日本初の内臓脂肪減少薬「アライ」発売、16年を費やし有効性・安全性を担保「ここまでエビデンスを揃えたのは『アライ』以外にないと自負」

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2024年03月05日 14:45  ORICON NEWS

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日本初の内臓脂肪減少薬「アライ」
 大正製薬が日本初の内臓脂肪減少薬「アライ」を来月8日に発売することを発表した。昨日「世界肥満デー」に際し発売記者発表会が行われ、導入から発売まで16年もの時間を要した「市販薬として異例」という開発背景や製品概要が語られた。

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■「食べた脂肪の約25%を便と一緒に排出」、効果に期待も厳格な使用条件

 ここ30年間、肥満症の治療を行う薬物療法は日本に入ってこない現状があったが、昨年相次いで承認の動きがあった。新治療薬として登場した「オルリスタット」。これが1カプセルに60mg含有する内臓脂肪・腹囲減少薬が、同社の発売するダイレクトOTC医薬品『アライ』だ。使用対象は18歳以上で、腹囲が男性は85cm以上、女性は90cm以上、健康障害を合併していない人などと限られ、運動や食事の生活習慣改善の取り組みを行い記録することが条件となる。

 同社マーケティング本部長の宍戸正臣氏は「食べた脂肪の約25%を便と一緒に排出することが期待できます。臨床試験において摂取後4週間から効果を確認でき、1年服用いただくと内臓脂肪面積は21.52%、腹囲は4.82%の減少が確認されています」と内臓脂肪減少の効果を述べた。

 同商品は開発期間に16年を要し、「市販薬として異例」と言われる時間がかけられている。2008年に同社が導入契約を締結してから、11年〜17年の約6年間で臨床データを収集。19年にダイレクトOTC医薬品として厚生労働省に承認申請し、約4年間の承認審査が行われ、23年に承認取得、24年4月に発売となった。

 長期の承認に及んだ理由について、同社セルフメディケーション臨床開発部グループマネージャーの藤田透氏は「(医療用医薬品としてではなく)最初からダイレクトOTC医薬品として申請したこと。OTCのなかでも内臓脂肪減少薬という新規ジャンルで、市販薬として国民にどんなベネフィットがあげられるのか。セルフメディケーションの観点から適正に使用できるか。関係各所と慎重に議論を重ねた結果、4年を要しました」と経緯を述べた。

 グローバルでみると『アライ』は100以上の臨床プログラムが実施さていたが、同社は日本人を対象としたエビデンスとして国内での臨床試験を計6試験実施。薬剤師を主体とした臨床試験でOTC販売を想定した有効性や安全性の確認が行われ、「この領域でここまでのエビデンスを揃えているのは『アライ』以外ないと自負している」と安全性を強調する。

 薬には当然、主作用の効果もあれば、副作用もある。『アライ』には副作用として油の漏れ、便を伴う放屁など消化器症状が現れるケースも。これに対し藤田氏は「特有の症状を正しく理解し、対処方法をしっかり認識して実践する自己マネジメントが重要」と話す。治験における副作用は40.9%、服用中止は2.5%。「かなり低く抑えられている。これを一般市場に外装した場合も、正しい情報にいつでもアクセスできる環境を作れれば、服用中止の事例も一定に抑えられるのではと私たちは考えています」(藤田氏)。

■地域の薬局、医師、メーカーが三位一体となって取り組む”地域包括のヘルスケア”

 期待を寄せられるのが、購入者に対し直接対応にあたる薬局・ドラッグストアの対応だ。医療用医薬品の痩身を目的とした適用外使用が問題となるなかで、いかに適正な販売環境を作るのか。同社は薬剤師による対面の販売を行うにあたり、日本肥満学会が監修した専用のeラーニング研修システムを立ち上げている。これを修了した薬剤師のみが販売に従事することができ、流通に関しても適正販売への了承が得られた企業のみに出荷。卸は介さず、同社が直販するものとしている。「4日時点で、2.6万人を超える薬剤師の研修が終了しています。今後発売されても、薬剤師がいるお近くのドラッグストアで、不自由なくお買い求めいただけるのではないかと思います」(藤田氏)。

 販売後は有効性・安全性を確かめる3000例の調査を行い、不適切使用例の把握、必要に応じた是正措置、厚労省への報告を8年間実施。適正な販売環境、使用環境作りに努めていくとしている。

 同社では、発毛剤『リアップ』のミノキシジルに加えて2例目のダイレクトOTC医薬品となる。宍戸氏は『アライ』が果たす役割について次のように述べている。

「我々製薬会社としては、とても社会的に意義のある製品です。自分の健康を自分で守る、セルフメディケーションを皆さんにしていただきたいので、今回『アライ』をダイレクトOTCとしてチャレンジしています。つまりは、地域の薬剤師さん(かかりつけ薬局)、ドクター、我々メーカーの三位一体で地域包括のヘルスケアに取り組めるということです。これは日本にとってもひじょうに意義のあること。地域医療の活性化にチャレンジしていきたい」

 やらなければと分かっていても、生活習慣改善の持続に課題感があるなかで、いかに健康リスクを放置せず、地域や社会を巻き込み健康寿命の延伸につなげることができるのか。同社が取り組むセルフメディケーションの環境づくりに注視したい。

このニュースに関するつぶやき

  • 知人から有効性は聞いてるけど(社会的な意味での)安全性は…尻がマジヤバいことなるから…漏らし方によっては使用者が社会的に死ぬよ
    • イイネ!2
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