Y!mobileの“激安”縦折りスマホ「Libero Flip」を試す 普段使いなら不満なし?

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2024年02月29日 10:31  ITmedia Mobile

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縦折りタイプのスマートフォン2機種。左がZTE製のLibero Flip、右がSamsung Electronics(サムスン電子)製の「Galaxy Z Flip4」

 2024年2月19日、Y!mobile初の縦折りタイプのスマートフォン「Libero Flip」が発表され、その一括価格が税込みでも7万円を切る安さに衝撃を受けた。国内MNOではソフトバンクがY!mobileで29日から独占販売する。


【その他の画像】


 縦折りスマートフォンはGalaxyとrazrの二択だった。そんな縦折りスマホ市場に彗星のごとく現れたLibero Flipを、「Galaxy Z Flip4」ユーザー視点でレビューしたい。


●カバーディスプレイは丸形で新鮮だが、丸形特有の注意点も


 まずは折りたたみスマートフォンならではの使い勝手について見ていきたい。


 閉じた状態でも通知などを確認できるカバーディスプレイのサイズは、Galaxy Z Flip4が約1.9型、Libero Flipが約1.43型だ。文字やアイコンはLibero Flipの方がGalaxy Z Flip4よりも若干大きく表示されるため見やすいが、丸形ディスプレイのLibero FlipではGalaxy Z Flip4のようにコード決済サービスのバーコードを表示することはできない。


 ソフトバンクから借りたLibero Flipの実機には「PayPay」がプリインストールされていたので、試してみたところ特に設定項目も表示されず、閉じたままコードを表示することはできなかった。一方、筆者所有のGalaxy Z Flip4(楽天モバイル版)は、指紋認証は必須であるものの、閉じたままでもコードを読み取ってもらえる。


 他に何ができるのかを確かめてみたところ、通知の確認やアウトカメラのプレビューに活用できることが分かったが、できることとしては、Libero FlipよりもGalaxy Z Flip4の方が多い。カバーディスプレイに貼り付けられるウィジェットは、設定項目から確認できる。具体的な項目を下に記載する。


・Galaxy Z Flip4


・ミュージック


・天気予報


・今日のスケジュール


・次のアラーム


・歩数


・タイマー


・カレンダー


・スピードダイヤル


・楽天ペイ


・Libero Flip


・カメラ


・天気


・音楽


・スポーツと健康


・タイマー


・レコーダー


 どちらもどの項目を有効にするのかを設定アプリで変更できる。Libero FlipについてはGalaxy Z Flip4と比べてしまうと当然、少なく感じるし、SNSやメールの通知はLibero Flipのカバーディスプレイでも確認できるが、丸形なので両端の文章が途切れてしまう。


 面白いと感じたのがカメラだ。折りたたみスマートフォンのカバーディスプレイにおけるプレビューは、どれも丸形ではなく四角い形で表示されるため、Libero Flipの丸形ディスプレイは新鮮さがある。


 カバーディスプレイを撮影時のプレビューにする場合は、インナーディスプレイの上部にあるインカメラではなく、アウトカメラを使用する点はどちらも変わらない。アウトカメラでの作例や仕上がりについては後述する。


●インナーディスプレイは折り目がほぼ気にならない


 Libero Flipは、本体を開いた場合に操作できる、インナーディスプレイも搭載する。ここからは、Galaxy Z Flip4と比べてどう違うのかもチェックしたい。


 インナーディスプレイのサイズはGalaxy Z Flip4が約6.7型、Libero Flipが約6.9型だ。その差は約0.2型なので、ぱっと見では分からない。中央の折り目については、Libero Flipの方が目立たない。この点はよきところ。文字はゆがんで見える折り目だが、これがほぼ目立たないのは評価したい。かといって、全く折り目がない、ということではないので、誤解なきよう伝えたい。


 スペック上の違いを見ると、リフレッシュレートはGalaxy Z Flip4が1〜120Hzの可変式なのに対し、Libero Flipが最大120Hzとなっている。どちらもユーザーが設定項目で切り替えることは可能だが、Galaxy Z Flip4は「最適化」「標準」の二者択一、Libero Flipは60Hz、90Hz、120Hzの3段階に切り替え可能な項目が用意されている。


