者は不安要素が少なくない。

 5番のマックス・マンシー三塁手はチームのレギュラーでは最も古株。2018年以降、4度も35本塁打以上をマークし、466四球はチーム最多。だが、近年は打率が低迷し2022年は.196、2023年は.212である。さらに三振も多い。2021年の最後の試合で右ひじ側副じん帯を痛めたが、その影響が今も残っているそうだ。守備はもともと得意ではなく、2年前から三塁に回ったが、2022年は三塁で10失策、2023年はナ・リーグ三塁手でワーストの16失策である。

 6番はテオスカー・ヘルナンデス左翼手。指名打者を右打者のJD・マルティネスから左打者の大谷に代えることで、左投手を攻略できる右の大砲がもう一枚必要になった。ヘルナンデスは8年のメジャーキャリアで対左投手の通算OPSが.887である。とはいえ昨季のヘルナンデスはシアトル・マリナーズで打率.258、出塁率.305、長打率.435と著しく成績を落としていた。ロバーツ監督は「大事なのは周りの打者を信じて、ストライクゾーンの球に集中すること。それができれば長打は付いてくる」と期待する。性格は陽気で、ドジャースの公式X(旧ツィッター)には笑顔で大谷にスペイン語を教える様子が投稿されている。

 7番はジェイソン・ヘイワード右翼手。2021年、2022年はシカゴ・カブスで打率.214、.204の不振、2023年はドジャースで.269と復活したが、34歳の今年も好成績を維持できるかどうかは分からない。8番、9番はジェームズ・アウトマン中堅手とガビン・ラックス遊撃手。ともにドジャース生え抜きの若手で、うまくいけばスターになるかもしれないが、期待外れで全く活躍できないかもしれない。特にラックスは遊撃手としてシーズンを通してレギュラーでプレーするのは初めてだ。

【ロハスはじめ控えは充実】

 アンドリュー・フリードマン編成本部長の腕の見せ所は、こういった選手がスランプに陥った時に、ほかの選手で補えるようきちんと準備しておくことだ。

 2月26日、10年のキャリアで捕手以外はすべて経験があるスーパーユーティリティ選手のキケ・ヘルナンデスと再契約した。ほかにも6つのポジションが守れる器用なクリス・テイラーがいて、このふたりがいれば大抵のポジションで穴を埋められる。

 ラックスが不振の時の代役は、ミゲル・ロハスだ。メジャーの10年選手で2月24日に35歳になるが、守備は今でも抜群。2021年から2023年の遊撃手の守備防御点(DRS/defensive runs saved:同じポジションの平均的野手と比べて守備で何点防いだかを示す指標)は「32」 で全体1位だ。ロハスはキャンプが始まる時に、大谷と山本由伸のロッカーに入団を歓迎する直筆の手紙と高級ワインを置いた。ベネズエラ出身のベテランは「違う国から来て、新しいチームに加わることがどんな感じか知っている。歓迎されていると感じてもらえるようにしたかった」と説明しているように、常にチームのことを考える選手だ。昨季カンザスシティ・ロイヤルズ相手に連敗を喫したことがあったが、ミーティングで「緊迫感を持ってプレーすべき」とロハスがチーム全員を諭した。「監督が仕事をやりやすくするのも自分の役割」と話す。引退後は監督になりたいという願望があるそうだ。

 現時点でロナルド・アクーニャやマット・オルソンのいるブレーブス打線とドジャース打線を比較すると、ブレーブスの方が若干上に見える。だが、こればかりはふたを開けてみないと分からない。両球団の最初の直接対決は、5月3日からロサンゼルスでの3連戦。その頃には2024年の打線が機能しているかどうか、ある程度見えているだろう。

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