ヌートバーと大谷翔平に攝津正氏が感じた「トップメジャーリーガーのすごさ」 2試合無安打の村上宗隆には「4番は変えるべきではない」【プレーバックWBC2023人気記事】

1

2024年03月03日 07:31  webスポルティーバ

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

webスポルティーバ

写真

「PLAYBACK WBC」Memories of Glory

 昨年3月、第5回WBCで栗山英樹監督率いる侍ジャパンは、大谷翔平、ダルビッシュ有、山本由伸らの活躍もあり、1次ラウンド初戦の中国戦から決勝のアメリカ戦まで負けなしの全勝で3大会ぶり3度目の世界一を果たした。日本を熱狂と感動の渦に巻き込んだWBC制覇から1年、選手たちはまもなく始まるシーズンに向けて調整を行なっているが、スポルティーバでは昨年WBC期間中に配信された侍ジャパンの記事を再公開。あらためて侍ジャパン栄光の軌跡を振り返りたい。 ※記事内容は配信当時のものになります

 日本代表が第5回WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)の第2戦で韓国代表と対戦し、13対4で快勝して2連勝を飾った。日本は3回表、先発のダルビッシュ有が8番・ヤン・ウィジの2ラン本塁打などで3点を先行されたが、直後の3回裏、1番のラーズ・ヌートバー、2番・近藤健介、5番・吉田正尚のタイムリーで4点を奪って逆転。5回には近藤のソロ本塁打などで2点を追加すると、6回には3番・大谷翔平のライト前タイムリーなどで5点を加えた。7回にはさらに押し出し四球などで2点を挙げた。

 守っては、4回から第2先発として登板した今永昇太が3イニングを投げて本塁打の1失点のみと好投。7回から宇田川優希、松井裕樹、高橋宏斗とつないで大量リードを守りきった。試合のポイントについて、元ソフトバンクの投手で2013年に第3回WBCに出場した攝津正氏に聞いた。

【メジャーのすごさを感じた対応力】

 日本は3点を先行された直後の3回裏、4点を奪って逆転に成功しました。韓国の先発キム・グァンヒョン投手は3点入ったことによって、明らかに精神状態が変わったように感じました。

 先発ピッチャーというのは、試合が動いた時に注意しないといけません。そのなかで絶対にダメなのが、先頭打者へのフォアボールです。それを源田壮亮選手、中村悠平選手に連続して出してしまった。そして無死一、二塁となり、センター前タイムリーを打ったのがヌートバー選手です。

 その前に初球でバントをしましたが、おそらくサインではなく自分でやったのでしょう。何とか点数を返さなければという姿勢が出ていました。それがタイムリーにつながり、1点入ったことによって日本はどんどん攻勢を強めていきます。対する韓国投手陣は9個の四死球を出したこともあり、試合は思わぬ大差となりました。

 正直、試合序盤には想像しにくい展開でした。日本は初戦の中国戦で本来の力を出せず、翌日の韓国戦では「このままだったら怖いな」と思っていた矢先に3点を先行されます。攻撃も含め、日本のチーム状況はあまりよくないのかなという雰囲気もありました。そうした流れを感じていたなか、3回裏に飛び出したのがヌートバー選手のタイムリー。本当に価値のある一打になりました。チームの流れを一気に変えてくれましたから。

 ヌートバー選手は走塁や守備も含めて大活躍でした。バッティングで言うと、初対戦のピッチャーに対するアプローチにトップメジャーリーガーのすごさを感じます。その点は大谷選手も同じで、6回、相手投手が変わった直後の初球をタイムリーとしました。しかも低めのフォークです。普通だったら絶対見逃すコースだけど、スイングしていき、しかもヒットにする。そういう対応の仕方はメジャーらしいと感じます。向こうはチーム数が多く、初対戦となるピッチャーの数は日本よりはるかに多いだろうから、そういうアプローチになるのでしょう。

 逆に、4打数無安打に終わった村上宗隆選手は消極的にも感じました。1打席目は一度もスイングせずに見逃し三振を喫したように、ストライクゾーンに対して戸惑いがあったのかなと思いました。

 これは日本打線全体的に感じたことで、球審の判定に「え?」という顔をすることが何回もありました。韓国戦の球審は高めを「ストライク」と判定していましたが、普段のストライクゾーンとの違いを感じているでしょう。村上選手はそのあたりを余計に意識し、バッティングを崩している部分もあると思います。本来の力を出せば、どのコースでも対応できるバッターですから。

 3戦目のチェコ戦では打順を下げるという選択肢もあるかもしれませんが、僕が監督なら4番から動かさないです。2試合の結果だけで、起用法を変えるような選手ではないですから。この先を見据えたら打ってもらわないと困る選手だと思うので、なんとか打開してもらいたいところです。

【今永はどの国が相手でも通用する】

 投手陣では、先発のダルビッシュ投手が3回3失点。3回に打たれたホームランはスライダーが真ん中に入りましたが、その前のボールがすばらしかった。ツーシームがインコースのいいコースに決まってファウルになったあと、スライダーを打たれました。

 セオリーなら外のスライダーを投げるところなのでしょうが、相手バッターがおっつけて進塁打を打とういう意識がかなり強く見えました。そこでインコースから曲げるスライダーを選択したと思うので、それが甘くなって打たれたのは仕方ないように感じます。

 逆に、2回までは完璧に抑えました。日本が立ち上がりにバタバタしなかったのは、ダルビッシュ投手が1、2回をしっかり抑えたことが大きかったと思います。もしそこで1点でもとられていたら、一気に韓国に流れがいっていた可能性もあります。立ち上がりという非常に難しい部分を抑えられたのは、さすがダルビッシュ投手だなと思いました。

 2月の宮崎合宿から日本代表に合流し、メジャーリーグの規定で実戦登板なしのままWBC本番を迎えた影響は少なからずあったと想像しますが、内容的には十分なピッチングでした。次の試合ではもっと状態を上げてくるはずです。

 ダルビッシュ投手のあとを受けて4回からマウンドに上がった今永投手は、3回1失点。試合が動いた直後の非常に難しい局面でしたが、日本に確実に勢いを引き寄せるピッチングでした。

 とくに4、5回をしっかり無失点に抑えたことで、日本サイドは「いける」という雰囲気になりました。それくらい今永投手が投げているボールの質はよく、今後も第2先発での起用になるでしょうが、どこの国が相手でも通用するだろうなという内容でした。

 日本はこれで2連勝。準々決勝進出に向けて非常にいいスタートをきりました。中国戦では攻撃が思ったように機能しなかったけれど、韓国戦ではいい野球をできました。国際大会ならではの硬さはすでにとれていると思うので、3戦目以降はもっといい状態で臨んでいけると思います。

このニュースに関するつぶやき

  • ヌートバーはトップちゃうやろ。
    • イイネ!0
    • コメント 2件

つぶやき一覧へ(1件)

ランキングスポーツ

前日のランキングへ

ニュース設定