 60Hzにすれば書き換え時の消費電力量を少なくして、より長い時間、使用できるようになるだろうが、やはり縦スクロールするX(旧Twitter)やFacebookなどを閲覧する際はかくつきが気になる。


 インナーディスプレイを生かしたマルチタスクについては、Galaxy Z Flip4に軍配が上がる。例えば、アプリを2つ起動し、上半分でメールやWebサイトを見ながら、下半分でマップを閲覧する、という使い方は当然できる。


 Galaxy Z Flip4に慣れた筆者としては、Libero FlipがPCライクに使えないことが不便に感じた。Galaxy Z Flip4にはフレックスモードパネルがあり、対応アプリならGalaxy Z Flip4を半開きで固定したまま、画面下部に表示されたタッチパッドで操作できる。


 試しに、Zoomで会議をするとき、UIがどのように変化するのかを確かめたところ、フレックスモードパネルを有効にしたGalaxy Z Flip4ではZoomアプリでも上半分に相手の表情を確認できるプレビュー、下半分にタッチパッドが表示された。


 一方、Libero Flipではフレックスモードパネルに相当するものがなく、Galaxy Z Flip4のような挙動にはならなかった。Zoomアプリはフレックスモードパネルを有効にしなければ、基本的なUIは90度直角でも180度完全に開き切っても変わらない。


 Zoomの他にも、机上に置いて使うときに、フレックスモードパネルのタッチパッドで、ギャラリーアプリの写真を切り替えて使うなど、手に持たなくても片手で操作できるフレックスモードパネルが便利だと感じるので、Libero Flipにも同じようなものが欲しかった。


 とはいえ、端末メーカーがこのようなモードを自社製品に搭載させる場合、UIのカスタマイズが必要になり、その分のコストが価格にも反映されるはずだ。この点はGalaxy Z Flip4ユーザーである筆者のわがままといえるので、Libero Flipの後継機があるのか否かは分からないが、次期モデルに少し期待したい。


●アウトカメラは実質単眼仕様 超広角レンズは欲しかった 


 続いて、アウトカメラについて確認する。作例を比較する前にスペックをおさらいしたい。


 Galaxy Z Flip4のアウトカメラは約1200万画素の「広角カメラ」(F1.8、デュアルピクセルセンサー)と、同じく約1200万画素の「超広角カメラ」(F2.2)のデュアル構成となっている。一方、Libero Flipは約5000万画素の「メインカメラ」と、約200万画素の「深度測定用カメラ」のデュアル構成だが、写真や動画の撮影に使うのはメインカメラのみなので、こちらは実質単眼仕様といえる。


 作例をいくつか下に貼り付ける。初めに超広角カメラで撮影した画像から見ていこう。


 Galaxy Z Flip4の超広角カメラは標準のカメラアプリで倍率を0.5xにすることで有効になる。解像感のよさやワイドに撮れることについてはさすがといえる。


 続いて倍率を1xにして撮影してみると、どちらもきれいな仕上がりにはなるが、色味が異なる。発色のいい仕上がりになるのがGalaxy Z Flip4。それに対し、やや薄い色になるのがLibero Flipだ。


 違いが顕著になったのは10.0xにして撮影したときだ。両機種ともデジタルズームだが、Libero Flipの方が粗さは目立ち、暗所での撮影には向かない。仕上がりのイメージはどちらも塗り絵っぽくなる。物体のディテールはほぼ分かるくらいで、細かい網目や窓枠などは潰れてしまう。


●伝言メモはないので、代替えアプリを使いたい


 折りたためる携帯電話で気になる、音声通話についてもチェックしたい。どちらもダイヤルでの発信に対応しており、どちらもアイコンのサイズなどによる押しづらさは感じない。便利なクイックアクセスとしては「1」の長押しで留守番電話センターに接続できる。


 機能としては指定番号からの着信を拒否できる「電話番号のブロック」や、「ただいま電話に出られません」「折り返しご連絡いたします」などの定型文から状況に適したものを選び、相手に対して通話できない旨を伝えることが可能だ。音声でもメールでもなくSMSで定型文を使った返事ができるようだ。


