怒気を含んだルカの声が文字通り飛び込んできます。あまりの声のボリュームに、私は思わずスマホを耳から離しました。私の父は1年前に亡くなり、来月には一周忌がおこなわれる予定です。孫はまだ小さく、しかもルカの家からわが家へ来るのは飛行機が必須。遠距離のわが家へ3人ともに来てもらうとなると大変なことでしょう。そこで私は娘のルカだけに出席を打診しました。どうやらルカたちは、そのときの香典の金額のことで喧嘩をしてしまったようです。
私は「そうだ」とも「ちがう」とも言いきることができず、言葉を濁してしまいました。ルカはとてもおじいちゃんっ子だったため、「大好きなおじいちゃんのために」と考えるルカの気持ちもわかります。しかしナオヤくんが反対するということは、何かしらの理由があるはず。ここで私が断言することはできません。しかしそんな曖昧な態度が、余計にルカを刺激してしまったようです。どんどんヒートアップするルカに、私は慌てました。
ルカの怒り方は他人の方が聞いたら呆れてしまうかもしれません。私も少し甘やかしすぎてしまった、と思うことはちょくちょくあります。しかしルカは私の可愛い娘。幸せを願わずにはいられません。ちょっとワガママなルカのことを広い心で受け入れてくれるナオヤくんと、できるだけ仲良く、そして幸せに過ごしてほしいのです。今回の香典のことも冷静に話し合えば妥協点が見つかるはず。2人が納得のいく形をとれるといいのですが……。
【第3話】へ続く。
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