映画鑑賞、昔は正座するくらいの気概→今は倍速 コスパ、タイパ重視のZ世代おたくの消費傾向が話題に

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2024年03月02日 13:20  まいどなニュース

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多趣味な「オタク」のイメージ

Z世代おたくの消費傾向がSNS上で大きな注目を集めている。

【写真】好事家ジュネさんが指摘する「Z世代の消費傾向」とは?

きっかけになったのは"好事家YouTuber"として活動する好事家ジュネさん(@DilettanteGenet)の投稿。

1月7日、大阪市のロフトプラスワンWESTで開催されたトークショー「好事家ジュネのディレッタンティズム宣言!」での観客との質疑応答を振り返った好事家ジュネさん。Z世代は映画を倍速で見るという話題に対し、50代位の観客から「ビデオが1本1万円近くした時代の自分にとって自宅での映画鑑賞は正座する位の気概で挑むものでした」という声があがったという。

映像作品のコスト低下により「吟味する作品」が「消費するコンテンツ」へ変質。オタ活の消費行動も「沢山知っていること」や「安価なグッズを大量収拾すること」にシフトしているのではないかという好事家ジュネさんの分析に対し、SNSユーザー達からは

「これは確かに感じてて、最近子供がゲームし始めたけど、じっくり楽しんでとか粘ってクリアするとかせずに、次々違うゲームに移ってくのよね
名作ゲームが次々サブスクで消費されてくの見ると時代が変わったんだなと思う」
「コスパ、タイパ、なんて言葉が持て囃されますからね〜時代といえば時代」
「私もその世代なので分かる〜。吟味するっていうか、対峙するって言うか…やっと出会えたというその『機会』そのものも味わう感じなんですよね。」

など数々の驚きの声、共感の声が寄せられている。

好事家ジュネさんにお話を聞いた。

ーートークショーの内容は?

好事家ジュネ:趣味へ向き合い方が従来とは変化している中で、現代に相応しい新しい趣味人の在り方として「好事家」を提示するというものでした。

ーー今回のご投稿の思いは?

好事家ジュネ:本来侮蔑の対象であった「おたく(平仮名)」が、マニアックな知識を豊富に持った「オタク(片仮名)」という憧れの対象へ変化している背景を1トピックとして分析、考察していたところ例の観客の方の発言がありました。

トークの中では2年ほど前に話題となった稲田豊史氏の「映画を早送りで観る人たちの出現が示す、恐ろしい未来」という現代ビジネスの記事を紹介したのですが、男性はトークショーの結論に対してというより、結論を導き出すための1トピックであった「おたく像の変化」に対しての思い出を語ってくださったような形でした。しかしそれによって、稲田氏の「倍速視聴をする人が増えた理由のひとつに、映像の貴重性が薄れたことが挙げられる」というご指摘が補強されました。それに対する感慨が私のポストの「吟味する作品が消費するコンテンツへと変化していった背景にはその経験に要されるコストの大幅減少があることを再認識した」という部分です。

トークでは「おたく」と昨今の「推し活」の消費行動の差についても考察し、おたくのそれにはスノッブ、ヴェブレン効果的側面があるのではないかという指摘をしました。そして「おたく」以上に「推し活」が盛んとなっている背景には「自己実現を他者に仮託できる気楽さ」があると仮定したのですが、男性のご発言によって、おたくの自己像を支えるひとつであった「貴重な知識、物を所持している」という自負心が、今や最早映像コンテンツでは支えきれなくなったというのも背景にあるのかもしれないという気付きを得ることができました。

ーー近年の推し活ビジネスへのご感想をお聞かせください。

好事家ジュネ:「推し活」という趣味への向き合い方は、今を生きる我々の心理的な需要から生まれたと感じています。必要とされる以上、否定的な側面ばかりではありませんし、そこにビジネスが発生するのもごく自然なことです。現代人、特に現代の若者の自尊心を支える新しい機能として、注目に値するトピックだと思います。消費行動も自己表現のひとつという意味では、推しのグッズを蒐集するような行為もまた否定されるものではありません。

ただ、「好き」を表現するために、盲目的にグッズを買い数をそろえることしか知らない状況は哀しいことだとも思います。その人が自身でどれだけ知見を広められるかという個人努力に依存する話ではあるのですが、推し活ビジネスがその囲い込みに加担している側面もまたあるようにも感じます。

ーー反響へのご感想を。

好事家ジュネ:「おたく、またはオタクに憧れる子」にとっての「映像の財産価値」の話だったんですが「自分は倍速で観るか否か」「倍速で観るのは正しいか正しくないか」みたいな文脈で引用されまくっていて、倍速視聴の話題ってまだそんなにホットなのかと。

◇ ◇

今回の話題を提供してくれた好事家ジュネさんはX(旧Twitter)やYouTubeチャンネル「好事家ジュネの館」でさまざまなカルチャー情報を発信中。いずれも対象への鋭い考察力と深い愛情が感じられるものばかりなので、ご興味ある方はぜひチェックしてただきたい。

(まいどなニュース特約・中将 タカノリ)

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このニュースに関するつぶやき

  • そういうのを『論語読みの論語知らず』っていうんじゃないのかな? 現代人を気取ってるけど、古臭い病気にかかっているだけだと思うよ。
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