 公衆電話など非通知番号からの着信拒否は行えるので、番号を通知しない相手からの着信はブロックできる。通話アプリの「設定」→「ブロック中の電話番号」の順に進み、「不明な発信者」の項目右にあるボタンをタップすれば発信元を特定しづらい電話番号からの着信を拒否できる。


 一方で、どちらも伝言メモに相当する機能はない。電話に応答できないときに応答メッセージを自動再生して、相手の音声を録音できる「伝言メモ」(簡易留守録)は、フィーチャーフォンユーザーなら必須といえる機能だろうが、せめて誰がどのような要件でかけてきたのかだけでも把握したい、という場合はソースネクストが提供している「スマート留守電」アプリ(Android版:月額360円、iOS版:月額319円)などを代用するとよい。


 NTTドコモなどのキャリアが提供する有料の留守番電話サービス(※)を使う手もあるが、留守番電話センターへは1417などと入力して発信し、音声ガイダンスに従って操作しなければならない。複数の伝言がある場合は新着順に確認する必要があるため、これらの手間を考えると、アプリを代用した方がよいだろう。


 Libero Flipの便利機能としては、通話中に「録音」ボタンをタップすると、発信者に対して通話録音を行う旨をアナウンスで警告できる。それと同時に録音が開始されるため、重要な要件を記録したい場合は活用したい。ちなみに、通話録音自体はGalaxy Z Flip4でも行えるが、Libero Flipのようなガイダンスを通話相手に流すような機能はない。


●性能を「Geekbench 6」でチェック 普段使いなら不満はない


 性能についてもチェックしたい。


 プロセッサは、どちらもQualcommのものを採用しているが、Galaxy Z Flip4がハイエンドモデル向けの「Snapdragon 8+ Gen 1」、Libero Flipがミッドレンジモデル向けの「Snapdragon 7 Gen 1」を採用している。


 Snapdragon 7 Gen 1は8 Gen 1と同様に4nmプロセスで製造されたプロセッサだ。「Snapdragon 778G 5G」と比べてレンダリング性能が20%以上高速になった他、144Hzのリフレッシュレートをサポートする。


 同じプロセッサを採用した折りたたみスマートフォンのミッドレンジモデルとしては、モトローラ・モビリティ・ジャパンによって日本市場に投入された「motorola razr 40」「motorola razr 40s」がある。前者はオープンマーケット版、sの付く後者はソフトバンク版だ。


 実際のスコアも気になるので、CPUやGPUなどの性能を確認できるベンチマークアプリ「Geekbench 6」をGalaxy Z Flip4とLibero Flipに入れて確認してみた。結果は次のようになった。


・Galaxy Z Flip4:シングルコアスコアが1305、マルチコアスコアが3567


・Libero Flip:シングルコアスコアが1052、マルチコアスコアが2989


 ハイエンドモデルとミッドレンジモデルのプロセッサの結果なので、当然ながら差は出るが、Libero FlipでWebや地図、SNSの閲覧、YouTube動画の視聴などといった程度なら、不便を感じることはほとんどない。


●一括6万円台の折りたたみスマホはお買い得


 ここまで、Galaxy Z Flip4ユーザーの視点で、Libero Flipの使い勝手や性能をチェックしてみたが、Galaxy Z Flip4からの乗り換え先ではなく、初めて折りたたみスマホを買う人や、高価であるがゆえに購入を諦めていた人に向くと感じた。


 他社も同じ縦折りスマホを販売しているが、一括価格は10万〜16万円ほどと高価だ。一方、Libero Flipは一括価格が6万3000円と破格。新規契約、またはMNPで乗り換えて、料金プラン「シンプル2 M/L」に加入した場合、端末代金から2万3200円が割り引かれ、3万9800円で購入できる。


 メモリ容量が6GB、ストレージ容量が128GBであることや、防塵(じん)・防水等級がIP42で、撥水程度の保護性能であること、ネットワークに関してはドコモとKDDIが保有するプラチナバンドに対応していないこと、重量が約214gとGalaxy Z Flip4(約187g)と比べて27g重いことなど、安価ゆえに留意すべき点がいくつかあるが、それでも手を出しやすい価格であることは間違いない。


 板状の一般的なスマホに飽きて、新しい要素がほしい人は、これを機にLibero Flipを検討してみてもよさそうだ。


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