久保建英とイ・ガンインの親友対決 日韓の至宝が交わる「物語の序章」は要チェック!

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2024年03月04日 17:31  webスポルティーバ

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 注目のチャンピオンズリーグ(CL)・ラウンド16第2戦。レアル・ソシエダ(ラ・レアル)対パリ・サンジェルマン(PSG)の一戦が、現地時間3月5日(日本時間3月6日・早朝5時)にラ・レアルの本拠地レアレ・アレーナで行なわれる。

 パリで行なわれた第1戦では、後半にキリアン・エムバペとブラッドリー・バルコラがゴールを決めたPSGが2-0で先勝。ラ・レアルにとっては、ゴールチャンスを逃さなかったPSGに個の力を見せつけけられた格好で黒星を喫することとなった。

 果たして、2点のビハインドを背負ったラ・レアルは、この第2戦で逆転勝利を収めることができるのか──。その行方を楽しみにしているファンは多いと思われるが、今回の試合では、勝敗と同様に注目したい観戦ポイントがある。

 ラ・レアルの攻撃の核として定着した日本代表の久保建英と、今シーズンからPSGに加入した韓国代表のイ・ガンインのCL直接対決である。

 周知のとおり、日韓両国の未来を担うふたりは2021−2022シーズンにラ・リーガのマジョルカで共闘した仲だ。同時に、お互い少年時代をスペインで過ごしたことや、10代から逸材として脚光を浴びていたこともあって、これまでも何かと比較される関係でもあった。

 たとえば、2001年2月生まれのイ・ガンインは10歳の時にスペインに渡ってバレンシアの下部組織に、2001年6月生まれの久保も10歳でバルセロナの下部組織に入団。お互い異国の地でサッカー選手として成長を遂げたという、よく似たプロフィールを持つ。

 イ・ガンインはそのままバレンシアでステップアップし、Bチームを経て2018−2019シーズンにトップデビュー。一方の久保は、バルセロナの18歳未満の外国人選手登録に違反が発覚し、FIFAの制裁措置のあおりを受けて帰国を強いられた。

【34億円でPSGに引き抜かれたイ・ガンイン】

 帰国した久保は、FC東京の下部組織で実績を積んだあと、2017年にJリーグデビューを果たすと、2019年夏にレアル・マドリードと契約。初年度の2019−2020シーズン、レンタル先のマジョルカでラ・リーガ・デビューし、翌シーズンのビジャレアル、ヘタフェを経て、再びマジョルカでプレーすることになった。

 バレンシアを退団したイ・ガンインがマジョルカに加入したのは、ちょうどそのタイミングだった。

 同じ攻撃的MFで、どちらもレフティという共通点を持つとあって、当時マジョルカで指揮を執っていたルイス・ガルシア・プラサ監督は、ふたりを同時にピッチに立たせることには消極的だった。さらに、そのシーズンの終盤にバトンを受けたハビエル・アギーレ監督は、残留を目標として守備重視のスタイルにシフトチェンジ。ふたりとも出番は激減した。

 久保に転機がおとずれたのは、翌2022−2023シーズン。レアル・マドリードを離れ、ラ・レアルに完全移籍を果たしたことで、持前の能力が開花。加えてフィニッシュワークの技術を磨き上げたことで、不動の右ウイングとしてチーム内で確固たる地位を築き上げるに至った。

 逆に、久保よりも1シーズン早くラ・リーガの舞台に立ったイ・ガンインは、そのままマジョルカに残って翌シーズンにブレイク。チャンスメイクのみならず、6ゴール6アシストの記録を残すなど、試合を決定づける主軸MFに飛躍を遂げたことで、昨夏に移籍金2200万ユーロ(約34億円)でPSGに引き抜かれた。

 ネイマールやメッシが退団したとはいえ、ヨーロッパ屈指の選手層を誇るPSGでイ・ガンインは出場機会を得られるのか──。

 開幕前、大方が懐疑的に見ていたことは否めない。しかも開幕前の負傷で出遅れたうえ、9月下旬からのアジア競技大会に韓国代表として参加するため、大事な時期にチームから離脱。もはや今シーズンの前半戦は、ベンチ要員に落ち着いても不思議ではない状況だった。

【久保建英とイ・ガンインはどこで対峙する?】

 ところが、チーム再合流後2試合目のCLミラン戦で加入後初ゴールをマークすると、その4日後のリーグ・アン第10節のブレスト戦でも大活躍を見せて勝利に貢献。とりわけチームの2点目となったエムバペのゴールをお膳立てしたピンポイントのロングスルーパスは、イ・ガンインのポテンシャルを示すと同時に、その後のチーム内における立場を大きく変えたと言っても過言ではないほどの決定的なプレーだった。

 昨シーズンまでのPSGでは、チームの武器であるエムバペのスピードを活用するため、ロングカウンターに必要なパサーの存在が不可欠だった。その筆頭がネイマール(現アル・ヒラル)、あるいはマルコ・ヴェラッティ(現アル・アラビ)だったわけだが、現在それができる選手はイ・ガンインしかいない。それは大きなアドバンテージであり、以降、ウイングからインサイドハーフに主戦場を変えたことが、ルイス・エンリケ監督から認められたことの証と言えるだろう。

 しかもイ・ガンインの場合、左利きでありながら、左・右・両サイドで同じレベルのプレーができることも大きな武器となっている。

 2月14日に行なわれた第1戦では、アジアカップ後の休養プロトコルに則って、指揮官はイ・ガンインをメンバー外とした。従って、久保との直接対決も実現しなかったわけだが、すでにイ・ガンインは2月17日のナント戦から戦列に復帰しているため、第2戦ではふたりのCL直接対決がついに実現すると見ていい。

 ルイス・エンリケ監督がCLを見据えてターンオーバーを採用した直近のモナコ戦のメンバーから予想すると、ラ・レアル戦の4−3−3の中盤は、ファビアン・ルイスを中央に、ワレン・ザイール=エメリとイ・ガンインがインサイドハーフを務める可能性は高い。

 たしかにアジアカップ後、イ・ガンインのパフォーマンスが低調なのは事実。だが、ルイス・エンリケ監督が第1戦で攻撃的な可変システムをほとんど使わず、守備バランスを重視して戦っていたことを考えると、おそらく2点リードで迎える第2戦では、ヴィティーニャよりもデュエルで上回るうえ、エムバペのロングカウンターを生かせるイ・ガンインを起用する方が理にかなった選択とも言える。

【久保建英はラ・レアルの攻撃の核として定着した】

 対する久保は、アジアカップ後に全試合フル出場を続けていたが、直前のセビージャ戦ではイマノル・アルグアシル監督がベンチに温存。よほどのトラブルがないかぎり、PSGとの大一番では4−3−3の右ウイングでスタメンを飾るはずだ。

 お互いマジョルカを離れてから別々の道を歩み、異なるタイプの選手へと進化を続ける日韓の至宝。おそらく今回のCL直接対決は、今後も続くふたりのキャリアのなかでは、ひとつの通過点に過ぎないのかもしれない。しかし、その対決を楽しみにしているサッカーファンにとっては、絶対に見逃せない物語の序章となるだろう。

 ラ・レアルの久保建英とPSGのイ・ガンイン。果たして、ふたりはこの大一番でどんなパフォーマンスを見せてくれるのか。勝敗の行方とともに、要注目だ。

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